新型コロナ5類移行後 “入場時検温など自主的に判断” 厚労省

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行したあとの感染対策について、厚生労働省は手洗いや換気は引き続き有効だとする一方で、事業者などが行っている入場時の検温などの対策は効果やコストなどを踏まえて、自主的に判断するなどといった基本的な考え方を示しました。

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、5月8日に「5類」に移行したあとの感染対策については、政府が法律に基づいて一律に求める現在の仕組みから、個人や事業者などによる自主的な判断に委ねる仕組みに変わることになります。

これについて厚生労働省は31日、基本的な考え方のポイントを示しました。

具体的には、手洗いなどの手指衛生と換気については引き続き有効だとしています。

また、いわゆる「3密」の回避や、人と人との距離の確保については、流行期には重症化リスクの高い人にとって有効だとしています。

一方、事業者などが行っている入場時の検温、入り口での消毒液の設置、パーティションの設置などの感染対策については、効果やコストなどを踏まえ判断してほしいとしています。
加藤厚生労働大臣は閣議後の記者会見で、「5月8日以降も国民の皆様、また事業者の皆さんが円滑に感染対策を進めながら、それぞれ経済社会活動を行っていただけるよう、厚生労働省としても引き続き努力していきたい」と述べました。

大学 アクリル板は状況見て撤去

新型コロナ対策の緩和が進むなか、横浜市の大学では食堂に設置しているアクリル板を来月中も継続し、5月以降、状況を見ながら撤去する対応を決めました。

横浜市金沢区の関東学院大学では感染防止対策として、学生食堂のテーブルなどにアクリル板を設置し、個別のスペースを確保してきました。

大学では政府がマスクの着用を個人の判断に委ねる方針を示したことを受けて、アクリル板についても段階的に撤去することにしています。

4月は新入生など多くの学生で食堂が混雑すると予想されることから、テーブルにアクリル板を引き続き設置するほか、パソコンを利用するなど学生どうしの距離を確保できないような教室でも、アクリル板を設置することにしています。

一方で、マスクの着用は求めないとするほか、大学の入り口に設置していた体温を測定するサーマルカメラは撤去する予定です。

5月以降は感染状況などに応じて順次、アクリル板を撤去する方針だということです。

女子大学生は「アクリル板があると話が全く聞こえず、会話に入れないときがあり少し悲しかったです。マスクを外してもよくなったので、アクリル板も少しずつ外していって、コミュニケーションがとりやすくなるといいなと思います」と話していました。

関東学院大学広報課の安田智宏さんは「今後、アクリル板やマスクについて学生からいろいろな声が寄せられると思うので、感染状況をみながら大学全体で検討していきたい」と話していました。

市役所 窓口は当面継続

一方、自治体では高齢者や基礎疾患のある人など幅広く市民が訪れることから、当面、受付窓口でのアクリル板の設置を続ける対応を決めたところもあります。

東京 狛江市の市役所では、新型コロナウイルスの感染拡大初期から、受付窓口にアクリル板や消毒液を設置して、戸籍やマイナンバーなどの申請に訪れる市民の対応に当たってきました。

新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行するなど緩和の動きが進むのを受けて今後の対応を検討したところ、当面は窓口でのアクリル板の使用を継続することにしました。

市役所には高齢者や基礎疾患のある人など幅広く市民が訪れることや、市民の中には感染への不安を強く感じる人もいることが理由で、市民課の窓口ではこの日も職員と訪れた人がアクリル板越しにやりとりをしていました。

建物の入り口や窓口の脇に置かれている消毒液のほか、体温計などの設置も当面継続することにしています。

一方、職員が業務にあたる机については、これまで段ボールなどを使った仕切りを設けていましたが、今月13日にマスクの着用が緩和されたのにあわせて撤去しました。

狛江市市民課の杉田剛課長は「アクリル板を一気に外すのに不安のある人もいると思うので、様子を見ていく必要があると思います。今後は国や東京都の動向を見ながら感染対策を継続するかどうか判断しますが、不特定多数の方が多く来庁する市役所という特性も考えて、検討しなければなりません」と話しています。

専門家「緩急つけて感染対策を」

5類移行後の新たな感染対策について、新型コロナウイルス対策にあたる政府分科会のメンバーで東邦大学の舘田一博教授は「事業所などでのパーティションの設置や体温測定などは感染対策として過剰に行われてきた部分があり、効果的な場面での対策は残しつつ、必要ないと判断される対策は少しずつ減らしていく取り組みが大事になる。例えば、パーティションの設置はお互いマスクを着けているような場面では、それほど必要ではないが、役所の窓口のように係員がマスクを外している大勢の人と接するような場面では、直接、飛まつを浴びることを防ぐために、パーティションを設置しておく意義はある。うまく緩急をつけて、感染対策を行っていくことが重要だ」と話しています。