岸田首相のウクライナ訪問 “ロシア側に事前通告“ 政府関係者

岸田総理大臣のウクライナ訪問について、日本政府がロシア側に対し、事前に通告していたことが政府関係者への取材で分かりました。

岸田総理大臣は事前に日程を公表することなく、訪問先のインドを離れてポーランド経由でウクライナに入り、ゼレンスキー大統領との首脳会談などを行いました。

政府関係者によりますと、今回のウクライナ訪問について、日本政府はロシア側に対し、外交ルートを通じて事前に通告していたということです。

一方、課題となっていた岸田総理大臣の安全確保について、松野官房長官は22日の参議院予算委員会で、「ロシア軍の攻撃についての情報の入手やその情報に基づく避難など含め、ウクライナ政府が全面的に責任を負って実施した」と明らかにしました。

訪問の際の安全確保をめぐり、岸田総理大臣は現地で記者団に、「秘密の保持や危機管理、安全対策に万全を期すべく、慎重にウクライナ側と調整し、実現した。戦時下にあることから安全対策などの観点もあり、事前には厳格な情報管理を行った」と述べていました。

松野官房長官「情報管理を徹底し必要な準備行った」

松野官房長官は午後の記者会見で、「今般の訪問は厳重な保秘を前提に、ウクライナ政府などと慎重に調整を重ねたうえで、秘密保全、安全対策、危機管理面などに遺漏のないよう最適な方法を総合的に検討した。厳に限られた者に限って情報管理を徹底し、必要な準備を行った」と述べました。

ロシア政府 これまで目立った反応なし

岸田総理大臣がウクライナを訪問したことについて、ロシア政府はこれまでのところ目立った反応は示していません。

ロシア国営のタス通信は、「岸田総理大臣は、ロシアに事前に通告したかどうかは記者団に明らかにしなかった。ロシアによる特別軍事作戦の開始以来、日本の総理大臣がウクライナを訪問したのは初めてで、G7では最後の首脳となった」などと伝えています。

一方、ロシアの有力紙コメルサントは、同じ時期に首都モスクワで中国の習近平国家主席とプーチン大統領の首脳会談が行われていたことに言及したうえで、「日本の総理大臣のウクライナ訪問は、日本政府がウクライナを支援する姿勢を示すうえで、部外者でないことに重みや象徴性を持たせようとしたのだろう」と論評しています。