高校野球 センバツ【詳しく】山梨学院が初優勝 山梨県勢で初

センバツ高校野球は1日、決勝が行われ、山梨学院が兵庫の報徳学園に7対3で勝って初優勝しました。山梨県勢の甲子園での優勝は、春夏通じて初めてです。

報徳学園が4回に2点を先制しましたが、山梨学院が5回に一気に逆転しました。
※記事後半では詳しい試合経過などをお伝えします。

ーーーー 123 456 789 計HE 
報徳学園 000 200 010 361 
山梨学院 000 070 00X 770.

決勝は、山梨県勢として春夏通じて初めての優勝を目指す山梨学院と、21年ぶり3回目の優勝を目指す報徳学園の対戦となりました。
山梨学院は、4回に2点を先制されましたが、5回、8番・林謙吾投手からの5連続ヒットや5番・佐仲大輝選手のツーランホームランなど打者一巡の攻撃で一挙7点を奪って逆転しました。
投げては、この大会で6試合目の先発となったエースの林投手が逆転したあとは、的を絞らせないピッチングで相手の反撃を8回の1点にとどめ最後まで1人で投げ抜きました。

山梨学院は報徳学園に7対3で勝ち、初優勝を果たしました。山梨県勢の甲子園での優勝は春夏通じて初めてです。
一方、報徳学園は、4回に2点を先制しましたが、5回に逆転されたあと、相手のエースを攻めあぐね、2試合連続で延長戦を制すなど、この大会で見せてきた粘り強さを決勝では発揮できず準優勝となりました。

山梨学院 吉田洸二監督「力を出し切った」

山梨県勢として春夏通じて初めての優勝を果たした山梨学院の吉田洸二監督は「この大会は自分たちの持てる力を出し切って終われたらと思って参加しましたが、甲子園が選手を1試合1試合、成長させてくれて最後の6試合目に本当に力を出し切ったという試合ができました」と振り返りました。また、一挙7点を奪った5回については「きょうはエースの林投手が6試合目で負担がかかるので、打線が援護しようと球場に来る前から気持ちを1つにして、毎回攻めたことが、あの集中打につながりました」と話しました。山梨県勢初優勝については「この10年間、山梨にお世話になって、毎年のように期待を裏切り続けたので、この優勝で少しは帳消しにしてもらえたら」と笑顔で話していました。

山梨学院 林謙吾投手「“楽しんで投げる”突き通せた」

1回戦から決勝まで6試合すべてに先発して決勝も9回3失点と好投した山梨学院の林謙吾投手は「連投だったので苦しい場面が続くのは想定していたので、できるだけ最少失点で投げようと思いました。打撃陣はどこかで絶対点を取ってくれると思っていたので3失点以内に抑えるという気持ちで投げました」と試合を振り返りました。印象に残った試合を問われると「初戦は開幕戦だったので印象に残っていますが、一番は決勝で、2校しか体験できない舞台なので楽しかったです。今大会は初戦から楽しんで投げようと思っていたので、それを突き通せて良かったです」と話していました。そして最後に「優勝することができました。たくさんの声援ありがとうございました」と話しました。
また山梨県勢として春夏通じて初の優勝を果たしたことについては「アルプス席でも甲子園以外でも、たくさんの声援で支えていただいたので恩返しができました」と笑顔で話していました。そのうえで今後の目標について「夏の甲子園に出場して勝てないと意味がないと思っています。誰も慢心はしていないと思いますが、センバツを通じて出たチームとしての反省点やピッチャーとして足りていない能力などを上げていきたいです」と話していました。

山梨学院 佐仲大輝選手「ホームランになってよかった」

山梨学院の5番・キャッチャーで出場した佐仲大輝選手は大きな追加点となった5回のツーランホームランについて「打ったのはストレートで、うまく反応してあわせることができました。追加点が欲しい場面で、ジャストミートしようと打った結果がホームランになってよかったです」と振り返りました。また、6試合すべてに登板したエースの林謙吾投手について「1試合ごとに修正能力が上がり、それがこの結果につながったと思います。センバツ開幕の前に吉田健人部長から『自分のために投げるのではなくチームが勝つために投げなさい』と言われてから投球のよしあしが表情などに出なくなり安定しました」と話していました。

山梨学院 星野泰輝選手「林投手を援護したいと打席に」

山梨学院の2番・星野泰輝選手は5回の勝ち越しタイムリーについて「打ったのは低めのチェンジアップでした。狙ってはいませんでしたが、ツーストライクに追い込まれる前に甘い球を打つ意識でした。少しでも林投手を援護したいと思いながら打席に入りました」と話しました。そして、初優勝の要因について「勝つことや優勝することではなく、チャレンジャー精神で自分たちの野球をすることだけを意識していた分、緊張がほかのチームよりなかったのだと思います」と話していました。

山梨学院 大森燦選手の兄も歓喜「誇らしい」

山梨学院のアルプス席では7番・セカンドで出場した大森燦選手の4歳年上の兄で同じ野球部出身の開さんが、準決勝に続き応援に駆けつけました。開さんは試合前「弟がこの舞台に立っていることが信じられないです。ここまできたら優勝してほしいです」と話し、大森選手のプレー1つ1つにメガホンを叩きながら声援を送っていました。そして、優勝が決まった瞬間はメガホンを持つ手を高くかかげ、うれしそうにしていました。開さんは「山梨県初の優勝を弟がつかんでくれて誇らしいです。この試合を見られたことは一生の思い出です。弟にはありがとう、お疲れさまと伝えたいです」と笑顔を見せていました。

報徳学園 大角健二監督「すべてにおいて力負け」

報徳学園の大角健二監督は「すべてにおいて力負けです。私たちの気迫よりも相手のエース、林投手の気迫が上回っていました」と試合を振り返りました。そのうえで一挙7点を奪われた5回について「先制して、いい形で進んでいたと思いましたが、大量失点が計算外でした。ロースコアの試合で終盤まで踏ん張りたかったので痛かったです」と話しました。そして、夏に向けては「食らいついてというのが報徳学園のスタイルです。自分たちができることをしっかりやって、この悔しさを糧にもう一度、鍛えていきたいです」と話していました。
報徳学園のキャプテン、堀柊那選手は「本当に悔しいです。自分たちの力不足で同じ形でアウトが続いたところがだめなところでした」と話しました。準優勝となった今大会については「正直、決勝まで進めると思っていませんでした。スタンドからの応援とベンチの一体感を生かせた良いゲームができました」と総括しました。そのうえで夏に向けて「きょう負けて、逆にいい経験になりました。全員が本気でいちから練習できると思うので、あすから切り替えていきたいです」と意気込みを話しました。

【最近10年の決勝成績】

▽2014 龍谷大平安(京都)6-2履正社(大阪)
▽2015 敦賀気比(福井)3-1※東海大四(北海道)
▽2016 智弁学園(奈良)2-1高松商(香川)
▽2017 大阪桐蔭(大阪)8-3履正社(大阪)
▽2018 大阪桐蔭(大阪)5-2智弁和歌山(和歌山)
▽2019 東邦(愛知)6-0習志野(千葉)
◆2020 新型コロナ感染拡大影響で中止◆
▽2021 東海大相模(神奈川)3-2明豊(大分)
▽2022 大阪桐蔭(大阪)18-1近江(滋賀)
▽2023 山梨学院(山梨)7-3報徳学園(兵庫)
(※)東海大四は現 東海大札幌

《試合経過》

《先発メンバー》

山梨学院(山梨)

準決勝と同じオーダーで臨みます。先発はエースの林投手です。

1(右)徳弘太陽
2(中)星野泰輝
3(左)岳原陵河
4(一)高橋海翔
5(捕)佐仲大輝
6(遊)進藤天
7(二)大森燦
8(投)林謙吾
9(三)伊藤光輝

報徳学園(兵庫)

準決勝から1番と2番の打順を入れ替えてきました。先発は、準決勝で2人目で投げた間木投手です。

1(左)山増達也
2(中)岩本聖冬生
3(捕)堀柊那
4(右)石野蓮授
5(一)辻田剛暉
6(三)西村大和
7(二)林純司
8(遊)竹内颯平
9(投)間木歩

12:32 試合開始

午後0時32分、センバツ高校野球の決勝、山梨学院 対兵庫の報徳学園の試合が始まりました。先攻は報徳学園、後攻が山梨学院です。山梨学院は、山梨県勢として春夏通じて初の優勝を、報徳学園は優勝した2002年以来、21年ぶりの優勝を目指します。

【1回表】報徳学園 得点圏に進むも無得点 山梨学院0-0報徳学園

1回表、報徳学園はフォアボールで出たランナーを三塁まで進めましたが無得点でした。山梨学院のエース 林謙吾投手は5試合すべてで先発し、準決勝では142球を投げて完投してからの連投です。

1山増 フォアボール
2岩本 セカンドゴロ(1アウト二塁)
3堀 セカンドゴロ(2アウト三塁)
4石野 ショートゴロ

【1回ウラ】山梨学院 ヒットも得点ならず 山梨学院0-0報徳学園

山梨学院は2アウトから両チーム通じて初ヒットでランナーが出ましたが、無得点でした。

1徳弘 空振り三振
2星野 セカンドゴロ
3岳原 レフト前ヒット
4高橋 ライトフライ

【2回表】報徳学園 三者凡退 山梨学院0-0報徳学園

5辻田 センターフライ
6西村 三振
7林 ライトフライ

【2回ウラ】山梨学院も三者凡退 山梨学院0-0報徳学園

両先発投手が立ち上がり、安定したピッチングをみせています。

5佐仲 サードゴロ
6進藤 ライトフライ
7大森 セカンドゴロ

【3回表】報徳学園 ここまでノーヒット 山梨学院0-0報徳学園

3回表、報徳学園は2アウトからフォアボールでランナーを出しましたが無得点でした。

8竹内 ショートゴロ
9間木 ショートゴロ
1山増 フォアボール
2岩本 ピッチャーゴロ

【3回ウラ】山梨学院 三者凡退 山梨学院0-0報徳学園

3回ウラ、山梨学院は三者凡退に終わりました。

8林 ライトフライ
9伊藤 レフトフライ
1徳弘 ショートゴロ

★【4回表】報徳学園が2点先制 山梨学院0-2報徳学園

4回表、報徳学園は先頭バッターがチーム初ヒットとなる内野安打で出塁したあと、ヒットと送りバントでチャンスを広げました。
このあと相手のボークで1点を先制すると、5番・西村選手のタイムリーヒットで追加点をあげました。

3堀 サードへの内野安打
4石野 レフト前ヒット
5辻田 送りバント(1アウト二塁三塁)
6西村 ボークで1点先制(1アウト三塁)
(山梨学院0-1報徳学園)
 センター前タイムリーヒット
(山梨学院0-2報徳学園)
7林 セカンドゴロ
8竹内 セカンドゴロ

【4回ウラ】山梨学院 ランナー出すも無得点 山梨学院0-2報徳学園

4回ウラ、山梨学院はフォアボールでランナーを出しましたが無得点に終わりました。

2星野 ライトフライ
3岳原 フォアボール
4高橋 センターフライ
5佐仲 ショートゴロ

【5回表】報徳学園は三者凡退 山梨学院0-2報徳学園

9間木 セカンドゴロ
1山増 セカンドゴロ
2岩本 空振り三振

★【5回ウラ】山梨学院が一気に逆転 山梨学院7-2報徳学園

5回ウラ、山梨学院は長打を含むヒット5本で5点を奪ったあと、5番・佐仲選手にツーランホームランが出て打者一巡、一挙7得点で試合をひっくり返しました。

6進藤 ショートゴロ
7大森 フォアボール
8林 レフトフェンス直撃ツーベースヒット(1アウト二塁三塁)
9伊藤 レフト前2点タイムリーヒット
(山梨学院2-2報徳学園)
1徳弘 センター前ヒット(1アウト一塁二塁)
2星野 レフトへのタイムリーヒット(1アウト一塁三塁)
(山梨学院3-2報徳学園)
3岳原 ライトへのタイムリーツーベースヒット(1アウト二塁)
(山梨学院5-2報徳学園)

▼報徳学園 投手交代:間木→今朝丸
4高橋 サードゴロ(2アウト二塁)
5佐仲 レフトへのツーランホームラン
(山梨学院7-2報徳学園)
6進藤 ピッチャーゴロ

【6回表】報徳学園は三者凡退 山梨学院7-2報徳学園

6回表、報徳学園は3つのフライで三者凡退に終わりました。リードをもらった山梨学院のエース 林投手が流れを渡しません。

3堀 セカンドフライ
4石野 ライトフライ
5辻田 センターフライ

【6回ウラ】山梨学院は三者凡退 山梨学院7-2報徳学園

7大森 空振り三振
8林 ショートゴロ
9伊藤 三振

【7回表】報徳学園 ヒット出るも無得点 山梨学院7-2報徳学園

7回表、報徳学園は2アウトから4回以来となるヒットでランナーを出しましたが無得点でした。

6西村 ライトフライ
7林 セカンドゴロ
8竹内 センター前ヒット
9代打・福留 ライトフライ

【7回ウラ】山梨学院 この回も三者凡退 山梨学院7-2報徳学園

▼報徳学園 投手交代:今朝丸→星山

7回ウラ、山梨学院は相手の内野の好プレーもあって三者凡退に終わりました。

1徳弘 センターフライ
2星野 セカンドゴロ
3岳原 セカンドゴロ

★【8回表】報徳学園 1点返す 山梨学院7-3報徳学園

8回表、報徳学園は1番から始まる好打順で2者連続のヒットなどでチャンスを作り、4番・石野選手の内野ゴロの間に1点を返しました。

1山増 センター前ヒット
2岩本 サードへのバントヒット(ノーアウト一塁二塁)
3堀 セカンドゴロ(1アウト一塁三塁)
4石野 ファーストゴロ 三塁ランナーがホームに返る
(山梨学院7-3報徳学園)
5辻田 サードファールフライ

【8回ウラ】山梨学院 追加点ならず 山梨学院7-3報徳学園

8回ウラ、山梨学院はフォアボールでランナーを出しましたが、無得点でした。

4高橋 ショートゴロ
5佐仲 フォアボール
6進藤 三振
7大森 センターフライ

【9回表】山梨学院が初優勝 山梨学院7-3報徳学園

9回表、報徳学園は三者凡退に終わりました。この結果、山梨学院が報徳学園に7対3で勝って山梨県勢として春夏通じて初の優勝を果たしました。

6西村 ショートフライ
7林 空振り三振
8竹内 センターフライ(試合終了)

《見どころ》

山梨学院(山梨)

ここまでエースの林謙吾投手が5試合すべてで先発し、そのうち3試合で完投勝ちしてチームを引っ張ってきました。
ただ、強打の広陵(広島)を相手に1失点で完投した31日の準決勝の球数は142球に上っていて、決勝では疲労の懸念もあり、投手リレーや攻撃陣の援護が初優勝の鍵を握りそうです。
【今大会成績】
▽1回戦 3-1 東北
▽2回戦 4-1 氷見
▽3回戦 7-1 光
▽準々決勝 12-3 作新学院
▽準決勝 6-1 広陵

▼得点(1試合平均)6.4
▼チーム打率.329
▼ホームラン0
▼犠打・犠飛15
▼盗塁6
▼失点(1試合平均)1.4
▼失策3

報徳学園(兵庫)

準決勝で大会連覇を狙った大阪桐蔭を相手に5点差を逆転して勝利するなど、ここまで接戦を制して勝ち上がっていて勢いに乗っています。
キャプテンでキャッチャーの堀柊那選手やショートの竹内颯平選手を中心に固い守備からリズムを作り、接戦に持ち込むことができれば、21年ぶりの優勝が近づきそうです。
【今大会成績】
▽2回戦 7-2 健大高崎
▽3回戦 5-4 東邦(延長10回)
▽準々決勝 5-4仙台育英(延長10回)
▽準決勝 7-5 大阪桐蔭

▼得点(1試合平均)6.0
▼チーム打率.343
▼ホームラン2
▼犠打・犠飛9
▼盗塁6
▼失点(1試合平均)3.8
▼失策5