子どもの転落どう防ぐ?鍵をかけても、足場が無くても注意!

子どもの転落どう防ぐ?鍵をかけても、足場が無くても注意!
今月、名古屋市で2歳の双子の兄弟がマンションの窓から転落し死亡しました。

去年11月には千葉市や大阪・豊中市でも事故が起きています。

痛ましい事故を受けてSNS上では「対策をしていても、子どもは想定できない行動をする」という声が相次いでいます。

数秒で窓枠によじ登る

SNSに投稿した1人、1歳と3歳の子どもを育てる30代の母親にオンラインで話を聞かせてもらいました。
自宅の2階の窓の近くには足場になるような物を置かないよう気をつけているそうですが、3歳の長男はいつの間にか窓枠を手でつかんで壁に足をつけ、数秒で登ってしまうようになったといいます。
窓が開いた状態だと転落防止用の柵も乗り越えかねないため、日頃から窓に鍵をかけていますが、そのうち開けてしまうのではないかと気が気でないといいます。
30代の母親
子どもは次から次へと予想外のことをするので対策をしてもいたちごっこの状態で、毎日ハラハラしながら過ごしています。2階の窓にはロック機能もついていますが、手の届かない上のほうに3つめの鍵をつけることを検討しています。

大人の想定を超えた行動で…

防犯用などとして比較的安く販売されている補助錠。

手の届かない高い位置につけることで転落防止対策に有効だとされています。

しかし…
「うちの長男は傘で解除しました」
「2歳で余裕で破るよ。大人が背伸びして届くくらいの高さに台を積み上げてた」
想定を超えた行動で開けられてしまったという声が相次いでいるのです。

こうしたケースにはどう対応すればいいのか。

小児科医でNPO法人「Safe Kids Japan」の山中龍宏理事長は、ワンタッチで操作するものや暗証番号を入力するものなど違う種類の鍵を組み合わせることが効果的だと指摘します。
Safe Kids Japan 山中龍宏理事長
補助錠にはいろいろな種類があり、これらを組み合わせて複数の動作をしなければ開かないようにすることで、子どもたちが開けにくい仕掛けを作っていくことが重要です。

足場になるもの排除しても

また足場になるような物を置かないようにしても、子どもが足場を作ってしまうことも。

都内に住む40代の母親は、双子が2歳のとき、重たい椅子を力を合わせて隣の部屋の窓際に引きずっていくのを目撃したそうです。

マンションの5階に住んでいて、子どもたちはだっこしてもらい窓から公園を見るのが好きなのだそうです。
40代の母親
重い椅子を小さい子が運ぶとは思ってもいませんでしたが、2人で協力するとできてしまうんだと青ざめました。双子は1人を踏み台にして高いところに登ろうとすることもあると聞き、リスクが多いと感じています。

基本的な対策は

国のまとめでは令和3年までの5年間に9歳以下の子どもで23件、建物からの転落による死亡事故が発生しています。(厚生労働省「人口動態調査」より)

国はホームページで基本的な対策を紹介しています。
1.補助錠を付ける
2.ベランダには物を置かない
3.室内の窓の近くに物を置かない
4.窓、網戸、ベランダの手すりなどに劣化がないかを定期的に点検する
子どもの見守り・教育の面では3つのポイントがあります。
1.子どもだけを家に残して外出しない
2.ベランダでは子どもだけで遊ばせない
3.窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせない

転落対策の費用を補助する制度も

マンションなど集合住宅に住む人が利用できる「子育て支援型共同住宅推進事業」は、ベランダや窓に手すりをつけたり、窓に補助鍵をつけたりする費用の一部を最大100万円まで補助します。
防犯対策も兼ねた事業のため、同時に防犯カメラの設置などが必要になりますが、小学生以下の子どもがいる家庭で、住宅の持ち主に了解を得た上で工事を行えば、分譲でも賃貸でも補助を受けられます。

また「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は戸建て住宅も活用することができます。(※リフォーム業者を通じて申し込む制度です)
工事によって耐震基準や一定の省エネ性能を満たすことなどが条件となりますが、手すりや補助鍵を設置する費用の一部を補助します。

子どもの事故対策に取り組む山中さんは、家庭でできる対策をしたうえで、ヒヤリハットの事例などを社会全体で共有することが重要だと指摘します。
Safe Kids Japan 山中龍宏理事長
痛ましい事故の教訓が保護者に伝われば家での対策につながり、企業は新商品の開発、行政は法律の規制へとつながっていきます。社会全体で事故を減らしていくためにも、国民がきちんとその情報にアクセスできることが必要だと考えています。

知見を社会が共有すること

転落事故を伝えるニュースに対して、SNSでは多くの人が対策について自らの体験に重ねて投稿をしていました。
取材を通じて改めてわかったのは、子どもたちは大人の想像を超えるような行動をするということです。

傘で開けてしまう、足場を自分たちで作ってしまう。

具体的なケースを共有することで、家庭での対策や企業、国の制度を見直すきっかけにしていかなければならないと思います。

(首都圏局 岡部咲 ネットワーク報道部 高杉北斗 SNSリサーチ 三輪衣見子)