パラグアイは、南米の大国・ブラジルとアルゼンチンに挟まれる形で位置し、人口はおよそ750万人。
台湾と外交関係を結んでいる世界13か国の1つで、南米では唯一、台湾と外交関係をもっています。
台湾とパラグアイが外交関係を結んだのは今から66年前の1957年。
「南北アメリカで最も反共産主義的」といわれた右派の独裁政権が、台湾との関係強化を推し進めました。
1989年の民主化後もほぼ一貫して台湾と関係が近い右派政党が政権を維持し、首都アスンシオンには台湾の初代総統蒋介石の銅像が建つなど、緊密な関係を築いてきました。
一方、中南米ではこのところ台湾と外交関係を断絶し中国と国交を結ぶ国が相次いでいます。
2016年に蔡英文政権が発足して以来、台湾が外交関係をもつ国は9つ減り、このうち中米カリブ海地域が5つを占めています。
パラグアイは、台湾と外交関係を維持する13か国のうち経済規模が中米グアテマラに次ぐ大きさで、台湾にとっては南米大陸で唯一の足がかりにもなっていることから、選挙の行方が国際的にも注目されています。
パラグアイ大統領選 投票開始 与野党候補の接戦が予想
南米で唯一、台湾と外交関係をもつパラグアイの大統領選挙の投票が30日、始まりました。台湾との外交関係の維持を主張する与党の候補と、台湾と外交関係を断絶して、中国と国交を結ぶ可能性を示唆する野党の候補の2人による接戦が予想されています。
パラグアイの大統領選挙は30日、投票が始まり、首都アスンシオン中心部の投票所にも市民が次々に訪れて1票を投じていました。
選挙には13人が立候補していますが、事前の世論調査から右派の与党候補で元財務相のサンティアゴ・ペニャ氏(44)と、中道の野党連合の候補で元下院議長のエフライン・アレグレ氏(60)の事実上、2人による争いになるとみられています。
パラグアイは、台湾が外交関係をもつ13か国のうちの1つで、南米大陸では唯一、台湾との関係を維持しています。今回の選挙では、台湾との外交関係が争点のひとつになっていて、ペニャ氏が台湾との関係維持を主張しているのに対し、アレグレ氏は農産物の輸出拡大のため、台湾と外交関係を断絶して、新たに中国と国交を結ぶ可能性を示唆しています。
中南米では、3月、ホンジュラスが台湾と外交関係を断絶するなど中国と国交を結ぶ国が相次いでいて、長年、台湾との友好関係を維持してきたパラグアイでもその流れが続くのか注目されています。
南米で唯一 台湾と外交関係

台湾 パラグアイにさまざまな支援

台湾はパラグアイに対し、インフラの整備や農業や畜産業の技術支援、それに台湾の大学への留学生の受け入れなどさまざまな支援を行ってきました。
首都アスンシオンには、台湾の支援で最新の設備を備えた病院や大学が設立され、貧困層の人たち向けに8500戸の住宅も建設されました。
また現在、台湾からの奨学金で台湾の大学で学んでいるパラグアイの留学生は375人に上っています。
与党の候補のペニャ氏も学生時代、台湾での研修に参加した経験があり、「私の立場は常に台湾との関係を維持することにある」と述べています。
首都アスンシオンには、台湾の支援で最新の設備を備えた病院や大学が設立され、貧困層の人たち向けに8500戸の住宅も建設されました。
また現在、台湾からの奨学金で台湾の大学で学んでいるパラグアイの留学生は375人に上っています。
与党の候補のペニャ氏も学生時代、台湾での研修に参加した経験があり、「私の立場は常に台湾との関係を維持することにある」と述べています。

在パラグアイ台湾大使館の韓志正大使はNHKの取材に対し、「私たちが信頼できるパートナーであることを証明したい。すべての援助や協力が両国にとって真に有益になるよう努める」と述べ、パラグアイとの関係維持に期待を示しました。
一方、中国については、「唯一の関心事は、台湾をパラグアイから排除することだ」と述べ、警戒感を示しました。
一方、中国については、「唯一の関心事は、台湾をパラグアイから排除することだ」と述べ、警戒感を示しました。
台湾との関係見直し求める声も

パラグアイでは、中国との外交関係がないことで貿易や投資などの経済面で不利益を被っているとして、台湾との外交関係の見直しを求める声が出ています。
パラグアイの輸出の大半を占める牛肉や大豆など農産物の生産組合では、巨大市場・中国への輸出ができずほかの南米の国々に比べて不利な状況に置かれていると主張しています。
畜産業を営むペドロ・スコリージョさんは、「台湾は多くの利益をもたらしてきたが、台湾の人口は中国と比較にならない。台湾には私たちが必要としている市場がない」と話していました。
パラグアイの輸出の大半を占める牛肉や大豆など農産物の生産組合では、巨大市場・中国への輸出ができずほかの南米の国々に比べて不利な状況に置かれていると主張しています。
畜産業を営むペドロ・スコリージョさんは、「台湾は多くの利益をもたらしてきたが、台湾の人口は中国と比較にならない。台湾には私たちが必要としている市場がない」と話していました。

パラグアイの経済研究所のフェルナンド・マシ所長は「遅かれ早かれパラグアイは中国との関係を確立すべきだ。それがパラグアイの生産を多様化し、農産物以外の自国の産業を育てることにもつながる」と述べ、経済面から中国への外交関係の転換を進めるべきだとしています。
野党連合のアレグレ候補は「パラグアイは台湾との関係を維持するために多大な努力をしてきた。台湾がパラグアイと同じ努力をしているとは思えない」などとして、今回の選挙で勝利した場合、台湾との関係を見直す可能性を示唆しています。
野党連合のアレグレ候補は「パラグアイは台湾との関係を維持するために多大な努力をしてきた。台湾がパラグアイと同じ努力をしているとは思えない」などとして、今回の選挙で勝利した場合、台湾との関係を見直す可能性を示唆しています。