クレムリン無人機爆発 ロ側“テロ行為” ウ側“関与強く否定”

ロシア大統領府は、ウクライナの無人機がプーチン大統領を狙って攻撃しようとしたと主張し、テロ行為だとして捜査を始めました。一方、ウクライナ側は関与を強く否定し、アメリカのシンクタンクはプーチン政権が自作自演をした可能性もあると指摘しています。

ロシア大統領府は3日、「2機の無人機がモスクワのクレムリンにある大統領府を攻撃しようとした」などと発表しました。

プーチン大統領を狙ったウクライナのゼレンスキー政権によるテロ行為だと主張したうえで報復措置をとるとしています。

これについてロシアのメディアは、無人機の攻撃は現地時間3日の午前2時ごろに行われたと伝えているほか、重大事件を扱う連邦捜査委員会が捜査を始めたと発表しました。

これに対し、ゼレンスキー大統領は関与を強く否定したうえで「プーチン大統領は国民を前進させるために何らかの動機づけが必要なのではないか」と述べました。

また、アメリカのブリンケン国務長官は「この件で確認できることはない。ロシア政府が言うことは到底うのみにはできず、何が事実かを見極めていく」と述べ、事実関係を調査中だとの立場を示しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は3日、プーチン政権の主張について「モスクワなどで防空能力が強化される中、無人機が防空システムをかいくぐり、クレムリンの上空で爆発や撃墜された可能性は極めて低い」として、ロシア側が侵攻を続けるため、新たな国民の動員に向けて自作自演を行った可能性もあるという見方を示しました。

また、今月9日にロシアで第2次世界大戦の戦勝記念日が迫る中、「クレムリンは、今回の出来事を利用して、式典を中止するか制限することを正当化する可能性がある」とも指摘しています。

ロシア “無人機の攻撃にはアメリカも関与”

ロシア大統領府のペスコフ報道官は4日、記者団に対し、無人機によるクレムリンへの攻撃の試みはウクライナのゼレンスキー政権によるものだと改めて強調しました。

そのうえで「アメリカの指示に従ってウクライナが攻撃の手段と標的を選んでいることを、われわれは知っている。ウクライナやアメリカが関与を否定するのはばかげたことだ」と述べ、無人機の攻撃にはアメリカも関与しているとする主張を展開しました。

一方、ペスコフ報道官は「困難な状況でも大統領は常に冷静だ」と強調したうえで、今月9日の第2次世界大戦の戦勝記念日で、クレムリン近くの赤の広場で行われるプーチン大統領の演説や軍事パレードは予定どおり実施されるとしています。

ロシアのメディアは

ロシア大統領府は「2機の無人機がクレムリンにある大統領府を攻撃しようとした」と発表しました。

ロシアメディアは、爆発の瞬間をとらえたとする映像をもとに、1機は、クレムリンの敷地内にある建物のドーム型の屋根の上空で爆発したようだと伝えています。

この建物は赤の広場と城壁を隔てて隣り合い、大統領が執務する官邸として使われる、いわば権力の中枢です。

また、国営のロシアテレビなどは、
▽1機目が現地時間3日の午前2時27分に、
▽2機目は午前2時43分に、それぞれ飛来してきたと伝えています。

これを受けて強硬発言を繰り返す、前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は3日、SNSに「もはやゼレンスキー氏らを物理的に排除する以外に選択肢はない」と投稿しました。

一方、ロシアの有力紙「コメルサント」は、関係筋の話として「ウクライナから発射された無人機がクレムリンまで到達できるか疑問だ」と伝えたほか、ほかのロシアメディアも発射地点はロシア国内ではないかとする専門家の見方を伝えています。