習近平国家主席 きょうからロシア公式訪問 ウクライナ情勢焦点

中国の習近平国家主席は20日からロシアを公式訪問します。中国は先月、ロシアとウクライナに対話と停戦を呼びかける文書を発表していて、習主席がプーチン大統領との会談でウクライナ情勢について、どのような姿勢を打ち出すのかが焦点です。

中国の習近平国家主席は20日から22日までの日程でロシアを公式訪問し、21日、プーチン大統領と首脳会談を行う予定です。

両首脳による対面での会談は去年9月以来で、習主席のロシア訪問はロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、初めてです。

今回の訪問について、中国外務省の報道官はロシアと関係を強化する姿勢を示すとともに「中国は、ウクライナ危機の問題について客観的かつ公正な立場を堅持し和平交渉を促すために建設的な役割を果たす」と述べています。

中国は先月、ロシアとウクライナに対話と停戦を呼びかける文書を発表していて、習主席はプーチン大統領に中国の立場を直接伝えるものとみられます。

一方、アメリカなどは中国がロシアに軍事支援を行うことに懸念を強めています。

全人代=全国人民代表大会を経て共産党と国のトップとしていずれも異例の3期目に入った習主席が、対立するアメリカをにらんでロシアとの関係を強めながら、ウクライナ情勢についてどのような姿勢を打ち出すのかが焦点です。

専門家「中国は和平交渉で積極的な役割果たす可能性ある」

プーチン政権に近い、ロシアの政府系シンクタンク「ロシア国際問題評議会」のアンドレイ・コルトゥノフ会長はNHKのインタビューに対し「今回の習主席の訪問は、3期目が決まった後の最初の外国訪問であり、ロシアにとって重要だ。もともと中国は重要なパートナーだが、ウクライナ情勢などで、この動きが加速している」と述べました。
そして両首脳による会談について「経済分野では、投資活動の拡大やインフラの発展について協議され、中国に天然ガスを送るパイプライン『シベリアの力 2』についても話し合われるだろう」と述べ、ロシアとしては、欧米の制裁が強まる中、中国との経済やエネルギー関係の強化が議題となるという見通しを示しました。

また、コルトゥノフ氏は「米中関係が複雑になり続ける中で、習主席の訪問は中国にとっても重要だろう。ロシアと中国の利益はかなり合致している。中国もアメリカから強まる制裁の圧力を経験し、国際社会での地政学的な状況に対応しなければならない」と述べ、アメリカに対抗するうえでロシアも中国も協力を深める必要性があると指摘しました。

そして、ウクライナ情勢について「中国が示した和平案はロシアにとっては都合のよくない項目もあるが、欧米側に兵器供与の停止を促したものや、一方的な制裁は拒否するといった点についてモスクワは関心を持って受け止めている。中国がこの問題で非常に慎重であることはわかるが、どちらかというと中国はロシア側の立場にいる」と述べました。

そのうえで「中国はサウジアラビアとイランとの対話を成功させ、積極的で粘り強い中国外交の結果は希望を与えてくれる。ロシアとウクライナ、または、ロシアと西側の和平交渉で積極的な役割を果たす促進剤になる可能性がある」と述べ、プーチン政権はロシアと関係を深める中国の果たす役割に期待しているという見方を示しました。