【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。
戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ ロシアの兵力は「約36万9000人」との分析を発表

ウクライナ国防省のメディアセンターは26日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアの戦術と戦略について発表しました。それによりますと、ウクライナでのロシア軍の兵力について兵士の数はおよそ36万9000人だと分析しています。一方、ロシア軍のねらいは、東部ドネツク州のバフムトの完全掌握を優先するとともにドネツク州のアウディーイウカなどの占領に向けた攻撃を続け、ウクライナ政府に交渉を強いることだとしています。

ロシア 恒例の軍の国際大会 ことしは中止か

ロシア国営のタス通信は、国防省が毎年、友好国の軍の兵士らを招待して戦車の操縦技術などを競う「国際アーミーゲーム」と呼ばれる国際大会について、ことしは中止される見通しだと、関係者の話として伝えました。

去年8月に行われた大会には、中国やイラン、ベラルーシ、それに中央アジアの国々など35か国、6500人以上が参加し、大会はロシアの軍事力や友好国との連携強化をアピールする場となってきました。

これについて、イギリス国防省は28日に発表した分析で、「戦時下で、このようなイベントを開催することは、浅はかだと思われることを懸念したのだろう。またウクライナの戦場でロシア軍が損失を出し、戦車や熟練の兵士が不足する中、ロシアのチームがメダルを独占できないことを懸念している可能性もある」などと指摘しています。

プーチン大統領 モスクワの無人機製造工場を視察

ロシア大統領府は27日、プーチン大統領がモスクワで無人機を製造する工場を視察したと発表しました。

そして、会議を開催し「無人機産業は国の発展のため非常に重要だ」と述べ、ウクライナ侵攻に多くの無人機が投入される中、国産の無人機の製造能力を強化するねらいとみられます。

ウクライナ 巡航ミサイルなどの攻撃受ける 計13人死亡

ロシア軍は28日未明、ウクライナの首都キーウなどを巡航ミサイルや無人機で攻撃し、キーウ州の当局は11発の巡航ミサイルと2機の無人機を迎撃したと発表しました。

攻撃は各地に広がり、中部のウマニでは集合住宅が被害を受け、これまでに子ども2人を含む11人が死亡しました。

また東部ドニプロでは2歳の女の子と31歳の母親のあわせて2人が死亡しました。

イエルマク大統領府長官は声明で、「ロケット攻撃は、市民が寝ている間に行われた。ロシアのテロのよくある手口だ」と非難しました。

27日には、南部ミコライウがロシア海軍の巡航ミサイル「カリブル」で攻撃され、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシア側は、攻撃に使うミサイルの軌道を変えるなどして、ウクライナ側の防空システムを混乱させようとしていると指摘しています。

NATO “戦闘車両 約束の98%以上ウクライナへ”

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は27日、ベルギーのブリュッセルにある本部で記者会見し、NATOの加盟国や関係国がこれまで行ってきたウクライナへの軍事支援について、「ウクライナに約束した戦闘車両の98%以上がすでに引き渡されている」と述べました。

具体的には、1550両以上の装甲車と230両の戦車、合わせて1700両以上の戦闘車両が、各国からウクライナに供与されたとしています。

ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナの9つ以上の旅団が訓練を受けてきたことを明らかにしたうえで、「ウクライナは、占領地の奪還を継続するにあたって、有利な立場に立つことになる」と述べ、各国からの支援の成果を強調しました。

ウクライナ側は4万人規模の部隊を新たに編成してNATOによる訓練を受けているとされ、早ければ5月にも大規模な反転攻勢に乗り出す可能性があるとみられています。

ウクライナ「自国の立場を公式に中国側に伝えた」

ウクライナ大統領府は、26日に発表した声明で、ゼレンスキー大統領と中国の習近平国家主席が行った電話会談について、「ウクライナにとって、公正で持続可能な平和を確立するための協力をめぐって、重点的に協議した」と明らかにしています。

そのうえで、ゼレンスキー大統領は会談の中で、「ロシアへのいかなる支援も侵略の継続や平和の拒否につながる。ロシアへの支援が少なければ少ないほど、戦争は早く終結するだろう」と述べたということです。

中国が、ロシアに対する軍事支援を行わないか欧米などが警戒する中、ゼレンスキー大統領みずから習主席に対してロシアを支援しないよう訴えたとみられます。

さらにゼレンスキー大統領は、「領土の妥協という犠牲のもとでの平和はあり得ない」と強調したということです。

中国はことし2月、ウクライナとロシアなどに対話と停戦を呼びかける12項目にわたる文書を発表していましたが、その中にはロシア軍の部隊の撤退は含まれておらず、ゼレンスキー大統領としては、中国の提案は不十分だという認識を伝えた可能性もあります。

これについて、ウクライナ大統領府のポドリャク顧問も26日、「中国は12項目の文書を表明していたが、ウクライナの立場については話を聞いてこなかった」と述べたうえで、「今回の会談でウクライナの立場が公式に中国側に伝えられた」としています。

電話会談で、ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の撤退やウクライナの領土保全の回復など、ウクライナ側が提言している和平に向けた10項目について習主席に説明したとみられます。

中国外務省は、今回の電話会談はウクライナ側の要請で行われたとしています。

ゼレンスキー大統領としては、ロシアと緊密な関係を築く中国に対して、勝利を得るまで徹底抗戦を続けるというウクライナの立場とともに、和平に向けて期待する役割などを伝えるねらいがあったとみられます。

ロシアの支援を受けトルコで初建設の原発で式典 両首脳が出席

ロシアの支援を受けて、トルコで初めて建設されている原子力発電所で、燃料を搬入する式典が27日行われ、両国の首脳がオンラインで出席しました。
トルコ南部のアックユ原子力発電所で行われた式典で、ロシアのプーチン大統領は、「この原発は、互いに経済的な利益をもたらすとともに、両国の多面的な協力関係を確実に強化する」と述べました。

プーチン大統領としては、ウクライナへの軍事侵攻で欧米との関係が断絶する中、トルコとエネルギーなど経済協力を通じた関係強化を進めたい考えです。

一方、エルドアン大統領は、「ついに、原子力を持つ国の仲間入りを果たした」と成果を誇り、2028年までに4基すべてが稼働する見込みだと強調しました。

ウクライナ 新たな旅団を編成し訓練も本格化 反転攻勢へ準備

ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトをめぐり、ロシア国防省は27日、空てい部隊の支援のもとで、突撃部隊が北西部や南西部の4つの区画を新たに支配したと主張しました。

一方、ウクライナ国家警備隊の幹部は27日、会見で、バフムトで徹底抗戦を続け、西部の補給ルートを確保しているとしました。
また、ロシアに支配されている領土の奪還に向けて、新たに編成された9つの旅団では、多くの志願兵が加わり、訓練も本格化しているとして、反転攻勢への準備が進んでいると強調しました。

“ロシアで反転攻勢への不安広がる”

バフムトで戦闘員を投入しているロシアの民間軍事会社ワグネルのトップは26日、再び弾薬不足に陥っているとしたうえで、気象条件が良くなればウクライナ側が反撃に出る可能性があると訴えました。

これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日、「ウクライナ側の反転攻勢に対する不安がロシアで広がっていることが明らかになった」と指摘しています。

ロシア大統領府は27日、プーチン大統領が28日にサンクトペテルブルクで演説を行い、特にウクライナに派遣された兵士やその家族に対する支援策について言及すると明らかにし、長引く軍事侵攻に対する国民の理解を得たいねらいもあるとみられます。

ウクライナ首相 ローマ教皇をキーウに招待

ウクライナの復興に関する会議に出席するためイタリアを訪れていたウクライナのシュミハリ首相は27日、バチカンでローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と会談しました。

会談でシュミハリ首相は、多くの市民が殺害されたキーウ近郊のブチャなど、ロシア軍がウクライナで行った残虐な行為をとらえたという写真を載せたアルバムを見せていました。

会談後、シュミハリ首相は記者会見を行い、フランシスコ教皇をウクライナに招待したことを明らかにしました。

また、ロシア側に連れ去られたウクライナの子どもたちを取り戻すため、ローマ教皇庁に協力を求めたということです。

フランシスコ教皇は、3月アルゼンチンのメディアとのインタビューで、モスクワにも行くことが出来ればキーウを訪れたいという意向を示しています。

ウクライナで遺体の身元特定の研修会 国際機関の専門家が開く

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは、犠牲になった多くの市民の遺体の身元が分かっておらず、首都キーウでは、国際機関の専門家が身元特定につなげるための技術について、地元の当局者に教える研修会が開かれています。

ウクライナでは、ロシアによる軍事侵攻で多くの市民が犠牲となっていますが、警察によりますと、少なくとも2800人の遺体の身元が分かっていないということです。
このため、世界の紛争地などで身元確認の作業を支援しているICMP=国際行方不明者機関は、今月24日から5日間の日程で首都キーウで研修を行い、現場で遺体の状況を記録するなどの業務にあたっている保健当局の担当者およそ20人が参加しました。
参加者たちは、後頭部や額を見ることで性別を判別したり、頭蓋骨から年齢を推定したりする技術を学んでいました。

現場では、まず保健当局の担当者が遺体を確認して、性別や年齢などを推定したあと、警察がDNA鑑定などを通して身元の特定につなげる作業を進めているということです。
研修会に参加したウクライナ保健省のイーホル・ロゾウィク氏はNHKの取材に対して、「遺体の損傷が激しかったり照合させる情報がなかったりと課題は多く、身元の特定に時間がかかっている」と述べました。
また、ICMPでウクライナでの活動を統括しているマシュー・ホリデー氏は、取材に対して、多くのウクライナ人が国外に避難しているため、DNA鑑定に必要なサンプルが圧倒的に不足していることを明らかにしました。

ホリデー氏は、ウクライナでは行方不明者が数万人に上る可能性に触れたうえで、「ウクライナは、ほかの紛争地と違って戦時下で、身元確認の作業を行うという特殊な状況にある。今後も高い専門知識をもった担当者を増やしたり、身元特定につながる作業に関わったりしてウクライナ政府に引き続き協力していきたい」と話していました。