首相“自由で開かれたインド太平洋推進へ 750億ドル以上投入”

岸田総理大臣は、訪問先のインドで行った講演で「自由で開かれたインド太平洋」の新たな推進計画を明らかにしました。ODA=政府開発援助の拡充などを通じ、2030年までに官民合わせて750億ドル以上の資金をこの地域に投入し、成長を後押しするとしています。

講演は、インドのシンクタンクの主催で行われました。

この中で、岸田総理大臣はロシアのウクライナ侵攻などで世界で分断と対立が生まれる中、日本が提唱した法の支配や自由に根ざした構想「FOIP=自由で開かれたインド太平洋」は、これまで以上に重要になっていると指摘しました。

そして、「FOIPのビジョンを共有する各国の輪をさらに広げ、共創の精神で取り組みを進めていく」と強調し、取り組みの方向性を「4つの協力の柱」として打ち出しました。

具体的には、
▽国連憲章などの平和の原則や貿易のルールなどを守り、
▽食料危機や気候変動、感染症対策などの国際課題に対応していくとしています。

また、
▽インフラ整備や人の交流など、多様な手段で各国間の連結性を高めるほか、
▽空域にも安全保障や安全利用の協力を広げていくなどとしています。

そして、これらの協力を推進するため、今後10年間に日本のODAの拠出を増大させるとともに、民間投資の拡大も促し、2030年までに官民合わせて750億ドル以上の資金をインド太平洋地域に投入し、成長を後押しするとしています。

岸田総理大臣は「日本がG7議長、インドがG20議長のことし、両国が多くの国と協働することで試練の時を迎えている国際社会に平和と繁栄をもたらすことが私の希望だ。そのためのビジョンが『自由で開かれたインド太平洋』で、この地域が力や威圧とは無縁で自由と法の支配などを重んじる場となることを信じている」と述べました。