EVのバッテリー材料の供給網を強化 日米両政府が新協定を締結

日米両政府は、EV=電気自動車のバッテリーの材料となる重要鉱物のサプライチェーン=供給網の強化に向け、新たな協定を締結したと正式に発表しました。これによって日本の自動車メーカーが北米で生産するEVも税額控除の対象となり、アメリカ市場での競争力が一定程度確保されるものとみられます。

アメリカは去年、EVを購入する消費者向けに、1台当たり日本円で最大およそ100万円の税額控除を行う措置を表明しましたが、▽日本の自動車メーカーが日本で生産したEVをアメリカに輸出した場合や、▽アメリカでEVを生産した場合でも電池の材料となる重要鉱物の加工を日本で行った場合は対象に含まれない可能性がありました。

このため日米両政府で協議を行っていましたが、28日、リチウムやニッケル、コバルトなど、5つの重要鉱物のサプライチェーンの強化に向けた新たな協定が締結されました。

新たな協定では、▽日本で生産されたEVは対象にはならないものの、▽重要鉱物の加工などを日本で行った場合でも北米でEVが生産されていれば日本円で最大およそ50万円の税額控除が行われることになり、アメリカ市場での競争力が一定程度確保されるものとみられます。

協定の締結に先立って28日、西村経済産業大臣は閣議のあとの会見で「電気自動車のバッテリーの大幅な需要拡大が見込まれるなか、今回の協定は日米、さらには同志国との連携による強じんなサプライチェーンの構築を目指すものだ」と話していました。

日本メーカーには電動車生産の計画

日本の自動車メーカーでは、▽トヨタ自動車が2025年にもケンタッキー州の工場で電動車の本格的な生産を始める計画です。

また、▽ホンダはオハイオ州の3つの工場をEVの生産拠点にする計画です。
両社は電池工場についてもアメリカに建設する予定で、現地生産に向けた投資を加速させています。

新たな協定で電池の調達網の拡大につながるとみられていることから、今後、日本の自動車メーカーのEV戦略にどのような影響を与えるかが焦点となります。