マスク着用状況調査 去年からおおむね横ばいの状態

マスクを着用するかどうか判断する時、住んでいる地域の感染状況を参考にしている人が5割にのぼる一方、周囲の人の着用状況を参考にする人も3割いるという調査結果を東京大学などのグループが明らかにしました。

東京大学の仲田泰祐准教授と一橋大学の高久玲音准教授のグループは、去年8月から毎週、マスクの着用状況についてインターネットでアンケート調査を続けていて、着用が個人の判断に委ねられた3月13日より前の今月第1週の時点のデータを公表しました。

それによりますとマスクを「常にしている」、または「おおむねしている」と答えた人の割合は、
▼人通りの少ない街なかを歩いているときでは66.5%、
▼百貨店などで静かに買い物をするときでは82.6%で、
去年からおおむね横ばいの状態が続いているということです。

マスクを着用するべきかどうかの考え方を尋ねると、「外してもよいと思う」または「どちらかというと外してもよい」という人が、
▼人通りの少ない街なかを歩いているときでは67.3%、
▼百貨店などで静かに買い物をするときでは30.8%で、
ことしに入って増加傾向だということです。

一方、「マスクを外してもよいと思うものの、実際にはマスクを着用している」という人の割合は、
▼人通りの少ない街なかを歩いているときでは44.6%、
▼百貨店などで静かに買い物をするときでは26.4%だったということです。

また、マスクを着用するかどうかの判断に使う情報を複数回答で尋ねると、多い順に
▼住んでいる地域の感染状況が最も多く50.8%、
▼周囲の着用状況が35.2%、
▼住んでいる地域の医療のひっ迫度合いが26.7%、
▼新型コロナ以外の健康上の理由が26%、
▼慣れが25.4%だったということです。

韓国 マスク緩和しデパートの売り上げ変化

韓国政府は、新型コロナの新規感染者数が減少傾向にあるとして、医療機関などを除いて屋内でのマスク着用についてことし1月30日から「義務」を解除して「勧告」に緩和しました。

屋内でのマスク着用義務が解除されて以降、ソウル中心部のデパートでは、一部の商品の売り上げに変化が現れています。

屋内でマスクをしないことを意識して、化粧品を買い求める客が増えていて、取材したデパートでは、口紅やチークなどの売り上げが2月は、前の年の同じ月と比べて30%以上伸びたということです。

また、香りを気にする人も増え、香水の売り上げも伸びてきているということです。

化粧品売り場を担当するデパートの担当者は「マスクの着用義務が解除されたことで、自由に行動できるという気持ちになって、化粧品や香水以外にも全般的に売り上げの伸びが期待できる」と話していました。

米ニューヨーク マスク着用求め続ける店も

アメリカではCDCがマスクの着用を推奨しているかどうかにかかわらず独自のルールでマスクの着用を求め続ける店もあります。

ニューヨーク市内にある個人経営の書店では、3年前の6月月ごろから、客にマスクの着用を求めていて、いまもこのルールを続けています。

入り口には店内でのマスク着用を求めるお知らせが張られ、マスクを持っていない客には店側がマスクを用意して、着けてもらっています。

この店には幼い子ども連れや高齢の客も数多く訪れるということで、限られた空間の中で客と従業員が少しでも安心して過ごせるよう、こうした対応を続けているということです。

この対応に対して、客との大きなトラブルはこれまでのところないということで、書店の店主は「ほとんどの利用客からは肯定的な反応をもらっています。世の中の感染状況を見ながら、従業員と私自身が納得できるまではマスク着用を続けるつもりです」と話していました。

米 マスク着用 州ごとにルール異なる

アメリカではマスクの着用について州ごとにルールが異なります。

屋内でのマスクの着用義務は一部の州で定められていましたが、去年3月までにすべての州で撤廃されました。

また、バス、鉄道などの公共の交通機関での着用について例えばニューヨーク州では、去年9月に、着用義務が撤廃され、着用するかどうかは個人の判断に委ねられています。

現在はCDC=アメリカ疾病対策センターが地域ごとに感染状況を基準にした3段階の「レベル」を公表していて、レベルに応じてCDCとして、マスクの着用を推奨する場合があります。

この情報は毎週、更新され、今月3月23日現在、3段階のうち、もっともレベルが高く、CDCが重症化リスクのない人でもマスク着用を推奨している地域は、アメリカ全土のおよそ0.8%となっています。

米 「いつも着ける」は12%

調査会社イプソスによりますと2月、公共の場所でマスクをつけるかアメリカで尋ねたところ、
▼「いつも着ける」は12%、
▼「ときどき着ける」は18%、
▼「たまに着ける」は26%、
▼「まったく着けない」は44%だったということです。

この調査会社では2020年4月からアメリカ国内のマスクの着用率を定期的に調べています。

マスクを着用する人の割合が最も高かったのは2020年の12月と2021年の1月で、質問が異なるため単純に比較はできませんが、自宅を出るときにマスクを着用しているか、たずねたところ、全体の76%が「いつも着ける」と回答し、「ときどき着ける」とあわせると全体の92%に上っていました。

ニューヨーク中心部 街の人は

3月初め、ニューヨーク中心部にある地下鉄の駅の近くではほとんどの人はマスクをしていませんが、なかには着用している人の姿もみられました。

マスクを着けていた70代の女性は「人混み、バスや電車ではマスクを着けます。私は若くなく、自分で自分を守らなければいけませんし、家族も守らないといけない。だからマスクを着けます。着けない人もいるのは人それぞれですし無理強いはできませんね」と話していました。

30代の男性は「最近、知り合いに感染した人もいて、大きな都市や多くの人がいるところでは感染を避けられないと思います。わたしはマンハッタンに出かける時や密閉された空間ではいまもマスクをしています。着けない人がいるのはその人の選択だと思います。私たちは自分を守るのに最善を尽くさなければならないのと、お互いに思いやりを持たないといけませんね」と話していました。

20代の男性は「コロナの流行はまだ続いていると思います。自分は最初のころから感染しないようとても気をつけていました。屋内でマスクを着けない人がいるのはとても気になっていて、自分の感染リスクが高くなっていると思います」と話していました。

一方でマスクを着用していなかった18歳の女性は「マスクをやめたのはたぶん1年くらい前です。もうパンデミックは終わったと感じますし、みんな免疫ができてワクチンも打っています。だからマスクはぜんぜん必要ないと思います」と話していました。

50代の男性は「もう4回もワクチンを打っていますし、これが『新しい生活様式』なのだと思います。でも地下鉄ではまだマスクを着けています。ニューヨークではワクチンの接種率も高いので1年前に感じていたような脅威はもう収まっていると思いますし、コロナはインフルエンザみたいなものなのだと感じます」と話していました。

70代の男性は「健康ですしワクチンも打っているのでマスクは着けていません。半年くらい前までは着けていましたが、いまは保健当局も『着けなくても大丈夫』だと言っています。政府の言うことに従っているだけです」と話していました。

専門家「CDCの推奨参考に個人が判断できること重要」

マスクの効果を研究している、バージニア工科大学のリンジー・マー教授は「特に長時間、感染者がいる可能性のある屋内にとどまる場合は感染リスクが非常に高く、そういった場所では常にマスクを着用することが望ましい」と指摘しています。

その上で「マスクの着用を推奨するかどうかを、地域ごとの感染状況と連動させるCDCのやり方はとてもよい方法だと思うし必要なことだと考えている。アメリカではマスクを着けるかどうかは個人の選択となっており、CDCの推奨を参考に個人が判断できることが重要だ」と話し、感染の状況に応じて臨機応変にマスクを着用するかどうかを判断することが重要だという認識を示しました。

また、マスクの着用が個人の判断になった現在も、飛行機やバスなどの公共交通機関でマスクを着用する人が一定数、いることを例にあげ、「アメリカで1割から2割の人がマスクを着用しているのは研究者としては喜ばしい。マスクをする習慣がなかったアメリカでマスク着用が『新しい生活様式』になったのかもしれない」と話していました。