ウクライナ軍 近く反転攻勢の構え ロシアは足並みの乱れ続く

ウクライナ軍が領土の奪還を目指して近く大規模な反転攻勢に乗り出す構えを示す中、ロシア側は南部ザポリージャ州で支配地域にいる住民7万人を移動させると発表するなど、一段と警戒を強めているとみられます。

ウクライナ軍のザルジニー総司令官は6日、SNSで「アメリカ軍の制服組トップ、ミリー統合参謀本部議長と電話で会談し領土解放に向けた軍の準備状況について伝えた」と明らかにし、ウクライナ軍は近く大規模な反転攻勢に乗り出す構えとみられます。

こうした中、ロシアが一方的な併合に踏み切ったウクライナ南部、ザポリージャ州の親ロシア派のトップ、バリツキー氏は5日、「ここ数日、ウクライナ軍の砲撃が強まっている」として、ロシアの支配地域にいる住民を移動させると発表しました。
ロシア軍が占拠するザポリージャ原子力発電所がある地域も含まれ、対象の住民はおよそ7万人に上ると伝えられ、ウクライナ軍の動きに一段と警戒を強めているとみられます。

一方、ロシアが9年前、一方的に併合した南部クリミアでは6日、地元行政府トップのアクショノフ氏がSNSで「ウクライナ軍の弾道ミサイルを上空で迎撃した」と主張しました。
ロシアでは9日に第2次世界大戦の戦勝記念日をむかえますが、プーチン政権が完全掌握を目指してきた東部の激戦地バフムトでは民間軍事会社ワグネルの代表が弾薬不足を訴えて10日に撤退すると警告し、足並みの乱れが続いています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は5日「ウクライナの反転攻勢に備え、弾薬や物資の供給を控えている可能性がある」としてロシア側はバフムト以外の地域の防衛に重点を置き始めているという見方を示しています。