高校野球 センバツ 作新学院が英明に勝つ 大会7日目 第3試合

センバツ高校野球、大会7日目の第3試合は栃木の作新学院が香川の英明高校に9対8で逆転勝ちし、ベスト8一番乗りを決めました。

作新学院は1対1で迎えた6回に勝ち越しを許し、3点を追う形で終盤を迎えました。

作新学院は7回、途中出場で9番の塙綸ノ亮選手と1番の高森風我選手の連続タイムリーで1点差に迫りました。

さらに8回には、6番の東海林智選手の2点タイムリーヒットなどで4点を挙げて7対4と逆転しました。

しかし、そのウラにスリーランホームランを許すなどして4点を奪われて再び1点リードされました。

それでも9回、5番の武藤匠海選手が再度逆転するツーランホームランを打ってシーソーゲームに決着をつけ、9対8で勝ちました。

作新学院はベスト8一番乗りです。

一方の英明は、打線が粘りを見せ8回に一度は逆転し、9回にも2アウト一塁三塁のチャンスを作りましたが、あと1本が出ませんでした。

作新学院 小針監督「18人全員で行くよ」と伝えた

作新学院の小針崇宏監督はシーソーゲームの末に逆転勝利した試合について「選手たちは最後まで諦めていなかったです。中盤から後半は苦しい展開でしたが、最後まで全員で戦おうという姿勢を持っていたので、選手たちをずっと信じていました」と選手をたたえていました。

9回に決勝点となるツーランホームランを打った武藤匠海選手については「最近のバッティング練習ではすごくバットを振れていたのであとはタイミングが合えば打てるという状態でした。しかし、前の打席までは引っ張る意識が強すぎていたので『左中間にいい球を打って来いよ』と伝えて打席へ送り出しました」と話し、武藤選手が監督の助言どおりに打ってレフトスタンドへ運んだことを明かしました。

そして勝利のポイントを聞かれると「全員野球をテーマに掲げているチームなので、試合前には『18人全員で行くよ』と選手たちに伝えました。きょうの勝利は選手たちがそれぞれの分野でしっかりと貢献してくれたおかげだと思います」と18人の選手全員が出場した激戦を振り返っていました。

作新学院 東海林選手「春の王者を目指し 挑戦者として戦いたい」

8回に逆転の口火を切る2点タイムリーヒットを打った作新学院の東海林智選手は「粘り強さが求められるゲームだったと思います。監督が5回を終わって後半が勝負だと言っていたので、点を取られたら取り返してやろうという気持ちで臨んでいました」と振り返りました。

そして「チームでこれまで攻撃的な野球をやってきたが、その結果がでてよかった。2回勝ってここで満足するのではなく、自分たちは優勝を目指しているので、春の王者を目指して挑戦者として戦っていきたい」と話していました。

作新学院 武藤選手「自分が打ち返してやろうと」

9回、決勝点となるツーランホームランを打った作新学院の武藤匠海選手は「相手にスリーランホームランを打たれたので、自分が打ち返してやろうという気持ちで打席に入りました」と振り返り、ダイヤモンドを回っている時の気持ちとして「お客さんの歓声がいっぱいあがっていて、甲子園って本当にすごいなと思いました」と興奮が冷めやらない様子で話しました。

そのうえで、「相手は粘り強いという情報があって、監督からもこのゲームを勝てると本物だと言われていたので、勝ててよかった。ここまできたら優勝を目指していきたい」と意気込んでいました。

英明 香川監督「一球にこだわり、夏に向けて鍛えていきたい」

英明高校の香川純平監督は「力のある寿賀投手を先発で勝負させました。守りではきっちりと守れていましたが、相手の対応力にはすばらしいものがあったので集中打を浴びた時に何とかヒットを食い止める工夫が必要でした」と振り返りました。

そして「一球でガラッと流れが変わってしまうので、一球にこだわり、夏に向けてまた鍛えていきたいです」と話していました。

英明 百々選手「ワンアウトを取る難しさ ワンプレーの緊張感」

8回に一度は逆転するスリーランホームランを打った英明高校の3番、百々愛輝選手は「4番、5番につなごうという気持ちで打席に入りました。ホームランを打った時はベンチも盛り上がりすごくうれしかったですが、その後自分の失投で打たれてしまい、とても悔しかったです」と振り返りました。

そのうえで、「甲子園ではワンアウトを取る難しさ、そしてワンプレーの緊張感を感じました。まずは自分のメンタルを強くして、夏はベストエイトを目指したいです」と話していました。

作新学院 武藤選手 一冬超えて成長光る

「激闘になるぞ。1点を争う好ゲームになる」。

前日のミーティングで作新学院の小針崇宏監督は選手たちにこう伝えていました。

そして小針監督のことば通り、試合は壮絶な打撃戦に。

最後は1点差で逃げきった作新学院がベストエイト進出を果たしました。

両チームの多くの選手が勝負どころで活躍したこの試合。

ひときわ輝いたのが、9回に決勝点となる逆転ツーランホームランを打った作新学院の5番・武藤匠海選手です。

武藤選手は去年秋の公式戦で4番を任されながらもホームランを打てず、打率も2割1分1厘にとどまり、悔しさを味わいました。

「センバツが始まるまでにはバッティングの感覚を取り戻したい」。

この冬の練習時間の半分は打撃練習に費やしたという右打ちの武藤選手。

変化球でタイミングをずらされる弱点を克服するため、ティーバッティングでは軸足の右足により体重をかけることを意識し、ぶれないフォームを身につけることに専念しました。

パワーアップにもつなげようと体重は去年秋から5キロほど増やし、79キロになりました。

まさにその成果が出たのが、25日の決勝ホームラン。

相手ピッチャーの初球、インコース低めで109キロのカーブをボールだと、しっかり見極め、次の2球目、インコース寄りのストレートをジャストミートしたのです。

小針監督も試合後「打てるボールとそうではないボールを冷静に見極め、チャンスボールが打てるようになった」と話し、この一冬での成長を感じていました。

去年秋の関東大会では準々決勝で敗れた作新学院。

四国王者の英明に打ち勝っての勝利に武藤選手も「ここまできたら優勝を目指してやっていく」と自信を深めています。