【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(23日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる23日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 “南部ヘルソン州を訪問” 電力施設など視察

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、自身のSNSで、南部ヘルソン州を訪問したと明らかにしました。

SNSで公開された動画ではゼレンスキー大統領がロシア側から攻撃を受けていた電力施設の復旧状況などを視察している様子が確認できます。

ゼレンスキー大統領は21日、首都キーウで岸田総理大臣と首脳会談を行ったあと、22日には東部ドネツク州の激戦地、バフムトを訪れたと明らかにしていて、各地を相次いで視察し、ロシアの軍事侵攻に徹底抗戦する姿勢を強調しています。

ウクライナ 無人機攻撃などで10人死亡

ウクライナでは22日、首都キーウ郊外の町で、5階建ての建物などが無人機による攻撃を受け、現地の当局によるとこれまでに9人が死亡しました。

また南部の都市ザポリージャでは集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受け、現地の当局などは1人が死亡し30人以上が病院で手当てを受けたと明らかにし、各地で被害がでています。

米シンクタンク「ロシア軍のミサイルなど不足している可能性」

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は22日、ロシア軍による攻撃は21日から22日にかけてミサイルと無人機によって各地で行われたと指摘しました。

ただ、去年秋頃から続いてきた大規模なミサイル攻撃と比較すると攻撃の規模は限定的で、ロシア軍のミサイルなどが不足している可能性があり、激戦地バフムトでもロシア側の攻撃の勢いが弱まっていると指摘しています。

ロシア安全保障会議副議長 兵器増産に取り組む

ロシアの安全保障会議のメドベージェフ副議長は22日、国営メディアに対し、軍事侵攻を続けるため兵器の増産に取り組む姿勢を強調しました。

さらにメドベージェフ副議長は「核の脅威が増している。ウクライナに対して外国から兵器の供給が続いているからだ。ロシアは戦略核戦力で優位に立っている」と述べ、核戦力を誇示して欧米側をけん制しました。

ゼレンスキー大統領 徹底抗戦を続ける姿勢を強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は22日、新たに公開したビデオ演説で「ウクライナ国旗が掲げられている東部のすべての地域には、いまも希望がある。ドネツクの街から国境に至るわれわれのすべての土地に日常を取り戻すため、できることはすべてやる」と述べ、ロシアに占領された東部のすべての地域を解放するため徹底抗戦を続ける姿勢を強調しました。

また、南部の都市ザポリージャで22日、ロシア軍のミサイルが着弾し多数の被害が出たことにふれ「われわれの街を狙ったすべての攻撃に対し、必ず対応する」と述べ、南部など各地で続くロシアによる攻撃に屈しない姿勢を示しました。

イギリス 劣化ウラン弾をウクライナに供与へ ロシアは反発

イギリス国防省のゴールディー閣外相は20日、議会上院でウクライナに主力戦車「チャレンジャー2」とともに、劣化ウラン弾を供与することを明らかにした上で「これは、相手の戦車や装甲車を倒すのに非常に効果的だ」と述べました。

劣化ウラン弾は、鉄や鉛より密度が高く、戦車などの厚い装甲も貫く破壊力がありますが、さく裂した際に飛び散る放射性物質が人体に悪影響を及ぼす可能性があると国連機関などが指摘しています。

イギリス国防省は「イギリス陸軍は、装甲を貫通させる砲弾の標準的な成分として、劣化ウランを数十年間にわたって使用してきた。科学者による複数の独立調査で人体や環境への影響は低いと評価されている」としています。
これに対してロシアのプーチン大統領は21日、「西側は本当にロシアと戦うことを行動で決めたようだ」と強く反発した上で「西側はすでに核の要素を備えた兵器を使おうとしている」と述べました。

イギリス国防省は、劣化ウラン弾は核兵器とは何の関連もないとした上で「このことをロシアも分かっているが、誤った情報を流そうとしている」と指摘し、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も「プーチン大統領は、欧米側のウクライナへの支援を防ぐために情報工作を強化している」としています。

ゼレンスキー大統領 激戦地バフムトを訪問 兵士を激励

ウクライナのゼレンスキー大統領は、岸田総理大臣と会談した翌日となる22日、ロシア側との激しい攻防が続く東部ドネツク州の拠点バフムトを訪れたと明らかにしました。

ゼレンスキー大統領は前線で戦う兵士たちに対し、「われわれの土地を守り、ウクライナに属するものすべてを奪還することがあなたがたの歴史的な使命だ」と激励し、徹底抗戦する姿勢を強調しました。

バフムト “ロシア側の大規模攻勢にかげり“の見方も

戦況を分析するイギリス国防省は22日、バフムトについて「ウクライナ軍は北と南から包囲される危険にさらされている」としました。

その一方で「ウクライナ軍は、西部では反撃を開始し、補給路に対する圧力が和らいでいる可能性が高い。また、一部のロシア軍の部隊が他の前線に再配備されたこともあり、ロシア側の攻撃が勢いを失っている可能性がある」と分析しています。

これに先立ち、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も「ロシア軍による春の大規模攻撃がピークに近づいている可能性がある」と指摘し、ロシア側がウクライナ各地で仕掛けた大規模な攻撃にかげりがみられるという見方を示しています。

キーウ郊外の町で無人機による攻撃

ウクライナの非常事態庁は22日、首都キーウ郊外の町で5階建ての建物などが無人機による攻撃を受けたと明らかにしました。

現地の警察によりますと、無人機による攻撃は午前3時ごろから複数回にわたったということで、これまでに建物の中にいた少なくとも4人が死亡、4人が行方不明になっています。

現地からの映像では建物の4階部分と5階部分が大きく壊れていて、がれきの中に生存者がいないか捜索をする人の姿も確認できます。

ロシア国防相「高度なミサイル防衛システムを配備」

ロシアのショイグ国防相は22日、国防省で開いた会議で「優先事項のひとつは、ロシア軍の部隊に高度なミサイル防衛システムを配備することだ。ことし、首都モスクワのミサイル防衛システムの近代化を完了させる」と述べました。

ロシア国防省は、ウクライナとの国境地域や中部や南部の空軍基地などで相次いだ爆発について、ウクライナ軍が無人機などで越境攻撃を仕掛けていると批判していて、今後、首都の防衛についても強化するねらいがあるとみられます。

また、ショイグ国防相は「アメリカは、ロシアと中国を封じ込めるためにアジア太平洋地域で軍事的なプレゼンスを大幅に強化し、この地域で新たな安全保障体制を構築している」と批判し、これに対抗するため中国など友好国との軍事協力を進めていく考えを示しました。

一方、アメリカ軍が今月14日、ウクライナ南部に面した黒海の上空で偵察用の無人機がロシア軍の戦闘機から妨害行為を受けて衝突し、海上に墜落させたと発表したことに対し、ショイグ国防相は「アメリカ軍の無人機の侵入を阻止した」として戦闘機の乗組員に勲章を授与してたたえました。