【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4月1日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4月1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍司令官「バフムト包囲の危険は阻止」

激戦が続いていたウクライナ東部のバフムトについて、ウクライナ軍の司令官は「街がロシア軍に包囲される差し迫った危険は阻止された」と述べ、ロシア軍の攻撃が鈍化していると指摘しました。アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズが先月30日の記事で伝えたもので、この中で司令官は「ロシア軍の攻撃の頻度は数分の1に低下した。以前は、少なくとも20人から40人の部隊がすべての方角から同時に攻めてきていたが、その勢いも衰えている」としています。

またアメリカ軍の制服組トップ、ミリー統合参謀本部議長も29日、バフムトの戦況について「過去20日か21日の間で、ロシア軍はバフムトやその周辺で全く前進していない」との分析を明らかにしています。さらにウクライナのレズニコフ国防相も27日、メディアの取材に対し「われわれはロシア軍の攻撃力を減らし、前線を安定化させている」と述べていて、ロシア軍は消耗し、攻撃が停滞しているという指摘が相次いでいます。

一方、バフムトなどで展開しているロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏は29日、SNSで「バフムトでの戦闘ではウクライナ軍を実質的に壊滅させた」と主張しながらも「残念ながら、われわれの側にも深刻な被害が出た」と投稿し、大きな損失が出たことを認めています。

国連安保理 緊急会合 米ロが核兵器めぐり非難の応酬

ロシアが隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備する方針を示したことを受けて、国連の安全保障理事会で緊急会合が開かれ、アメリカが核による脅しをやめるようロシアに求めたのに対し、ロシアはアメリカこそ同盟国に核兵器を配備していると反論し、非難の応酬となりました。

緊急会合では、はじめに国連で軍縮部門のトップを務める中満事務次長が「核兵器をめぐって、すべての国は事態の悪化や不測の事態につながるような行動をとってはならない。NPT=核拡散防止条約の締約国は核のリスクを減らし緊張緩和に取り組むべきだ」と訴えました。

このあと、アメリカのウッド国連次席大使は「プーチン大統領は危険で不安定な行動をエスカレートさせ、国際法や国連憲章を無視していることを改めて世界に知らしめた」と非難し、核による脅しを直ちにやめるようロシアに求めました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は「ロシアが旧ソビエトの国々から核兵器を撤去したのに、アメリカこそNATO=北大西洋条約機構の加盟国に核兵器を配備している」などと反論し、非難の応酬となりました。

ブチャ解放1年で式典「忘れることは許されない」

ロシア軍による侵攻で多くの市民が犠牲になったウクライナの首都キーウ近郊のブチャが解放されてから3月31日で1年となったのに合わせて式典が開かれ、ゼレンスキー大統領は「ブチャでの出来事を忘れることは許されない」と述べ、勝利に向けた決意を改めて強調しました。

式典はゼレンスキー大統領のほか、スロバキア、スロベニア、クロアチア、それに、モルドバの首脳らも出席して行われ、ウクライナの国旗が掲揚されたあと、ロシア軍の撃退に貢献した兵士などの表彰が行われました。

ブチャでは一時占拠していたロシア軍が撤退した後、400人以上の市民の遺体が確認され、ウクライナの検察や国際刑事裁判所がロシア軍による戦争犯罪の疑いがあるとして捜査を進めています。

プーチン大統領 新たな外交政策の基本指針を承認

プーチン大統領は3月31日、新たな外交政策の基本指針を承認しました。

2016年以来となった改定の中で「アメリカなど西側諸国はロシアがウクライナにおける重要な国益を守るためにとった措置に対して新たなハイブリッド戦争を開始した。目的はロシアを弱体化させることだ」などとウクライナ侵攻を正当化し、欧米との対決姿勢を鮮明にしています。

また、「ロシアは国連安全保障理事会の常任理事国であり、2大核保有国の1つだ」と強調しながら、中国やインドなどとの連携強化を重視し多極化した国際秩序の構築を目指すとうたっています。

ただ、プーチン政権は、ことし2月にアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行を停止したほか、たびたび核戦力をちらつかせてウクライナへの軍事支援を強める欧米などを威嚇しています。

来週にはモスクワで、ロシアとベラルーシの両首脳が2国間の連携強化を話し合う会合を開く予定で、ベラルーシへの核兵器の配備に向けても意見が交わされるとみられます。