自転車ヘルメットの努力義務 自転車店には問い合わせ急増

4月1日から自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務になります。

東京都内の自転車専門店では、ヘルメットの購入や電話による問い合わせが急増しています。

また、共同で自転車を利用する「シェアサイクル」を展開する会社ではヘルメットの着用をめぐる対応についての模索が続いています。

自転車専門店 ヘルメットのコーナー拡充

東京 港区の自転車専門店では、今月に入ってからヘルメットを買い求める人からの問い合わせが相次ぎ、特に40代から80代前後の人が多いということです。

このため店では子ども向けがほとんどだったヘルメットのコーナーを拡充し、新たに大人向けのものを20個ほど並べました。
黒色のシンプルなデザインのヘルメットが特に人気でよく売れているということですが、壁に並んだ商品の中には売り切れるものもあり、品薄の傾向が続いています。

店によると帽子のような見た目のカジュアルなヘルメットを探しに訪れる人も多いそうですが需要の急増でメーカーからの仕入れができず、なかなか手に入らないということです。
運営する「サイクルオリンピック」によりますと首都圏にある30余りの店舗をあわせたヘルメットの販売数は3月1日から29日までに1260個と去年の同じ時期と比べおよそ36倍に達しています。

40代の女性は「買い物で自転車を使いますが、努力義務と言われると着けた方がいいのかと思い、探しに来ました。数日前に比べてだいぶ在庫がなくて驚きました。軽くて頑丈でかわいい色が欲しいです」と話していました。
店長の間澤健二さんは「ほぼ毎日、ヘルメットの問い合わせや販売数が増えて品物が無くなる状態で驚いています。いままでヘルメットをかぶったことがない方が多いので、買い求める人の意見を集約して、希望に沿った商品を取りそろえたい」と話しています。

衛生面・サイズ 対応への模索続く「シェアサイクル」

共同で自転車を利用する「シェアサイクル」を展開する会社では、ヘルメットの着用をめぐる対応についての模索が続いています。

都内の駅や商業施設などを中心に全国6200か所余りで「シェアサイクル」を展開する会社によりますと、利用者はサービスを始めた7年前の2016年から増え続け、会員およそ200万人がビジネスや買い物などに利用しているということです。
ヘルメットの着用があさってから努力義務化されることについてアプリやホームページで周知しているほか、安全のために利用者にヘルメットの着用を呼びかけていますが、判断は個人に委ねることにしています。

会社では駐輪スペースにヘルメットを置いて貸し出すことも検討していますが、多くの人が同じものを使うことによる衛生面の懸念や利用者によってヘルメットのサイズが異なるといった課題があり、現時点では実現できていないということです。

仕事で週に2回ほど利用するという20代の男性は「実際にどうするかは周囲の様子を見て考えたいです。ヘルメットは持ち運べないのでできれば置いてもらいたいです」と話していました。

「オープンストリート」の尾崎梢 さんは「努力義務ということで、事業者側から『ヘルメットを必ずかぶるように』と言うのは難しいです。ヘルメットを着用する文化が根づくように情報発信をしていきたい」と話していました。

死傷者 6万8140人 約9割がヘルメット着用せず

警察庁によりますと去年1年間に全国で起きた自転車乗車中の事故で死亡した人は339人でこのうち179人が頭に致命傷を負っていたということです。

死亡した人とけがをした人をあわせると6万8140人で、このうち88%余りの人がヘルメットを着用していませんでした。

課題は高齢者の着用率の低さ

着用率を年代別にみると
▽1歳から9歳までが27.9%と最も高く
▽10代が15.8%
▽20代が5.8%
▽30代が8.2%
▽40代が10.2%
▽50代が9.2%
▽65歳以上の高齢者は3.6%にとどまりました。

20代以上の大人の世代、特に高齢者の着用率の低さが課題になっています。

自転車乗車中で事故で死傷した人のうち死亡した人の占める割合は、ヘルメットを着用していなかった場合が、着用していた場合のおよそ2.6倍だったということです。

警察庁は、ヘルメット着用を習慣化することで事故による被害を最小限におさえていきたいとしています。