【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(24日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる24日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア “戦争しているのは、360万のNATOの軍隊”

ロシアでは安全保障会議のメドベージェフ副議長は国営メディアに対するインタビューの一部を24日公開し「ロシアが戦争しているのはウクライナではなく、360万のNATOの軍隊だ」として欧米側が戦いを仕掛けていると主張して反発しています。

“ワグネルは力尽きつつある”ウクライナ陸軍司令官

ウクライナ陸軍の現地の司令官は23日、SNSへの投稿で東部ドネツク州の激戦地バフムトをめぐり、「ロシアの主力戦力である民間軍事会社ワグネルは部隊の多くを失い、力尽きつつある」と指摘しました。

そのうえで「過去にわれわれがキーウやハルキウなどで行ったようにまもなくこの機会を利用することになる」と投稿しロシア側の勢いにかげりがみられる中、領土奪還に向けた反転攻勢に乗り出すことを強調しました。

専門家 “戦闘機は最強の防空兵器”

スロバキアがウクライナに対し、戦闘機の供与を行ったことについて、防衛省防衛研究所の高橋杉雄防衛政策研究室長は、「戦闘機は最強の防空兵器なので、一番期待できるのは防空能力の強化だ。ロシアの巡航ミサイルの迎撃に使うことが十分に考えられ、これまで以上に巡航ミサイルの撃墜率を高めることが期待できる」としています。

一方で、今回の供与は数が少なく、ただちに戦況に大きな変化をもたらすものではないとしたうえで「戦闘機の供与はこれまでなかったので、今回その口火を切ったことで、今後、アメリカのF16など、さらなる戦闘機の供与につながればいいとのねらいもあるのではないか」と指摘しています。

EU ウクライナに100万発の弾薬供与を承認

EU=ヨーロッパ連合は23日、ウクライナへの支援について話し合う首脳会議で、今後1年間で100万発の弾薬をウクライナに供与する支援策を承認しました。

「ロシア対抗には米のF16が必要」ウクライナ空軍パイロット

ウクライナ空軍の戦闘機パイロットがNHKの取材に応じ、ロシア軍による攻撃の頻度は以前に比べて減ったものの、さまざまなミサイルを組み合わせて攻撃するなど戦術を変化させていると指摘しました。

今月上旬、NHKの取材に応じたのは、ウクライナの防空任務にあたる空軍の戦闘機部隊の隊長で、自身もミグ29戦闘機のパイロットを務める男性です。
隊長は、今月9日、ロシア軍がキーウなど各地に大規模なミサイル攻撃を行ったことに触れ、「多くの巡航ミサイルを撃ち落とせたが迎撃できないタイプのミサイル攻撃により被害を受けた。ロシア軍は、以前に比べてドローンやミサイル攻撃の数と頻度は減ったものの、使用するミサイルの種類が増えている」と述べ、弾道ミサイルや極超音速兵器だとするミサイルを組み合わせて攻撃するなど戦術を変化させていると指摘しました。

そのうえで「大国ロシアは多くの戦闘機や兵器を持っている。ウクライナが勝利できるのは、ロシアよりも最新の兵器などを使う場合に限られる」と述べ、最新兵器の一層の供与を求めました。
供与を望む兵器に関して隊長は、「欧米が戦闘機の供与を先延ばしにしていることでウクライナでは犠牲が増え続けている」として、強力なレーダーを備えるなどしたアメリカのF16戦闘機が必要だと訴えました。

欧米によるウクライナへの戦闘機の供与をめぐっては、今月に入ってポーランドとスロバキアが旧ソビエト製のミグ29戦闘機の供与を決めた一方で、アメリカのバイデン大統領は、ウクライナ側が求めてきたアメリカのF16戦闘機については供与しない考えを重ねて示しています。

ゼレンスキー大統領が南部ヘルソン州訪問

ウクライナ大統領府は23日、ゼレンスキー大統領が南部ヘルソン州を訪問し、ロシア側から奪還した地域で攻撃を受けていた電力施設の復旧状況などを視察したと発表しました。

ゼレンスキー大統領は22日には東部ドネツク州の激戦地、バフムトを訪れたことを明らかにするなど各地を相次いで視察し、ロシアの軍事侵攻に徹底抗戦する姿勢を強調しています。

スロバキア ウクライナへミグ29戦闘機を引き渡し

スロバキアのナジ国防相は23日、ツイッターに「最初の4機のミグ29を引き渡した。われわれの支援は必要とされるかぎり続く」と投稿し、ウクライナへ4機の旧ソビエト製のミグ29戦闘機を引き渡したことを明らかにしました。

ミグ29を巡っては今月、ポーランドとスロバキアがウクライナに供与する方針を相次いで表明し、欧米メディアは、NATO=北大西洋条約機構の加盟国として戦闘機の供与は初めてとなると伝えていました。
スロバキアが供与するミグ29は13機で残りの9機も今後引き渡すということです。

ポーランドは、ドゥダ大統領が今月16日、数日中に4機を供与すると発言しています。

欧米側は、ウクライナに戦車の供与も始めていて、ウクライナ側の反転攻勢につながるか注目されます。

一方、主要な支援国のアメリカは、ウクライナ側が求めるF16戦闘機の供与について慎重な姿勢を示しています。

ロシア大統領府 戦闘機供与に反発

ウクライナへの戦闘機の供与を巡っては、ロシア大統領府は、「紛争への直接的な関与のレベルを上げる、新たな事例となる」と反発しています。

また、ロシアの安全保障会議のメドベージェフ副議長が23日軍需産業の関係者を集めた会議を開きました。

このなかで、第2次世界大戦中に当時のソビエトの指導者スターリンが軍需工場に対して兵器の製造が遅れた場合は処罰すると警告したということばを紹介し、兵器の製造を速やかに進めるよう強く促しました。

「子ども17人救出」ロシア“連れ去り”問題でウクライナ人権団体

ウクライナから多くの子どもたちがロシアに連れ去られているとみられる問題をめぐってウクライナの人権団体「セーブ・ウクライナ」は22日、子どもたち17人を救出したとSNSで明らかにし、首都キーウで家族などと再会を喜ぶ映像を公開しました。

この問題でICC=国際刑事裁判所は、ウクライナ侵攻を続けるロシアが占領した地域から子どもたちをロシア側に移送したことについて、国際法上の戦争犯罪の疑いがあるとして、今月17日プーチン大統領など2人に逮捕状を出しました。

ウクライナ政府の集計では、確認されただけでも、この1年で1万6000人以上がロシアに連れ去られたとされ、人権団体「セーブ・ウクライナ」はNHKの取材に21日にも15人を救出したとしたうえで「助けを求めている子どもたちをたとえ1人ずつでもわが家に帰すため、今後も全力を尽くしたい」と話していました。
一方、ICCは23日、ウクライナ政府と現地事務所の設置に向けた協力協定を交わしたと発表しました。

この中で、ウクライナ政府を代表して協定に署名したコスティン検事総長は「ウクライナで起きた国際犯罪の加害者が全員裁かれるまで、われわれは決して立ち止まらない」と述べ、ICCと協力してロシア側の責任を徹底して追及していく姿勢を強調しました。