【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(22日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 バフムトで兵士たちを激励

ゼレンスキー大統領は首都キーウで岸田総理大臣と会談した翌日となる22日、自身のSNSで、ロシア側との激しい攻防が続く東部ドネツク州の拠点バフムトを訪れたと明らかにしました。

SNSに投稿された動画では、ゼレンスキー大統領が前線で戦う兵士たちを激励していて、ロシアの軍事侵攻に徹底抗戦する姿勢を改めて強調するねらいがあるとみられます。

ザポリージャの集合住宅にロシア軍のミサイル着弾

ウクライナの地元当局などによりますと、22日、南部の都市ザポリージャの集合住宅にロシア軍のミサイルが着弾しました。

現場付近に設置された監視カメラの映像では、飛来したミサイルが爆発し、炎や煙が広がるとともに建物から破片が飛び散る様子が捉えられています。

現地の当局によりますと、被害を受けたのはいずれも地上9階建ての2棟の集合住宅で、捜索・救助活動が続いていると伝えています。

現地当局などはこれまでに1人が死亡したほか、20人以上が病院で手当てを受けたとしています。

ゼレンスキー大統領は自身のSNSで「ロシアは凶暴に町を砲撃している。これがウクライナやヨーロッパの日常の風景になってはならない」と非難しました。

岸田首相のウクライナ訪問 ロシアでも報道

岸田総理大臣がウクライナを訪問したことについて、ロシア政府はこれまでのところ目立った反応は示していません。

ロシア国営のタス通信は「岸田総理大臣は、ロシアに事前に通告したかどうかは記者団に明らかにしなかった。ロシアによる特別軍事作戦の開始以来、日本の総理大臣がウクライナを訪問したのは初めてで、G7では最後の首脳となった」などと伝えています。

一方、ロシアの有力紙コメルサントは、同じ時期に首都モスクワで中国の習近平国家主席とプーチン大統領の首脳会談が行われていたことに言及したうえで「日本の総理大臣のウクライナ訪問は、日本政府がウクライナを支援する姿勢を示す上で部外者でないことに重みや象徴性を持たせようとしたのだろう」と論評しています。

岸田首相 ポーランドに到着

ウクライナを訪問してゼレンスキー大統領と会談した岸田総理大臣は、現地時間の22日午前5時前、日本時間の22日午後1時前、ウクライナに向かった際と同じ列車でポーランドのプシェミシルの駅に到着しました。

そして武装したポーランド軍の兵士に警護されながら、プラットホーム端から踏み切りを渡って待機していた車に乗り込み、到着してから10分余りの間に駅から出発しました。

岸田総理大臣はこのあと首都ワルシャワに向かい、ポーランドの首脳との会談に臨むことになっています。

ゼレンスキー大統領「会談は国際社会に成果もたらす」

ゼレンスキー大統領は共同記者会見のあとビデオ演説を公開し「G7議長国としての日本の責任を考えれば、今回の会談は国際社会に成果をもたらしうる。ありがとう、日本」と述べ、国際秩序を守っていく上で日本が果たす役割に期待を示しました。

中ロ首脳会談 ウクライナ情勢巡ってアメリカけん制

ロシアを訪問している中国の習近平国家主席とプーチン大統領の首脳会談は、21日、首都モスクワのクレムリンで、両国の主要な閣僚も参加して行われました。

会談後、共同声明が発表され「両国関係は歴史上最高のレベルに達し、着実に成長している」として両国の緊密な関係を誇示しました。

一方、ウクライナ情勢については「責任ある対話が危機の持続的な解決を見いだす最善の方法だ。国際社会はこの点で建設的な努力を支援すべきだ」と強調していますが、具体的な解決策は示されませんでした。
プーチン大統領は共同記者発表で、中国が示してきた対話と停戦の立場を支持する姿勢を示し「欧米とウクライナで準備が整えば、平和的な解決の基礎となり得るが、そうしたアプローチは今のところ見られない。むしろ西側は、徹底してロシアと戦うことを決めたようだ」と述べ、ウクライナへの軍事支援を強める欧米をけん制しました。
これに対し、習主席は「中国は一貫して客観的かつ公正な立場を堅持し、和平交渉を積極的に促してきた」などと、ウクライナ情勢をめぐる中国の立場を繰り返し主張しました。

そのうえで「私は引き続き、さまざまな方法を通じて、プーチン大統領と密接な意思疎通を保ち、両国関係の安定的かつ長期的な発展へと、ともに導いていくことを期待している」と述べ、ロシアとのさらなる連携強化に意欲を示しました。

一方で、アメリカなどが懸念する中国からロシアへの軍事支援について具体的な言及はありませんでした。

ゼレンスキー大統領 G7広島サミットにオンライン参加する意向

ウクライナのゼレンスキー大統領は、21日、岸田総理大臣と共同記者会見を行い冒頭、日本について「国際秩序の守護者でウクライナの昔からの友人だ。日本が、G7=主要7か国の議長国、さらに国連安全保障理事会の非常任理事国メンバーとして活動しているときに、岸田総理大臣の訪問が実現したことを非常にうれしく思う」と述べ歓迎するとともにこれまでの日本の支援に謝意を示しました。

そして、もっとも重要なテーマとして安全保障の問題について議論したとした上で「日本による人道支援に強い関心を抱いている。地雷をなくすための協力や復興に関する協力について強く期待している」と述べました。

さらに、医療や教育、エネルギーの分野における協力の可能性についても具体的に議論したとしています。

そのうえで、ことし5月に行われるG7広島サミットにオンラインで参加する意向を明らかにしました。

一方、ゼレンスキー大統領は、中国に対し、ウクライナの領土の一体性の回復などを盛り込んだ和平案について支持するよう呼びかけていることを明らかにしました。

その上で中国の習近平国家主席とオンライン会談の予定はあるかと聞かれたのに対し「シグナルは受け取っているが、何も確定はしていない。具体的な情報はない」と述べました。

岸田首相 ウクライナに殺傷能力のない装備品を支援

岸田総理大臣は訪問先のインドから日本に帰国せずにポーランド経由でウクライナに入り、首都キーウでゼレンスキー大統領と首脳会談を行いました。

そして、日本とウクライナの関係を「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げするなどとした共同声明を発表しました。

両首脳は共同記者会見に臨み、岸田総理大臣は「何としてもG7広島サミットまでにウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と直接話し、日本の揺るぎない連帯を伝えたいと強く願っていた」と述べました。

その上で「ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙だ。キーウとブチャを訪問し、惨劇を直接目の当たりにしてこのことを改めて強く感じている」と強調しました。

そして、5月のG7広島サミットでは、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を示すとともに、国際社会が直面している食糧問題にも取り組む意向を示しました。

さらに、これまでに決定や表明をしている総額71億ドルのウクライナへの支援を着実に実施するとした上で、新たに、ウクライナに殺傷能力のない装備品を支援するため、NATO=北大西洋条約機構の基金を通じて3000万ドルを拠出するほか、エネルギー分野などでの新たな無償支援として4億7000万ドルを供与すると明らかにしました。

また、2国間の関係強化に向けて、情報保護協定の締結に向けた調整を開始すると説明しました。

そして「今後も日本ならではの形で切れ目なくウクライナを支えていく。ウクライナの美しい大地に平和がもどるまで日本はウクライナとともに歩んでいく」と述べました。

岸田総理大臣は、このあと、ポーランドに移動して首脳会談を行い、23日の朝帰国する予定です。

岸田首相 キーウの修道院を訪問 祈りささげる

岸田総理大臣は21日午後、首都キーウの中心部にある修道院を訪れました。

修道院の壁には戦闘で亡くなった兵士たちの写真が掲げられています。

岸田総理大臣は、多くの市民に見守られる中、白い菊の花で作られた花輪を壁の前に手向け、静かに祈りをささげていました。

NATO「ロシアが中国に兵器を要請」

中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領の首脳会談について、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は21日にベルギーで行った記者会見で「中国とロシアはますます連携を強めており、今回の会談もそれを示している」と述べ、警戒感を示しました。

また中国からロシアへの軍事支援の可能性について問われ「中国がロシアに兵器を供与しているという証拠はないが、ロシアが供与を要請し、中国当局が検討していることを示す兆候がある」と指摘しました。

そのうえで「中国はこうした支援をするべきではない。違法な戦争を支援することになる」と述べ、改めて中国側をけん制しました。