政府 物価高騰 総額2兆円余の追加策を決定

物価の高騰が続いているのを受けて、政府の対策本部は、低所得世帯への給付金に加え、電気料金やLPガスの負担軽減策などを盛り込んだ、総額で2兆円余りとなる追加策を決めました。

政府は22日午前、総理大臣官邸で「物価・賃金・生活総合対策本部」を開き、物価の高騰を受けた追加策を決めました。

追加策では、低所得世帯に一律3万円を目安とする支援を行うとともに、子育て世帯には別途、子ども1人当たり5万円の給付金を支給するとしています。

また電気料金について、再生可能エネルギーを普及する目的で、毎月上乗せされているいわゆる「再エネ賦課金」を改定し、5月に請求される来月の使用分から平均的な家庭で月800円の負担を軽減するほか、電力会社からの来月以降の値上げ申請は、日程ありきではなく厳格で丁寧に審査するとしています。

さらに、LPガスを使用する世帯の負担軽減や電気の使用量が多い事業者への支援などを行うとしています。

政府は、これらの措置に新型コロナ対策などもあわせて、今年度予算の予備費から2兆円余りを支出する方針です。

松野官房長官は「世界的な物価高騰は依然として予断を許さない状況で、日々変化する物価や経済の動向を踏まえ、今後も機動的に対応していく」と述べ、関係閣僚に対し、緊張感を持って対策を進めるよう要請しました。

電気料金やLPガス料金の負担軽減策

物価高騰を受けた政府の追加策では、電気料金に上乗せされている「再生可能エネルギー発電促進賦課金」、いわゆる「再エネ賦課金」の改定によって平均的な家庭で月800円の負担が軽減されるとしています。

太陽光や風力などを普及させるため、再生可能エネルギーで発電された電力は大手電力会社が一定期間決まった価格で買い取ることが義務づけられています。

この買い取りにかかった費用に充てるため利用者から集められているのが「再エネ賦課金」で、毎月の電気料金に上乗せされています。

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻のあと、再生可能エネルギーによる電気は以前よりも高く売れるようになっているため、賦課金の額も少なくて済むようになっているということです。

このため、5月に請求される来月の使用分から、平均的な家庭で月800円の負担が軽減されることになります。

また、新たにLPガスの利用者や電気の使用量が多い「特別高圧」と呼ばれる契約を結ぶ中小企業にも支援が行われます。

物価高騰対策として去年9月に設けられた「地方創生臨時交付金」を増額し、LPガスなどの利用者の数に応じて地方自治体に予算を配分することにしています。

支援の仕組みは地方自治体が作ることになり、国は対象となる事例を挙げています。

この中では、静岡市が特別高圧の契約を結ぶ中小企業に最大50万円の補助を行っている事例や、茨城県がLPガスの料金を1世帯当たり500円値引きする事例などを挙げていて、こうした取り組みを対象となる利用者がいる全国の自治体に促すことにしています。

鈴木財務相 「機動的に切れ目なく対応する」

物価の高騰を受けた総額2兆円余りの追加策を政府が決定したことについて、鈴木財務大臣は22日の閣議後の会見で、「物価動向に対して、引き続き、機動的に切れ目なく対応してまいりたい。今後の物価動向は、まだまだ高い水準にあって、国民生活への影響が続くという判断のもとでの今回の追加策だ」と述べました。

また、実質的にことし4月以降に行われる施策に今年度の予備費を利用することに批判もあると問われると、「予算編成の段階で十分な見通しが立たないということもあった。物価動向については、これまでも切れ目なく迅速に実施するということでやってきた。その流れの中で予備費を使って、切れ目なく機動的に対応するということだ」と述べました。