中国で大規模黄砂 日本には12日~13日に飛来か 影響注意

中国の広い範囲で大規模な黄砂が発生し、首都・北京では飛来した砂で街は黄色くかすんでいて、市民生活にも影響が出ています。

一方、日本では、12日から13日にかけて北日本から西日本の広い範囲で黄砂が飛来すると予想されていて、気象庁は交通への影響などに注意するよう呼びかけています。

中国の気象当局 “大規模な黄砂発生”

中国の気象当局によりますと寒気による強い風の影響で内陸部や隣国のモンゴルで巻き上げられた砂が拡散し、10日から11日にかけて北部を中心に広い範囲で大規模な黄砂が発生しました。

このうち、首都・北京では、街が黄色くかすんでいて10日に続いて、11日も一時、大気汚染のレベルが6段階のうち最悪のレベルとなりました。

北京 黄色くかすむ街 多くの市民はマスク

車の窓なども砂に覆われているほか、多くの市民はマスクをつけて歩くなど、生活にも影響が出ています。

40代の女性は「窓を開けられないし、出かけるのも不便です。黄砂が以前よりもひどくなっていると思います」と話していました。

また、30代の男性は「車も運転しにくく、影響は深刻です」と話していました。

中国国営の新華社通信 “黄砂発生ケース多く”

国営の新華社通信は、このところ、中国北部やモンゴルで降水量が少なかったことに加え季節性の強風が多く吹いたことで黄砂が発生するケースが多くなっているとする専門家の分析を伝えています。
中国の気象当局は12日にかけても、中国の北部や東部などで黄砂が観測される見込みだとして

▽外出するときはマスクやスカーフなどで鼻や口を守るとともに、
▽見通しが悪くなるため車を運転する際はスピードを出しすぎないよう注意を呼びかけています。

日本 12日から13日にかけて黄砂飛来か

一方、日本では、12日は全国的に雨が降り、その後、13日にかけて北日本から西日本の広い範囲で黄砂が飛来すると予想されていて気象庁は交通への影響などに注意するよう呼びかけています。

12日は、低気圧からのびる寒冷前線が日本付近を通過し、北から冷たい空気が流れ込んで全国的に雨が降る見込みです。前線の通過後は北日本から西日本の広い範囲で黄砂に注意が必要です。

黄砂は上空の風に運ばれて次第に日本付近へ到達し、12日から13日にかけては日本の広い範囲で「視程」が10キロ未満となり、ところによって5キロ未満になると予想されています。

屋外で洗濯物に黄砂が付着するなどの影響が予想されるほか、「視程」が5キロ未満になると交通への影響が発生するおそれがあり、気象庁が注意を呼びかけています。

黄砂いつごろ?どこへ?

気象庁の最新の分布予測によりますと、黄砂は11日夕方には中国の東北部や朝鮮半島付近に広がっているとみられます。

12日朝 日本海側に到達 12日昼ごろ 東北や北海道に

12日の朝には北日本から西日本の日本海側に到達し、昼ごろには東北や北海道を中心に地表付近の濃度が高くなると予想されています。

12日夜~13日朝 太平洋側含む広範囲に

その後、12日の夜から13日の朝にかけては太平洋側を含む広い範囲に広がり、14日には日本の東の海上に抜ける見込みです。
地表付近の黄砂の濃度が高くなると、洗濯物や車に汚れがついたり視程の悪化によって航空機の離着陸などに影響が出たりするおそれがあり、注意が必要です。

黄砂による人への影響は?

黄砂による人への影響について、環境省は、これまでの研究成果などをもとに「黄砂とその健康影響について」としてホームページに公開しています。
それによりますと、黄砂の飛来との関連が報告されていることとして、
▽目のかゆみや結膜炎、鼻水やくしゃみなどのアレルギー症状、
▽気管支ぜんそくや肺炎など呼吸器疾患の悪化をあげています。

黄砂による気管支ぜんそくの入院は特に子どもと高齢者への影響が大きいとしています。

また、▽循環器疾患への影響として黄砂の飛来と、心筋梗塞による入院や発症の増加との関連も報告されていますが、黄砂が発症にどのように関係しているかはわかっていないとしています。

そして、黄砂による健康影響を予防するために、特に呼吸器や循環器に疾患のある人や子どもや高齢者はより慎重に行動することが望まれるとした上で、

▽環境省や気象庁による黄砂の飛来情報をチェックし、
▽黄砂が飛来しているときは、不要不急の外出を控えたり
▽不織布マスクなどを着用したりして、黄砂を吸い込む量を減らすよう呼びかけています。