陸自石垣駐屯地の開設式典 防衛相 中国念頭に“抑止力高める”

浜田防衛大臣は、沖縄県の石垣島に開設された陸上自衛隊の駐屯地を訪れ、尖閣諸島周辺などでの活動を活発化させる中国を念頭に、警戒監視に万全を期す考えを示しました。

南西諸島の防衛を強化するため先月16日に開設された陸上自衛隊の石垣駐屯地には、隊員およそ570人が所属しているほか、対艦ミサイルや対空ミサイルなどが配備されています。

現地で2日、開設を記念する式典が開かれ、浜田防衛大臣は「石垣島を含め南西諸島の隙のない防衛体制は隊員の肩にかかっている」と訓示しました。
石垣駐屯地の開設は、与那国島や宮古島に部隊を配備したのに続くもので、防衛省が、当初、南西諸島に計画していた部隊配備はこれで完了したことになります。

浜田大臣は、記者団に対し、尖閣諸島周辺などでの活動を活発化させ、台湾への圧力も強める中国を念頭に「南西地域への部隊配備は、力による一方的な現状変更を許容しないとのわが国の意思を示し、抑止力・対処力を高めるものだ」と述べ、警戒監視に万全を期す考えを示しました。

一方、石垣駐屯地に「反撃能力」として使えるミサイルを配備するのか問われたのに対し「具体的な配備先は決まっておらず、答える段階にない」と述べるにとどめました。
記念式典の中で、石垣駐屯地の司令を務める井上雄一朗1等陸佐が「地域の島民との関係と絆をより強固なものにするため努力を積み重ね、島と島民を守る抑止力の要として役割をしっかりと果たし続けます」と述べました。

式典には地元の関係者も招かれ、配備されたばかりの地対艦ミサイルの発射機などが展示されていました。

“戦争回避の外交を” 市民の抗議活動も

島の住民の間では、開設された駐屯地に将来、「反撃能力」として使うことができる「スタンド・オフ・ミサイル」が配備されるのではないかという不安が広がっています。

石垣駐屯地の開設を記念する式典が開かれる中、駐屯地の外では自衛隊の配備に反対する市民などおよそ30人が集まり、抗議活動を行いました。

集まった人たちは「ミサイル基地はいらない」とか「石垣島を戦場にしないで戦争回避の外交を」などと書かれたのぼりやプラカードを掲げ、反対の意思を示していました。

そして、市民団体の共同代表2人が石垣駐屯地の井上司令に宛てた抗議文を駐屯地の担当者に手渡しました。

「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」の波照間忠共同代表は「建設がはじまってから3年余りが過ぎ、完成もしていないのに駐屯地を開設させたことは遺憾でなりません。今後も断固として、抗議や要請などは続けていきたいです」と話していました。

70代の女性は「自然が好きで15年前に石垣島に移住しましたが、この島の真ん中に軍事基地のようなものを作ることは信じられません。とんでもないことだと思います」と話していました。