【詳細】石川県で震度6強 地震相次ぐ 大雨で土砂災害警戒

石川県能登地方では5日、震度6強の揺れを観測したあと地震活動が活発になっていて、気象庁は1週間程度は同じ程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

また、前線が北陸地方を通過する影響で石川県では6日夜から激しい雨が予想されていて、気象台は7日明け方にかけて能登地方で土砂災害に警戒するよう呼びかけています。

気象庁によりますと、5日午後2時半すぎ、石川県能登地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、
▼震度6強の揺れを珠洲市で観測したほか
▼震度5強を能登町で
▼震度5弱を輪島市で観測しました。

また、午後10時前に能登地方を震源とするマグニチュード5.9の地震が発生し、震度5強を珠洲市で観測しました。

石川県能登地方では地震が相次いでいて、震度1以上の揺れを観測した地震は5日だけで43回に達し、2020年以降の一連の活動で最も多くなりました。

6日は午前9時までに9回起きた後、午後6時にかけて震度1以上を観測する地震は発生していませんが、気象庁によりますと、体に感じない地震は発生していて活動が活発な状態が続いているということです。

気象庁は揺れの強かった地域では1週間程度、最大震度6強程度の揺れを伴う地震が発生するおそれがあるとして、今後の地震活動に注意するよう呼びかけています。

また、6日は日中、能登地方を中心に雨が断続的に降りました。

気象台によりますと、前線が北陸地方を通過する影響で石川県内は6日夜から雨が強まり、7日未明にかけて1時間に30ミリの激しい雨の降るところがある見通しです。

7日午後6時までの24時間に降る雨の量は、いずれも多い所で、加賀地方、能登地方ともに120ミリの見通しで、能登地方では警報級の大雨になると予想されています。

気象台は7日明け方にかけて能登地方の揺れの強かった地域では土砂災害に警戒するよう呼びかけています。

一連の地震活動「流体」関与か

能登半島での一連の地震活動は、地下10数キロから上昇している水などの「流体」が関与しているとみられています。

この地域の活動の分析を続けている専門家は、流体が北へ移動して能登半島の北にある活断層を刺激した可能性があり、今回と同じような規模の地震は、数か月単位で警戒する必要があると指摘しています。

能登半島での地震や地殻変動の分析を続けてきた、京都大学防災研究所の西村卓也教授は、おととし6月からことし3月までの地震や地殻変動のデータを使い、地下の流体の動きを推定しました。
その結果、去年6月に能登半島で最大震度6弱を観測した地震のあとくらいから、地震活動や地殻変動の傾向に変化がみられ、分析の結果、流体は珠洲市の南側から北側へ移動しているとみられています。

5日午後発生した、マグニチュード6.5の地震の震源は、西村教授が推定する流体のやや東側に当たります。

西村教授は、流体が北へ移動し、地下の断層がゆっくりとずれ動いたことから周辺にあった能登半島の北の活断層が刺激され、きのうの地震につながった可能性があると指摘しています。

西村教授は「珠洲市の北東や北西の沖合には少なくともマグニチュード6.5と同程度の地震が起きてもおかしくない活断層があり、こうした活断層の一部を破壊したのではないか」と指摘しています。

“数か月は地震活動や地殻変動に注視必要”

群発的に活動が続いている能登半島の地震活動ですが、西村教授は、規模の大きな地震には当面、警戒が必要だと指摘しています。

西村教授は「今まで2年半以上活動が続いてきたことを考えると、少なくとも数か月は地震活動や地殻変動を注視する必要があり、きのう(5日)のような規模の地震も数か月の間は警戒していく必要があるのではないか」と指摘した上で「沖合の断層が動いたとしても陸にかなり近く、震源も浅くなるのでまずは強い揺れに引き続き注意してほしい。加えて、震源域が海底に移ると津波が起きるおそれもあり、海岸沿いの方は津波への注意も怠らないで欲しい」と話しています。

17:30 石川県珠洲市で20人避難

石川県珠洲市では、20か所に避難所が開設され、午後5時半現在、3か所に、1人暮らしのお年寄りを中心に20人が避難しているということです。

市内に開設されている避難所は
▼日置公民館
▼宝立公民館
▼上戸公民館
▼飯田公民館
▼若山公民館
▼直公民館
▼正院公民館
▼蛸島公民館
▼三崎公民館
▼大谷公民館
▼蛸島小学校
▼正院小学校
▼飯田小学校
▼宝立小学校
▼上戸小学校
▼若山小学校
▼直小学校
▼みさき小学校
▼大谷小学校、
▼日置ハウスの20か所です。

珠洲市で雨が強まるのは6日夜遅くからと見込まれていますが、市は暗くなってからの移動は危険を伴うとして、早めに避難するよう呼びかけています。

また、石川県では輪島市でも3か所の避難所が開設され、午後5時現在で、3人が避難しているということです。

輪島市内に開設されている避難所は
▼ふれあい健康センター
▼町野公民館
▼門前公民館の3か所です。

17:00すぎ 石川県珠洲市の740世帯1630人に避難指示

石川県珠洲市は今後の雨で土砂災害のおそれがあるとして、午後5時すぎ、市内全域の土砂災害警戒区域に住む740世帯1630人に避難指示を出しました。

避難指示が出されたのは、宝立地区、上戸地区、飯田地区、若山地区、直地区、正院地区、三崎地区、日置地区、それに大谷地区のあわせて9つの地区の土砂災害警戒区域に住む人です。

5段階の警戒レベルのうちレベル4にあたる情報で、市は、対象地域の人は、危険な場所から全員避難するよう呼びかけています。

石川県珠洲市で「応急危険度判定」始まる

珠洲市から要請を受けて県や金沢市から派遣された「応急危険度判定士」の資格を持つ職員20人が、正院町など、特に被害の大きかった地域を回り、地震の被害を受けた建物に倒壊のおそれが無いかを判定する「応急危険度判定」が始まりました。

被災した住宅が傾いていないかや、壁や基礎部分にひびが入っていないかなどを計測器を使って確認していました。

自宅が被災した男性は「窓枠がゆがんでサッシが外れ、窓ガラスも割れてしまいました。壊れた場所が多くて、どこから修理すればいいのか分からないです」と話していました。

専門家「斜面近くに住んでいる方は自治体からの情報に注意を」

土砂災害のメカニズムに詳しい東京農工大学の石川芳治名誉教授は、ふだん以上に土砂災害に警戒が必要な状況だと指摘します。

激しい揺れで山の斜面や木の根元などに亀裂が生じ、そこに雨水が入り込むと地中の水圧が高まって斜面の土砂が崩れやすくなるためです。

地震後の雨による土砂災害は過去にも起きていて、2016年4月に発生した熊本地震の後の6月、熊本県南阿蘇村で大雨となった際、新たな土石流や斜面の崩壊が確認されました。

石川名誉教授によりますと、傾斜が急な斜面や山の尾根、大きな岩が長年崩れずに残っているような場所は地震後の雨で崩れるリスクが高いということです。

石川名誉教授は「今回の地震のあと土砂災害警戒情報の基準などが引き下げられ、早めの避難を呼びかける対策が取られているため、斜面の近くに住んでいる方は自治体からの情報によく注意してほしい。情報が出ていなくても、早めに安全な場所に移動しておくことも大切だ。また、小石が落ちてくる、崖から急に水が湧き出るなどの土砂災害の前兆に気付いたらすぐ避難してほしい」と話していました。

珠洲市長「暗くなる前に避難情報出すか判断」

石川県珠洲市は6日午前、市の幹部のほか気象台や国土交通省の担当者が出席する対策本部の会議を開き、けが人や被災した家屋などの被害状況のほか、懸念される雨の見通しや注意点などについて確認しました。

珠洲市によりますと、市内には土石流や地すべりといった土砂災害への警戒が必要な区域が多数あり、この区域に住む人はあわせて740世帯、1600人余りにのぼるということです。

会議のあと、泉谷満寿裕市長は「雨の状況や予報を確認した上で、暗くなる前に避難指示などの避難情報を出すかどうか判断したい」と述べ、住民に対し、雨に注意するよう呼びかけるとともに、避難情報の発令についても検討していることを明らかにしました。

金沢大学教授「夜間の避難に備えてほしい」

能登半島で頻発している地震などについて調査している金沢大学の平松良浩教授が、調査のために珠洲市を訪れました。

平松教授によりますと、多くの被害が確認されている正院町地区の地盤は、非常に揺れやすいことが分かっているということで、今後、詳しい調査を行う予定です。

平松教授は「今回の地震の影響で、今後も地震が誘発されるおそれがあり、長期間、強い揺れに注意する必要がある。建物が被害を受けていないように見えても、これまでの地震で目に見えないところにダメージを受けていて、次の地震で被害を受けることも考えられる」と指摘しました。

その上で「倒れる危険がある家具などを固定するほか、寝る時には、近くに懐中電灯や足を守る靴などを置いて、夜間の避難に備えておいてほしい」と呼びかけていました。

住民に雨対策のシートを配布

石川県珠洲市では、地震の影響で屋根や壁などに被害を受けた住宅のために雨対策のシートおよそ1000枚を県などを通じて確保し、市内に10ある公民館に配布しました。

シートが届けられると住民が次々と受け取りに訪れていました。

市では今後、地域の代表者などを通じて必要な住民にシートが行き渡るようにしたいとしています。

公民館に受け取りに来た70代の男性は「地震で家の屋根の瓦が落ちてしまったので、もらいにきました。雨も降ってきて、近くのホームセンターも営業していないと聞いていてどうしようかと思っていたのでありがたいです」と話していました。

地震続き 避難の準備進める人も

石川県珠洲市では住宅の被害が相次ぎ、地震も続いていることから避難の準備を進める人もいます。

このうち、正院町に夫と息子2人の家族4人で住んでいる上野文子さん(61)の住宅では窓が外れたり、家の中の壁が崩れたりする被害が出ました。

5日は外れた窓や扉を直して家族4人で自宅で過ごしたということですが、居間や廊下では柱が一部ずれるなどしている上、揺れも続いているため、6日は避難することにし、タオルや洋服をかばんに詰めるなど準備を進めていました。

上野さんは「揺れが続いていて、自宅にとどまるのは怖いので家族で避難しようと思います。いたるところが被害を受けていて、このままでは住めないので住むところを手配してもらいたいです」と話していました。

馳知事が避難所や被災か所を視察

石川県の馳知事は6日朝、市役所で泉谷満寿裕市長と面会し、市内の一部で断水が続いていることなど被害の状況について報告を受けました。

続いて市内の避難所や被災か所を視察し、このうち正院町の住宅そばの崖崩れの現場では、県や市の職員から去年6月に震度6弱を観測した地震でも同じ場所が崩れたことなどについて説明を受けていました。

馳知事は「午後から雨の影響で土砂や崖が崩れる可能性があるので、必要に応じて危険地域に住んでいる人に早めの避難を呼びかけたい。避難した人たちのための食料やふとんなど、要請を受ける前に届けるプッシュ型の支援を行っていきたい」と述べました。

11:00 珠洲市で45人が避難

石川県珠洲市では13か所に避難所が開設され、4か所に、1人暮らしのお年寄りを中心にあわせて45人が避難しているということです。

市内に開設されている避難所は、日置公民館、宝立公民館、上戸公民館、飯田公民館、若山公民館、直公民館、正院公民館、蛸島公民館、三崎公民館、大谷公民館、蛸島小学校、正院小学校、飯田小学校の13か所です。

石川県珠洲市に給水車が派遣

石川県珠洲市の若山町では水道水が濁っていて、6日、給水車が派遣されました。

珠洲市によりますと、市内では6日午前9時の時点で39世帯が断水しているほか、若山町では5日夜、水道水が濁っているのが確認されたということです。

これを受けて、市は6日朝から若山町に給水車2台を派遣しています。

このうち、若山小学校では午前8時ごろからポリタンクやペットボトルを持った人たちが次々と訪れ、飲み水や生活に使う水を入れていました。

70代の女性は「昨夜7時ごろから水道の水が濁り始め、飲み水やお米をとぐ水に困っています。早く元どおりに水が使えるようになってほしい」と話していました。

市は、給水の対応とともに水道管の修理なども急ぎ、断水については6日の夜中にも全面的に解消したいとしています。

8:00 珠洲市で52人が避難

石川県珠洲市では13か所に避難所が開設され、6日午前8時現在、5か所にあわせて52人が避難しているということです。

市内に開設されている避難所は、
▼日置公民館、
▼宝立公民館、
▼上戸公民館、
▼飯田公民館、
▼若山公民館、
▼直公民館、
▼正院公民館、
▼蛸島公民館、
▼三崎公民館、
▼大谷公民館、
▼蛸島小学校、
▼正院小学校、
▼飯田小学校の13か所です。

6:00 雨に備え屋根にシート

震度6強の揺れを観測した地震から一夜明けた石川県珠洲市では、6日夜以降、強まると見込まれる雨に備えて、住民たちが屋根にシートをはるなどの対応に追われていました。

このうち地震の揺れによる被害が相次いだ珠洲市正院町の住宅では、タンスが倒れていたり部屋の中の壁がはがれたりしていました。

屋根瓦がはがれている住宅もあり、6日午前6時ごろには業者が訪れ、雨漏りを防止するため屋根にシートをはっていました。

震度6強の揺れを観測した地震以降も、揺れが相次いだことから、住民からは不安の声も聞かれました。

屋根瓦がはがれるなどの被害があった70代の男性は「地震で倒れた家具を元に戻してから寝ましたが、夜中も地震が続いたのでそのたびに家具などが倒れてよく寝られませんでした。きょうから雨の予報なので、ひとまずシートで屋根を覆ってもらっていますが、雨が入ってこないか心配です。地震も続いているので不安な気持ちでいます」と話していました。

震度1以上観測する地震51回

気象庁によりますと5日午後2時半すぎ、石川県能登地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生しました。

この地震で
▼震度6強の揺れを珠洲市で観測したほか、
▼震度5強を能登町で、
▼震度5弱を輪島市で観測しました。

このほか▼震度4から1の揺れを東北から中国地方にかけての広い範囲で観測しました。

また、午後9時58分ごろには能登地方を震源とするマグニチュード5.9の地震が発生し、
▼震度5強を珠洲市で、
▼震度5弱を能登町で観測したほか、
▼新潟県と富山県、石川県の各地で震度4の揺れを観測しました。

石川県能登地方では地震が相次いでいて、震度1以上の揺れを観測した地震は5日だけで40回に達し、2020年以降の一連の活動で最も多くなりました。

5日の震度6強の揺れを観測した地震のあと、6日午前9時までに震度1以上を観測する地震が51回起きています。

気象庁は揺れの強かった地域では今後1週間程度は最大震度6強程度の揺れを伴う地震が発生するおそれがあるとして、今後の地震活動に注意するよう呼びかけています。

雨の降り方にも注意を

また、前線の影響で石川県では雨が降っていて6日夜はじめごろから強まる見込みで、7日にかけて多いところで1時間に30ミリの激しい雨が降り、大雨となるところもある見込みです。

揺れの強かった地域では地盤が緩んでいるおそれがあり、気象庁は土砂災害にも注意するよう呼びかけています。