フィギュア世界選手権 アイスダンス “かなだい”は11位

日本で開催されているフィギュアスケートの世界選手権は25日、アイスダンス後半のフリーダンスが行われ、村元哉中選手と高橋大輔選手のカップルはプログラムの世界観を存分に表現する会心の演技で、日本勢過去最高に並ぶ11位でした。

4年ぶりに日本で開催されているフィギュアスケートの世界選手権は25日、さいたま市のさいたまスーパーアリーナでアイスダンス後半のフリーダンスが行われました。

“かなだい”の愛称で親しまれる村元選手と高橋選手のカップルは、冒頭からプログラムである映画『オペラ座の怪人』の世界観を表現し、見せ場であるリフトのコンビネーションでは最高評価のレベルフォーを獲得しました。

このあと片足ターンを繰り返すツイズルを確実にこなすと、今シーズン課題としてきた片足だけのステップでは巧みなエッジワークを披露しました。

そして終盤、最大の見せ場でリンクの端から端までを斜めに移動するステップでは息の合った優雅な滑りで会場を魅了しました。

2人は今シーズン、フリーダンスを初めてミスなく演じきり、演技直後にはリンク上で涙を流して喜びました。

フリーダンスの得点は自己ベストを更新する115.95、合計は188.87で、日本勢の過去最高に並ぶ11位に入りました。

1位はアメリカのマディソン・チョーク選手とエバン・ベイツ選手、2位はイタリアのシャルレーヌ・ギニャール選手とマルコ・ファブリ選手、3位はカナダのパイパー・ギレス選手、ポール・ポワリエ選手のカップルでした。

高橋大輔「ミスなく最後までオペラ座の世界観に」

高橋大輔選手はシングル時代の2007年、日本開催の世界選手権で『オペラ座の怪人』のプログラムを演じ、その16年後、再び日本での世界選手権で、今度はアイスダンサーとして村元選手とのカップルで演じきりました。

演技後、高橋選手は「素直にうれしい。ミスなく最後までオペラ座の世界観に入り込んだ。エネルギーも切れずに、演技の途中から“いける”という感覚で、日本での開催でプレッシャーもあったが、満足の演技ができたことをうれしく思う」と笑顔で振り返りました。

今シーズン、ミスが続き、苦しんできた演技後半については「今回はバテずにパワーが残っている状況で最後まで100%、いい感触だった。大会に向けていい練習を積めたのが一番で、お互いを信頼し合うことで息が合って体力が削られるのをなくしてくれた」と話しました。

そして、アイスダンス転向後の3シーズンを振り返り「ここまでお互いが納得する演技ができたのはこの『オペラ座の怪人』が初めてと思えるくらい気持ち良く滑ることができた。喜びや成長を感じ、かなちゃんが誘ってくれなかったらアイスダンスをすることはなかったので、いろんな意味の感謝がある」と充実した表情で語りました。

そのうえで今後の活動について問われると「まだ考えていない。きょうは余韻に浸ります」と笑顔で話していました。

村元哉中「ただただ感動、滑っている一つ一つの瞬間が幸せ」

村元哉中選手は「最初は緊張感があったが曲が始まってからはその世界観に2人とも入り込んでいた。一つ一つのエレメンツを丁寧にクリアして最後のステップの途中からはお互い顔を見て笑っていた。本当にミスなく終われてすごくうれしい」と達成感を語りました。

そのうえで「大ちゃんのシングル時代の『オペラ座の怪人』が強く印象に残っていて、それをまさか日本開催の世界選手権で一緒に滑ることができるとは思ってもいなかった。ただただ感動、滑っている一つ一つの瞬間が幸せだった」と振り返りました。

最後にアイスダンスのすばらしさを問われると「誰かと一緒に滑るのは大変だが滑り終えたあとは喜びが倍になる。シングルとの違いはそこにあって、誰かとその瞬間を分かち合えるのは最高のこと」と話していました。