高校野球 センバツ 東邦が高松商に勝つ 大会7日目 第2試合

センバツ高校野球、大会7日目の第2試合は、愛知の東邦高校が香川の高松商業に6対3で勝って3回戦に進みました。

東邦は1点を追う4回、1アウト三塁の場面で3番の眞邉麗生選手がレフトにタイムリーツーベースヒットを打って同点に追いつくと、続く4番の石川瑛貴選手もタイムリーツーベースヒットを打って一気に逆転しました。

先発した山北一颯投手は、変化球をコースに集めて打たせてとるピッチングで6回を1失点に抑えました。

東邦は中盤以降も得点を重ねて高松商業を振り切り、6対3で勝って3回戦に進みました。

東邦はこの勝利でセンバツでの通算勝利数が58勝となり、歴代最多となる同じ愛知の中京大中京高校にならびました。

今大会、36の出場校の最後に登場した高松商業は、7回に相手のミスなどに乗じて2点をあげて追い上げたものの、先発したエースの大室亮満投手が6失点と粘れず、初戦突破はなりませんでした。

東邦 山田監督「最初から最後まで選手が粘り強く戦ってくれた」

東邦の山田祐輔監督は「最初から最後まで選手が粘り強く戦ってくれたので、うちのやりたい試合展開に持って行けました」と試合を振り返りました。

25日の試合で先発した背番号「10」の山北一颯投手については「前の試合で少し投げたときによい表情をしていて、マウンド度胸がついたように感じたので先発起用にチャレンジしてみました。大舞台で長く投げることは初めてでしたが、その中で力を発揮したことが勝因だと思います」と起用の理由を明かしました。

一方、打線については「相手のピッチャーが好投手だと想定していたので、選手には『とにかく序盤は積極的にバットを振って、2巡目以降でとらえよう』と話していました。ねらいどおりにできてよかったです。甲子園では中軸の選手たちが頼もしいバッティングをしているのでそれでチームが勢いづいていると思います」と話していました。

東邦 4番 石川選手「気持ちが楽に打つことができた」

3本のツーベースヒットを打った東邦高校の4番 石川瑛貴選手は、4回に勝ち越しのタイムリーヒットを打ったことについて「その前に眞邊選手が同点のヒットを打ってくれていたので、気持ちが楽に打つことができたなと思います」と話しました。

チームのプレーについては「はじめは先制されたり、地に足がついていない場面も見られましたが、だんだん自分たちの粘り強い野球ができるようになり、結果として勝ててよかったです」と振り返りました。

また、25日の勝利でセンバツでの通算勝利数が中京大中京高校と並び最多となったことについて、「先輩方が築いてきた勝利があってのことだと思います。単独の最多勝利になるチャンスがあるので、このあとも勝ちたいです」と話していました。

東邦 山北投手「勝つためにコントロールを意識して投げた」

先発で登板した東邦高校の山北一颯投手は「4日ほど前に監督から先発の登板と聞いて緊張していました。勝つために、速い球を投げることより、球速が遅めの130キロでコントロールを意識して投げました。結果として6回1失点でチームが勝ててよかったです」と振り返りました。

また、5回にタイムリーヒットを打ったことについて「僕のやるべきことは抑えることですが、公式戦で初めてヒットを打ってそれが得点につながって、おまけがついてきたようでうれしかったです」と話しました。

次の試合に向けては「全国での優勝をずっと目指しているので、もし次も投げられたらチームの勝利に貢献できるよう頑張りたい」と意気込んでいました。

高松商 長尾監督「守備力に課題も選手はよく頑張った」

高松商業の長尾健司監督は「ファーストへのけん制のミスがあるなど守備力に課題が残る試合となりましたが、選手はよく頑張ったと思います。投手をリレーする傾向があるなか、完投した大室投手は自信を持ってほしいです」と振り返りました。

その上で、「夏の甲子園に向けてさらに強くなるための材料ができた試合だと思います。夏に帰ってきて勝てるチームにしたいです」と話していました。

高松商 エース大室投手「夏の甲子園に絶対に戻りたい」

先発で6点を失いながらも完投した高松商業のエース大室亮満投手は「自分の中では100%の力を出して投げましたが、失点を最小限に抑えることができませんでした。チーム全体で『守り勝つ野球』を実現することができなくて、本当に悔しい気持ちです」と振り返りました。

そのうえで「ストレートのスピードや変化球のキレなどをさらに磨き、しっかりレベルアップして夏の甲子園に絶対に戻りたいです」と話していました。

東邦 山北投手 父親のことばを胸に好投

歴代最多にならぶセンバツ通算58勝目をあげた愛知の東邦高校。

その大事な試合でマウンドを託されたのは、背番号「10」の山北一颯投手でした。

山北投手は父親がプロ野球、中日などで主にリリーフピッチャーとしてプレーした茂利さんです。

小学4年生で野球を始めてからしばらくは父親と比べられるのが嫌だったという山北投手。

それでも、「野球がうまくなりたい」とセンバツ歴代最多の5回の優勝を誇る東邦の門をたたき、父と同じピッチャーとして練習を続けてきました。

そして迎えたセンバツ。

初戦の鳥取城北高校との試合ではエースの宮國凌空投手のあとに2人目でリリーフ登板。

1回を無失点に抑えました。

このときの投げっぷりが山田祐輔監督に評価されて、25日は先発ピッチャーに抜てきされました。

高校時代、甲子園出場の経験が無い、父親の茂利さんからは甲子園での初めての先発マウンドを前に、「自分は高校時代に甲子園で投げたことはないから楽しんで投げてこい」と送り出されたといいます。

父親のことばを胸に、「いい緊張感で投げられた」と山北投手。

ストライク先行の打たせて取るピッチングで6回を1失点に抑える好投を見せました。

さらにバッターとしても5回にタイムリーヒットを打ってチームの勝利に投打で貢献しました。

試合のあと山北投手は、「振り返ってみると楽しかったです。いままできつかったことも多いですが、きょうは『野球を始めてよかった』と思えた1日になりました」とはにかみながら話しました。

父が立てなかったセンバツの舞台で試合ごとに成長を見せる山北投手。

強力な東邦投手陣の一角として頂点を目指します。