【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

EU上級代表 “ベラルーシは戦術核兵器の配備の拒否を”

ロシアのプーチン大統領が、ベラルーシに戦術核兵器を配備すると明らかにしたことについて、EUの外相に当たるボレル上級代表は26日、ツイッターに「ベラルーシによるロシアの核兵器の受け入れは、緊張をさらに高め、ヨーロッパの安全を脅かす無責任な行為だ。ベラルーシは自国の選択としてそれを止めることができる」と投稿しました。

そのうえで、ベラルーシに対してさらなる制裁の用意もあるとして、配備を拒否するよう求めました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は27日「西側諸国が反応を示しているが、ロシアの計画に影響を与えることは決してない」と述べ、ベラルーシへの戦術核兵器の配備は予定どおり行われると強調しました。

プーチン大統領は、26日までに公開されたインタビューの中で、欧米側からウクライナへの兵器の供与が「レッドライン」を越えているかという質問に対し「そうだ。彼らはすでにそれを行っている」と述べて反発するなど、欧米側の軍事支援へのけん制を強めています。

ロシアの安全保障専門家「プーチン大統領 核のカードに依存」

ロシアの安全保障に詳しい防衛省防衛研究所の長谷川雄之 研究員は、ロシアのプーチン大統領がベラルーシに戦術核兵器を配備すると明らかにしたことについて「ほかの国を巻き込んだ形で核のカードを切ってきたのは、新しいフェーズだ。侵攻が長引いて、ロシア軍が思うような戦いが進められていない中で、欧米をけん制するとともに、軍事力を強化しているというロシア国内向けのメッセージではないか」と指摘しました。

また、ロシア側が現時点で戦術核を使用する可能性は低く、ベラルーシへの戦術核兵器の配備が戦況に大きな変化をもたらすことはないとしました。

そのうえで長谷川研究員は「ロシア側は、NATO=北大西洋条約機構や欧米諸国と比べて、戦車など通常兵器でかなり劣っている。プーチン大統領は引き続き、核のカードを使うことに依存し、今後、その依存を深めるリスクがある」と述べ、ロシア側は引き続き、核戦力を誇示して威嚇を続けるとみられるとしてその意図を見極めていく必要があると指摘しました。

プーチン大統領側近「NATOは この紛争の当事者」

プーチン大統領の側近のパトルシェフ安全保障会議書記は、27日に公開されたロシアメディアのインタビューに対し「NATO=北大西洋条約機構は、この紛争の当事者となっている。戦場でロシアを敗北させ、解体するという目的を隠そうともしていない」と反発するなど、ロシア側は、ウクライナへの軍事支援を強化する欧米側へのけん制を強めています。

米シンクタンク “ロシア側 攻撃の勢い失われているか”

ロシア軍が掌握をねらうウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトの状況について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日「ロシア軍はバフムトや周辺の攻撃を続けているが、市内でわずかな前進しかみられない」と指摘しました。

ウクライナ軍もロシアによる攻撃の回数が、この2日間減っていることを明らかにしていて、ロシア側の攻撃の勢いが失われているという見方が相次いでいます。

ロシア国防省 ウクライナ軍の無人機撃墜を発表

ロシア国防省は26日、首都モスクワからおよそ200キロ南にあるトゥーラ州で、ウクライナ軍の無人機を撃墜したと発表しました。

国防省は、撃墜した無人機は旧ソビエト時代に開発された「ツポレフ141」だとした上で住宅地に墜落したと主張しました。これに関連してロシア国営のタス通信は地元当局の話として、無人機の墜落による爆発で3人がケガをしたほか、住宅3棟が被害を受けたと伝えました。

ロシアでは去年12月にも南部と中部の空軍基地がウクライナ軍によるとみられる無人機攻撃を受け、ロシア側が警戒を強めています。

プーチン 中国とロシアの関係は欧米の脅威にならないと主張

ロシアのプーチン大統領は国営メディアが伝えたインタビューの中で、中国との関係について「いかなる軍事同盟も結んでいない」と述べ、欧米への脅威とはならないという考えを示しました。そして「軍事技術の分野では協力しているが、透明性があり、そこに秘密はない」と主張しました。

一方でプーチン大統領は、NATO=北大西洋条約機構がアジア太平洋地域で影響力を拡大させていると批判したうえで、「われわれではなく欧米の専門家が、1930年代にドイツ、イタリア、それに日本によってつくられたものに似た新たな軸の形成を西側が目指していると指摘している」と述べましたが具体的な根拠は示しませんでした。

ウクライナ 安保理の緊急会合求める ロシアの核配備方針に反発

ロシアのプーチン大統領が隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備すると明らかにしたことに対してウクライナ外務省は「プーチン政権による新たな挑発行為だ」などと非難し、国連安全保障理事会の緊急会合を開催するよう求めました。

また、日本などG7=主要7か国とEU=ヨーロッパ連合に、ベラルーシ政府に対して「ロシアから戦術核兵器を受け入れれば甚大な損失をもたらすことになる」と警告するよう求めました。

NATO報道官「危険で無責任な主張」

ロシアのプーチン大統領がベラルーシに戦術核兵器を配備すると明らかにしたことについて、NATO=北大西洋条約機構の報道官は声明で「危険で無責任な主張だ。NATOは状況を注視しているが、ロシアの核兵器の配置にこれまでのところ変化は見られない。NATOはすべての加盟国の防衛のため関与していく」と強調しました。

米戦略広報調整官「核兵器の移動示すものはない」

ロシアのプーチン大統領がベラルーシに戦術核兵器を配備すると明らかにしたことについて、アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は26日、CBSテレビのインタビューで「プーチン大統領が核兵器を移動させたことを示すものはなく、ウクライナ国内で核兵器を使用する意図を持っているという兆しも見られない」と述べ、現時点でロシアが核兵器を使用する動きはないという認識を示しました。

そのうえでカービー調整官は「侵攻開始以来、日々ロシア側の発言を注視しているが、われわれの戦略的な抑止態勢を変更しなければならないようなものはない」と述べました。

バフムト ロシアの攻撃回数がこの2日で減少

ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトの状況について、ウクライナ軍東部方面部隊の報道官が26日、地元のテレビ局に出演し説明しました。

この中で報道官は「バフムト全体ではきのうは18回の攻撃があり、きょうは17回だった。その前は35回から50回以上だった」と述べ、ロシアによる攻撃の回数がこの2日間減っていることを明らかにしました。

その理由については詳細な分析が必要だとしながらも「敵の行動を予測し、コントロールすることで、状況を安定化させている」として、ロシア側の動きを把握し戦車や弾薬庫を破壊するなどの攻撃を行うことで、前進を防いでいると強調しました。