イギリス 劣化ウラン弾をウクライナに供与へ ロシアは反発

イギリス政府は、ロシアからの軍事侵攻を受けるウクライナに相手戦車の装甲を貫通する能力が高い劣化ウラン弾を供与することを明らかにしました。これに対して、ロシア側は強く反発しています。

イギリス国防省のゴールディー閣外相は20日、議会上院でウクライナに主力戦車「チャレンジャー2」とともに、劣化ウラン弾を供与することを明らかにした上で「これは、相手の戦車や装甲車を倒すのに非常に効果的だ」と述べました。

劣化ウラン弾は、鉄や鉛より密度が高く、戦車などの厚い装甲も貫く破壊力がありますが、さく裂した際に飛び散る放射性物質が人体に悪影響を及ぼす可能性があると国連機関などが指摘しています。

イギリス国防省は「イギリス陸軍は、装甲を貫通させる砲弾の標準的な成分として、劣化ウランを数十年間にわたって使用してきた。科学者による複数の独立調査で人体や環境への影響は低いと評価されている」としています。

これに対してロシアのプーチン大統領は21日、「西側は本当にロシアと戦うことを行動で決めたようだ」と強く反発した上で「西側はすでに核の要素を備えた兵器を使おうとしている」と述べました。

イギリス国防省は、劣化ウラン弾は核兵器とは何の関連もないとした上で「このことをロシアも分かっているが、誤った情報を流そうとしている」と指摘し、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も「プーチン大統領は、欧米側のウクライナへの支援を防ぐために情報工作を強化している」としています。