ロシアの戦争犯罪追及へ 各国がICCへの支援強化を確認

ロシアが軍事侵攻を続けるウクライナでの戦争犯罪の追及に向け、ICC=国際刑事裁判所や40か国以上の閣僚などが話し合う会議がイギリスで開かれました。ICCがロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したことを踏まえ、各国はICCへの支援を強化し、戦争犯罪を決して許さない方針を確認しました。

イギリスのロンドンで開かれた会議には、ロシアが軍事侵攻を続けるウクライナでの戦争犯罪を捜査しているICCのカーン主任検察官や、日本を含む40か国以上の政府高官が出席しました。

冒頭、カーン主任検察官は、ウクライナの子どもたちがロシアに移送されたことをめぐり、プーチン大統領に対し戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したことに触れ「国連安全保障理事会の常任理事国の指導者に初めて逮捕状を出さなければならなくなったことは悲しい。『子どものためだ』という主張が本当なら、ロシアのパスポートを与える代わりに祖国へ帰すべきだ」と訴えました。

また、ウクライナの検察関係者は「逮捕状は、国際的な罪を犯した者は必ず罰するという明確な宣言だ」と述べ、市民への攻撃や性暴力などを防ぐためにも、ICCを支援していくべきだと呼びかけました。
会議のあと会見したイギリスのラーブ副首相は、各国からICCに対し、合わせて400万ポンド、日本円で6億4000万円あまりの追加支援のほか、捜査技術の向上に向けた専門家の派遣などが表明されことを明らかにし「われわれがことばと行動を一致させ、ICCの任務への実用的な支援を打ち出せたことは重要だ」と強調しました。

高見法務政務官「専門的な面での協力さらに強化」

日本の代表として会議に出席した高見康裕法務政務官は、NHKの取材に対して「ICCは法の支配を国際社会が体現するうえで極めて重要な存在だ。戦争犯罪の捜査は、量的にも質的にもますます重要になっていくと思う」と述べました。

また「トラウマを抱える人の心の傷を深めることなく捜査に協力してもらう知見が日本にはある。検事の派遣のほか、専門的な面での協力をさらに強化していきたい」と述べ、日本としてICCへの支援に力を入れる考えを示しました。

ヨーロッパ委員会委員「可能な限りの設備や財政的支援を提供」

EU=ヨーロッパ連合の執行機関にあたるヨーロッパ委員会のレンデルス委員は、報道陣の取材に対して「われわれは当初から戦争犯罪の加害者を裁くことを目標としてきたが、侵略罪についても裁きにかけることは可能で、そのためには国家レベルでの十分な支援が必要だ」と述べた上で「ICCが捜査を進展させるために可能な限りの設備や財政的な支援を提供していく」として、支援を強化していく考えを強調しました。