近畿日本ツーリスト 最大約16億円過大請求か コロナ関連事業で

旅行大手の近畿日本ツーリストが、自治体から請け負った新型コロナ関連の委託事業で人件費を偽って費用を過大に請求した問題で、会社は、これまでの調査の結果、最大でおよそ16億円を過大請求した可能性があると発表しました。

近畿日本ツーリストは大阪府の東大阪市から請け負った新型コロナのワクチン接種のコールセンター業務などで、人件費を偽って過大請求を行っていたことが明らかになっています。

会社は2日に記者会見し、過去3年間に全国の762の自治体などから請け負った2924件の事業を調査した結果、最大でおよそ16億円を過大請求していた可能性があることを発表しました。

会社は、実際の業務を再委託先の会社に発注する際に、自治体から指定された人数よりも少ない人数で業務にあたらせ、大阪や静岡県内など16の自治体から5億8437万円余りを過大請求していました。

また、70の自治体の事業などで最大で10億円程度過大請求をした可能性があるということです。

会社は過大請求が明らかになった分は、自治体に全額を返納するとしています。

高浦雅彦社長は会見で「社会の皆様の信頼を裏切り多大なご迷惑をおかけしたことを厳粛に受け止め心よりおわびします。二度と発生させることがないよう再発防止策に誠心誠意取り組み、信頼回復に努めます」と陳謝しました。

旅行落ち込み コロナ対策で目標達成の思い働いたか

高浦雅彦社長は記者会見で過大請求を行った背景にコロナ禍で主力の旅行事業の収益が落ち込んでいたことがあると説明しています。

それによりますと事業の担当者への聞き取りの結果、旅行事業の収益が落ち込む中、新たに始めたコロナ対策事業で売り上げを伸ばし、営業目標を達成したいという思いが強く働いていたとしています。

また新型コロナ関連事業の契約について、法律的な知識を担当者が十分に持っていなかったことも原因にあげています。

高浦社長は「会社として不正な方法で利益をあげるということは認めていない。監督責任を痛感しており、お詫び申し上げたい」と述べました。

過大請求が明らかになった事業とは

過大請求が明らかになった事業は、近畿日本ツーリストが自治体から請け負った新型コロナ関連の相談窓口の業務などです。

近畿日本ツーリストは実際の業務は再委託先の会社に発注していましたが、その際に自治体から指定された人数よりも少ない人数で業務にあたらせました。

一方で、自治体には指定された人数分で人件費を請求し、過大に支払いを受けていたことが明らかになってます。

先月、大阪府の東大阪市で最初に発覚し、大阪府と静岡県の7つの自治体であわせて4億円以上を過大請求していたことが判明しました。

近畿日本ツーリストが自治体から請け負った新型コロナ関連の業務は143の自治体に上ります。

会社は過大請求が判明したあと、新型コロナの業務も含めて過去3年に762自治体などから請け負った2924件の事業を対象に他にも不正がないか調査を行ってきました。