“ウクライナ軍事支援の機密文書 SNSで拡散”米国防総省も調査

ロシアによるウクライナへの侵攻をめぐって、アメリカなどが計画したウクライナへの軍事支援に関する機密文書が、SNS上で拡散していたと、アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」が伝えました。アメリカ国防総省も事態を把握していて、調査を進めています。

「ニューヨーク・タイムズ」が複数のバイデン政権高官の話として伝えたところによりますと、今週、SNSのツイッターやテレグラムに、ウクライナへのアメリカやNATO=北大西洋条約機構の軍事支援に関する機密文書が投稿され、拡散しているということです。

この中には、武器の供与計画や戦闘地域でのウクライナ軍の戦力のほか、高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われるロケット弾の消費ペースなどの情報も含まれているとしています。

情報は3月1日時点のもので、ウクライナ軍が計画しているとされる大規模な反転攻勢についての戦術などは含まれていないということです。

投稿された機密文書の中には、ロシア軍の死者数も含まれていたということですが、この部分は大幅に少なく書き換えられていて、専門家は、ロシア政府がみずからを有利に見せるよう意図的に修正し、情報戦に利用している可能性があると指摘しています。

アメリカ国防総省のシン副報道官は、NHKの取材に対し「報道は把握しており、現在、調査を進めている」とコメントしています。

中国や中東に関する機密文書も流出か

さらに「ニューヨーク・タイムズ」は7日、中国や中東に関する機密文書もインターネット上に流出していたと伝えました。

機密文書はツイッターやインターネットの匿名の掲示板などに投稿されていて、ウクライナの防空能力について評価した情報のほか、中国や中東に関するアメリカの安全保障の機密情報も含まれているということです。

流出した文書は100以上にのぼるとみられるとしています。

「ニューヨーク・タイムズ」の取材に対し、アメリカ政府関係者は「大きな打撃となるおそれがある」と指摘し、情報機関の高官は「ファイブ・アイズ」と呼ばれる諜報活動でアメリカと深い関係にあるイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドにとっても「悪夢だ」と述べたとしています。