法務省 複数のHPに「アノニマス」のサイバー攻撃か

法務省が運営する複数のホームページが8日夜から断続的に閲覧できなくなっています。政治的な主張を掲げ、サイバー攻撃を仕掛けることで知られるハッカー集団「アノニマス」が日本の難民政策への抗議でサイバー攻撃を行ったと主張していて、法務省が関連を調べています。

法務省によりますと、閲覧障害が出たのは、法務省の代表のホームページのほか検察庁や出入国在留管理庁、それに公安調査庁などのホームページです。

障害は、8日夜11時前に発生し、現在まで断続的にホームページが閲覧できなくなったり、接続が不安定で閲覧しにくい状態になったりしています。

一方、「アノニマス」を名乗るハッカー集団の一つが9日未明、SNS上で日本の難民政策に対する抗議のために法務省のサイトにサイバー攻撃を行ったと主張する投稿を行っています。

法務省によりますと、障害の原因はホームページに対するアクセス数の急増だということで、ハッカー集団による投稿との関連を調べています。

法務省は「ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした」などとしています。

齋藤法相 “原因究明にあたっている段階 必要な対応をしている”

齋藤法務大臣は、閣議のあとの記者会見で「昨夜、法務省ホームページで一時的に閲覧障害が発生し、その後まもなく復旧したものの、本日、未明ごろから再び閲覧ができない状態になっていたと報告を受けている。現在、担当部局が原因究明にあたっている段階で必要な対応をしている。なお、本日午前8時20分時点で法務省ホームページの閲覧自体は可能になっていると報告を受けている」と述べました。

「アノニマス」これまでにも世界各国の政府などに攻撃

「アノニマス」を名乗るハッカー集団は、これまでにも世界各国の政府や自治体などに攻撃を行ってきたとされています。

「アノニマス」は英語で「匿名の」を意味する形容詞で、世界各地のハッカーが匿名で参加しているとみられていますが、どんな人物がメンバーかは詳しくは分かっていません。

ツイッターには、多くのアノニマスを名乗るアカウントが確認されています。

主に行う手口はウェブサイトやサーバーなどに大量のデータを送りつけて機能停止に追い込む「DDoS攻撃」で情報漏えいなどにつながるものではないものの、サイトがアクセスしづらくなるなどの影響が出ます。

去年は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてロシアの政府機関などに攻撃を仕掛けたとするグループが相次ぎ、一方で、ロシアを支持してウクライナ側に攻撃を行ったとするグループも見られました。

日本国内では、2013年には日本のイルカ漁に抗議して和歌山県の自治体などに、2016年には海洋生物の保護を訴えて、日本の水族館や企業などにサイバー攻撃を行ったと主張したほか、ことし1月には渋谷区の公園の再開発事業への抗議だとして、区の公式ウェブサイトに対して攻撃を行ったと主張し、実際に区のサイトが一時的に閲覧できなくなる障害が発生しました。