機密文書に台湾有事“中国軍の制空権掌握阻止は困難”米有力紙

アメリカ政府の機密文書が流出した問題で、有力紙 ワシントン・ポストは流出した文書の中に台湾が有事の際に中国軍の制空権掌握を阻止することは困難だと分析する内容が含まれていたと伝えました。

アメリカ政府の機密文書がインターネット上に流出した問題で、ワシントン・ポストは15日、台湾有事をめぐるアメリカ国防総省の機密文書だとする内容を伝えました。

それによりますと、中国が台湾に対してミサイル攻撃を行った場合について、台湾当局者が「ミサイルの発射を正確に探知できない」と防空能力不足を懸念しているとしています。

また、台湾軍の航空機のうち十分に稼働できるものは全体の半数余りしかないなどと指摘し、中国軍の制空権掌握を阻止することは困難だなどと分析しています。

さらに文書は中国軍が近代化していることや中国が民間の船を軍事利用する戦術をとっていることなどが台湾への侵攻準備を探知するアメリカの情報機関の能力を徐々に失わせているとも分析しています。
台湾国防部は日本時間の16日午後に出したコメントで「外部の意見は尊重する。しかし、外国メディアが出どころ不明の文書を引用した内容は明らかに事実ではない」と反論しました。

具体的には「敵の空からの侵攻に対して、わが軍は情報・監視・偵察部門および防空部隊が一体となって中国の空軍とロケット軍の動向を綿密に把握し、即時に脅威に対処できる」などとしています。

流出した一連の機密文書のものとされる内容をめぐっては、韓国やウクライナなども事実と異なる点があるなどと指摘しているほか、アメリカ政府も一部は改ざんされているとの見方を示しています。

米海軍「ミサイル駆逐艦が台湾海峡を通過」

アメリカ海軍は、ミサイル駆逐艦「ミリアス」が16日、台湾海峡を通過したと発表しました。

台湾周辺では中国軍が今月8日からパトロールや軍事演習を行いました。

アメリカ海軍第7艦隊は声明で、通過は定期的なものだとしたうえで「自由で開かれたインド太平洋へのアメリカの関与を示すものだ。アメリカ軍は国際法が許すかぎり、どこでも飛行し、航行し、活動する」としています。
これについて、中国軍で台湾方面などを管轄する東部戦区は報道官の談話を出し「アメリカの艦艇の行動をすべて監視し警戒にあたった」と主張したうえで「国家の主権と安全、地域の平和と安定を断固として守る」とけん制しました。