駐仏中国大使 “主権国家である合意ない”発言 バルト三国反発

フランスに駐在する中国の大使がかつて旧ソビエトから独立したウクライナやバルト三国などの国々について「主権国家であることを定めた国際的な合意はない」と発言し、バルト三国が強く反発しています。

フランスに駐在する中国の盧沙野大使は21日、放送されたフランスのテレビのインタビューの中で、ウクライナ情勢についての質問に答えました。

この中で盧大使は、ロシアが一方的に併合したウクライナのクリミアの帰属について見解を問われると、明確に答えることを避け、さらに「旧ソビエト諸国が主権国家であることを具体的に定めた国際的な合意はない」などと述べました。

この発言をめぐって、ウクライナなどとともに旧ソビエトから独立したバルト三国が強く反発しています。

このうちリトアニアの外務省はツイッターで、自国に駐在する中国の代理公使を呼び、説明を求めることを明らかにしました。

ランズベルギス外相も「なぜわれわれが中国によるウクライナ和平の仲介を信用しないのか、疑問に思う人がいるならば、この中国大使の発言を聞いてほしい」などと投稿し、不快感をあらわにしました。

またラトビアのリンケービッチ外相も「まったく容認できない。中国側の説明と発言の撤回を求める」とツイッターに投稿し、24日にルクセンブルクで行われるEU外相会議でこの発言を取り上げ、中国側の姿勢を厳しく問う意向を示しています。

中国外務省報道官 駐仏大使の発言を否定

これについて、中国外務省の毛寧報道官は24日の記者会見で「ソビエトが解体されたあと、中国は最も早く関係する国々と外交関係を樹立した国の1つであり、加盟していたそれぞれの共和国の主権と国家の地位を尊重している」と述べ、大使の発言を否定しました。

その上で毛報道官は「私が言っていることが中国政府の正式な立場だ」と繰り返し述べ、火消しに追われました。