入江陵介 100m背泳ぎで日本選手権10連覇 世界選手権代表に内定

世界選手権の代表選考を兼ねた競泳の日本選手権、大会2日目の5日、男子100メートル背泳ぎで入江陵介選手が10連覇を果たし、代表に内定しました。

競泳の日本選手権は、ことし7月に福岡市で行われる世界選手権の代表選考を兼ね、東京 江東区にある東京アクアティクスセンターで行われています。

個人種目では、決勝のレースで日本水泳連盟が今回の世界選手権について定めた記録を突破し、2位以内に入った選手が日本代表に内定します。

大会2日目の5日は6つの種目が行われ、このうち男子100メートル背泳ぎの決勝には、33歳のベテラン、入江選手が出場しました。

スタートから飛び出して、前半は自身が持つ日本記録に迫るペースで折り返しました。

後半はスピードが落ちてしまい、タイムは53秒46で目標とした52秒台中盤には届きませんでしたが、この種目で10連覇を達成し、タイムの条件も満たして8回目となる世界選手権の代表に内定しました。

入江陵介「厳しい目を持ってやりたい」

入江陵介選手は「タイムとしては遅いのでふがいないと今は感じているが、代表に内定したので夏の世界選手権に向けてまたスタートだと思う」と率直な思いを話しました。

レースについては「前半はよかったが後半は非常に詰まってしまった。これからの課題だ」と振り返りました。

そして「日本で勝てても世界では勝負できていないと思うので、厳しい目を持ってやりたい」と8回目の世界選手権に向けて決意を新たにしていました。

男子200m自由形 松元克央が6連覇 代表内定

男子200メートル自由形では、2019年の世界選手権で日本選手で初めてメダルを獲得した松元克央選手が、スタートから飛び出すと後半も力強い泳ぎを見せて、自身の日本記録にあと0秒33と迫る1分44秒98の好タイムで6連覇を果たし、代表に内定しました。

松元「やってきたこと間違いじゃなかった」

男子200メートル自由形で自身が持つ日本記録に迫る好タイムで6連覇を果たした松元克央選手。所属先の変更から海外での武者修行など「やってきたことが間違いじゃなかったとすごく安心した」と、自分の選択が正しかったことを結果で証明しました。

今大会の会場は東京アクアティクスセンター。天国と地獄を味わった場所です。

2年前、同じ日本選手権の男子200メートル自由形決勝で1分44秒65の日本新記録をマークしました。

しかし、その後に開かれた東京オリンピックでは予選落ち。

屈辱の思いが強く「悪いイメージがよぎった。だが、覆すことも自分自身でやらなければいけない」と強い気持ちで大会に臨みました。

ただ、これまでの歩みは“いばらの道”でした。東京オリンピックのあとも新型コロナウイルスの影響で世界大会への派遣が中止になるなどし、「追い込めない部分があった」とモチベーションの維持に苦しみました。

そこで心機一転、去年の春に所属先を変更したほか、秋にはイギリスに武者修行に行くなど、さまざまな経験や出会いを通じてどんなに苦しい環境でも諦めてはいけないという気持ちが芽生えたといいます。

5日のレースは「冬場の厳しいトレーニングで自信をつけられた」と前半から飛び出して最後の50メートルも出場選手中、唯一の26秒台で泳ぎ切り、自身の日本記録にあと0秒33と迫る1分44秒98の好タイムで6連覇を果たしました。

松元選手は「44秒台を出そうとすごく意識していて、冬場にどんなにきつくても諦めずにやってきた成果が出せてよかった」と安堵し、自身のことばどおり、会場を「いいイメージに戻すことができた」と笑顔を見せました。

代表に内定した世界選手権に向けては「もう一段階レベルアップすればメダルが見えてくると思うのでここが終わりではなくて、メダルを持って帰ってみんなを笑顔にしたい」と話し、みずから選んだいばらの道を支えてくれた人たちへの恩返しを誓いました。

女子100m平泳ぎ 青木玲緒樹が連覇 代表内定

このほか、女子100メートル平泳ぎでは、この種目の日本記録保持者、青木玲緒樹選手が1分5秒89のタイムで連覇を果たして代表に内定した一方、福岡県出身、ロンドンオリンピックで3つのメダルを獲得した32歳の鈴木聡美選手は1分6秒88で2位でしたが、タイムの条件に0秒09届かず地元開催となる世界選手権の代表入りを逃しました。

青木玲緒樹「すごくほっとしている」

女子100メートル平泳ぎで連覇を果たして世界選手権の代表に内定した青木玲緒樹選手は「内定したので、それだけがすごくほっとしている」と率直な思いを話しました。

レースについては「予選で思うような泳ぎができなくて不安だったが、決勝前のアップが結構よくて、もう不安はなく、いい泳ぎができればタイムにつながると思ってレースに臨んだので前半からしっかりいけた。5秒台が出たのでよかった」と振り返りました。

そして、世界選手権に向けては「5秒台が出たとはいえ、もう少し記録を上げないと戦えないと思う。今回スピードが不安な部分だったので、そこで不安なく世界選手権に臨めれば記録も上がると思うので、そこをつめていきたい」と意気込んでいました。

鈴木聡美「全力を出し切れたことは満足している」

女子100メートル平泳ぎで2位になったものの、タイムの条件を満たせず世界選手権の代表内定を逃した鈴木聡美選手は「0.09秒切れずすごく悔しい。ただ、切れなかったが、久々に6秒台を出せて自信がつかめた」と話しました。

タイムが届かなかった要因については「ラスト25メートルから最後の5メートルで腕が動きづらいくらい重たかったかなと思い返して感じているので、そこが失速の原因だと思う。ただ全力を出し切れたことは満足している」と振り返りました。

そのうえで、地元開催の世界選手権について「どうしても行きたい気持ちがあったので、ここで内定していれば、残る200メートルと50メートルのレースも気負うことなく安心して臨めたかもしれないが、結果は結果で受け止めて、より緊張感をもったいいレースができれば」と切り替えていました。