【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア議会下院議長 ICCの活動禁止へ法改正の必要性を強調

ICC=国際刑事裁判所が、ロシアのプーチン大統領に戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したことに対し、大統領の側近でロシア議会下院のボロジン議長は25日、SNSで、ロシアの領土でICCの活動を禁止するため法律を改正する必要性を強調しました。

そして、ICCへの協力や支援を拒否することなども提案し、「ロシアの憲法では、国際法より国内法が優先される」として、逮捕状は無意味だと主張しました。

ロシアの前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長も今月23日に公開した国営メディアとのインタビューの中で、プーチン大統領が逮捕される可能性について「決して起こりえないことだ。核保有国であるロシアの指導者が、たとえば、ドイツに到着し、逮捕されたとしたら、ロシアに対する宣戦布告になる」と述べ、核戦力に言及して強く反発しました。

ウクライナ クリミアを巡る戦略を変更

ウクライナのゼレンスキー政権で南部クリミアの問題を統括するタシェワ大統領代表は24日、クリミアをロシアから奪還し、再統合するための戦略が一部改定されるとSNSで明らかにしました。

このなかでタシェワ代表はゼレンスキー政権が2021年3月に定めたクリミアを巡る戦略について、重点ポイントなどが変更され「戦争の終結はクリミア解放から始まる」という内容がことし中に明記されることを明らかにしました。

また、クリミアを奪還し公的機関の機能などを回復させるための措置なども記されるとしています。

激戦地の東部バフムト「状況は安定してきている」とウクライナ軍

ウクライナ東部の激戦地バフムトの情勢を巡り、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は24日、イギリス軍のトップ、ラダキン参謀長と電話会談を行ったとSNSで明らかにしました。

このなかでウクライナでは、バフムトの戦況が最も厳しいとする一方「ウクライナ軍の努力によって状況は安定してきている」と評価したということです。

英国防省「バフムトでのロシア軍の勢いはおおむね失速」

戦況を分析するイギリス国防省は25日「バフムトでのロシア軍の勢いはおおむね失速している。ロシア軍が極端に消耗した結果であり、国防省と民間軍事会社ワグネルの関係が緊張していることによっても状況が悪化している可能性がある」と指摘しました。

そのうえで、ロシア軍がバフムトの南にあるアウディーイウカやバフムトの北側に位置する東部ルハンシク州のクレミンナの戦線に戦力の重点を移す可能性を指摘し、ロシア側はことし1月以降、決定的な結果を得られず大規模な攻撃から防御をより重視する態勢に移行しようとしていると分析しています。

米シンクタンク“ロシア軍十分な兵力残されているとみられない”

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も24日「ロシアの言論空間ではロシア軍の作戦が停滞し、ウクライナが主導権を取り戻す可能性があるとして大きな不安がでているようだ」と指摘しました。

その上で、戦況を立て直すには相当な数の部隊を投入する必要性があるが、ロシア軍に十分な兵力が残されているとはみられないとしています。

スロバキア ウクライナに戦闘機を供与 NATO加盟国で初

ウクライナの西の隣国スロバキアは23日、軍事支援の一環で、旧ソビエト製のミグ29戦闘機4機をウクライナに引き渡したことを明らかにしました。

ウクライナ空軍によりますと、戦闘機を実際に供与したのはNATO=北大西洋条約機構の加盟国としてはスロバキアが初めてだということです。

ポーランドもすでに同じ戦闘機を供与する方針を表明しているほか、EU=ヨーロッパ連合は23日、今後1年間で100万発の弾薬を供与する支援策を承認していて、欧米各国の軍事支援が相次いでいます。

ウクライナ政府「戦争終結はクリミア解放から」明記へ

ウクライナでクリミア問題を統括する政権高官は24日、SNSで「戦争の終結はクリミア解放から始まる」という文言が、ことし中に政府の戦略に明記される方針を明らかにしました。

ロシアが9年前に一方的に併合したクリミアをめぐってはプーチン大統領が今月18日に訪問し、ロシア側の支配を誇示しています。

ロシアの安全保障会議のメドベージェフ副議長は24日に公開した国営メディアとのインタビューで、ウクライナがクリミア奪還に乗り出せば「核抑止力の原則に規定されたものを含むあらゆる防衛手段を使う根拠になる」と述べ、再び核戦力をちらつかせて威嚇しました。

激戦地バフムトからの避難民ら3人死亡

ウクライナ東部ドネツク州の地元当局は24日、激戦地バフムトからおよそ20キロ西にあるコスチャンチニウカでロシア軍によるミサイル攻撃があり、避難施設に着弾してバフムトからの避難民などあわせて3人が死亡したとSNSで明らかにしました。

バフムトをめぐってウクライナ陸軍の現地司令官は23日「ロシアの主力戦力になっている民間軍事会社ワグネルは力が尽きつつある」とSNSで指摘し、領土奪還に向けた反転攻勢に乗り出すことを強調しました。

ロシア・ウクライナ双方が“戦争捕虜など処刑” 国連が非難

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで人権状況を調査している国連の人権監視団は、双方の432人の戦争捕虜とその親族などへの聞き取りや50か所の現地調査などの結果をまとめ、24日に報告書を発表しました。

報告書によりますと、ロシアは拘束した戦争捕虜15人を、ウクライナは拘束した戦争捕虜など最大25人を、それぞれ処刑したということです。

また、ロシア側が拘束した戦争捕虜203人のうち84%以上が拷問や虐待を受け、5人が拷問によるけがで亡くなったほか、ウクライナ側が拘束した戦争捕虜229人のほぼ半数が拷問や虐待を受けたとしています。

一方、民間人については、ロシア側に拘束されたのは621件で、聞き取りを行った127人の90%が性的暴行を含む拷問や虐待を受けたほか、ウクライナ側に拘束されたのは91件で、聞き取りを行った73人の53%が拷問や虐待を受けたとしています。

報告書について会見した監視団のボグナー団長は「戦争捕虜の処刑を深く懸念している。国際人道法を順守しなければ民間人への影響は続いてしまう」と述べて、ロシアとウクライナを非難しました。