【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシアの戦争犯罪追及 国際会議始まる

ウクライナでの戦争犯罪の追及に向けてICC=国際刑事裁判所や40か国以上の閣僚などが話し合う会議が20日、イギリスのロンドンで始まりました。

ICCへの支援強化のほか、ICCが戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したロシアのプーチン大統領への対応についても協議するものと見られます。

会議にはウクライナのマリュスカ法相、それにドイツや日本など40か国以上の政府高官のほか、ICCのカーン主任検察官が参加して日本時間の20日午後8時すぎから始まりました。

会議では、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナでの市民への攻撃や性暴力などを捜査しているICCへの支援について話し合われます。

会議に先立ち、ICCはロシアが、占領した地域からウクライナの多くの子どもをロシア側に移送したことをめぐり戦争犯罪の疑いでプーチン大統領に逮捕状を出しました。

会議では、カーン主任検察官が逮捕状について説明するとともに、各国が対応を話し合うものと見られます。

また、主催したイギリス政府はICCに40万ポンド近く、日本円で6300万円余りの追加支援のほか、SNSなどから戦争犯罪の証拠を収集する能力を向上させるため、捜査官への訓練を行うことなどを発表していて、各国もICCへの支援の強化を打ち出す見通しです。

ロシア連邦捜査委 プーチン大統領に逮捕状のICCに刑事手続き

オランダ・ハーグにあるICC=国際刑事裁判所がウクライナ情勢をめぐってロシアのプーチン大統領に戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したことについてロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会は20日、声明を発表し、「プーチン大統領などを逮捕することを違法に命じた。意図的な不法行為だ」として、ICCのカーン主任検察官や日本の赤根智子裁判官など4人に対して刑事手続きを開始したと発表しました。

プーチン大統領 一方的併合のウクライナ4州に法整備を指示

ロシアのプーチン大統領は去年9月に一方的な併合に踏み切ったウクライナの4つの州について住民を保護するためだとして法律の整備を急ぐよう内務省に指示し支配の既成事実化を推し進める考えを強調しました。

ロシアのプーチン大統領は20日、首都モスクワで開かれた内務省の関係者が出席する会議で演説しました。

このなかで、プーチン大統領は去年9月に一方的な併合に踏み切ったウクライナの東部と南部の4つの州について「これらの地域に住むすべての住民が法律によって保護されるよう、内務省は、その支援を組織的に行うべきだ」と述べました。

具体的な措置の1つとして、この地域に住む人たちがロシア国民であることを証明するパスポートを早急に受け取れるようにすべきだとしています。

プーチン大統領は、今月18日には9年前に一方的に併合したウクライナ南部クリミアに続いてその後、東部ドネツク州の要衝マリウポリをそれぞれ事前の予告なく訪問し、ロシア側の支配を誇示しました。

ウクライナ側は、ロシアに占領された地域の奪還を目指して東部や南部で反転攻勢を続けていますが、プーチン大統領としては支配した地域の既成事実化を法的にも推し進める考えを強調したものです。

ウクライナ「中国の和平案 ロシア軍降伏か撤退する必要」

中国の習近平国家主席のロシア訪問についてウクライナの国家安全保障・国防会議のダニロフ書記はツイッターで、「中国の『和平案』が成功裏に実施されるには、国際法や国連憲章にのっとってまず、ロシア軍が降伏するかウクライナの土地から撤退する必要がある」と投稿しました。

首脳会談で中国がロシア側に有利な形でウクライナとの停戦を呼びかける可能性があるとの懸念が出るなか、ロシア軍の撤退なくして和平交渉はありえないとの立場を強調した形です。

習主席とプーチン大統領 相手国メディアへそれぞれ寄稿

中国の習近平国家主席が20日から22日までロシアを公式訪問するのを前に、習主席とプーチン大統領が相手の国のメディアにそれぞれ寄稿しました。

このうち習主席は、中国が発表したロシアとウクライナに対話と停戦を呼びかける文書について「各国の懸案を合理的に取り入れ、建設的な役割を果たした。各国が平等かつ理性的、実務的な対話を堅持すれば、ウクライナ危機を解決する合理的な方法は必ず見つけられる」と強調しました。

これに対し、プーチン大統領は今回の習氏との会談について「両国の協力関係に新たな弾みがつくことは間違いない」と期待感を示しました。そして、ウクライナ情勢について「中国のバランスの取れた方針に感謝する」として中国の建設的な役割を歓迎する姿勢を示しました。

両首脳は21日、去年9月以来となる対面での会談を行う予定で、ウクライナ情勢をめぐってどのような姿勢を打ち出すのかが焦点となります。

習近平国家主席 きょうからロシア公式訪問 ウクライナ情勢焦点

中国の習近平国家主席は20日から22日までの日程でロシアを公式訪問し、21日、プーチン大統領と首脳会談を行う予定です。
両首脳による対面での会談は去年9月以来で、習主席のロシア訪問はロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、初めてです。

今回の訪問について、中国外務省の報道官はロシアと関係を強化する姿勢を示すとともに「中国は、ウクライナ危機の問題について客観的かつ公正な立場を堅持し和平交渉を促すために建設的な役割を果たす」と述べています。

中国は先月、ロシアとウクライナに対話と停戦を呼びかける文書を発表していて、習主席はプーチン大統領に中国の立場を直接伝えるものとみられます。

一方、アメリカなどは中国がロシアに軍事支援を行うことに懸念を強めています。

全人代=全国人民代表大会を経て共産党と国のトップとしていずれも異例の3期目に入った習主席が、対立するアメリカをにらんでロシアとの関係を強めながら、ウクライナ情勢についてどのような姿勢を打ち出すのかが焦点です。

専門家「中国は和平交渉で積極的な役割果たす可能性ある」

プーチン政権に近い、ロシアの政府系シンクタンク「ロシア国際問題評議会」のアンドレイ・コルトゥノフ会長はNHKのインタビューに対し「今回の習主席の訪問は、3期目が決まった後の最初の外国訪問であり、ロシアにとって重要だ。もともと中国は重要なパートナーだが、ウクライナ情勢などで、この動きが加速している」と述べました。

そして両首脳による会談について「経済分野では、投資活動の拡大やインフラの発展について協議され、中国に天然ガスを送るパイプライン『シベリアの力 2』についても話し合われるだろう」と述べ、ロシアとしては、欧米の制裁が強まる中、中国との経済やエネルギー関係の強化が議題となるという見通しを示しました。
また、コルトゥノフ氏は「米中関係が複雑になり続ける中で、習主席の訪問は中国にとっても重要だろう。ロシアと中国の利益はかなり合致している。中国もアメリカから強まる制裁の圧力を経験し、国際社会での地政学的な状況に対応しなければならない」と述べ、アメリカに対抗するうえでロシアも中国も協力を深める必要性があると指摘しました。

そして、ウクライナ情勢について「中国が示した和平案はロシアにとっては都合のよくない項目もあるが、欧米側に兵器供与の停止を促したものや、一方的な制裁は拒否するといった点についてモスクワは関心を持って受け止めている。中国がこの問題で非常に慎重であることはわかるが、どちらかというと中国はロシア側の立場にいる」と述べました。

そのうえで「中国はサウジアラビアとイランとの対話を成功させ、積極的で粘り強い中国外交の結果は希望を与えてくれる。ロシアとウクライナ、または、ロシアと西側の和平交渉で積極的な役割を果たす促進剤になる可能性がある」と述べ、プーチン政権はロシアと関係を深める中国の果たす役割に期待しているという見方を示しました。

英国防省 “ロシアがメリトポリを州都にすると一方的に宣言”

ロシア側は占領している南部ザポリージャ州の都市メリトポリを州都にすると一方的に宣言したとイギリス国防省が19日、発表しました。

州都ザポリージャの占領をロシアは狙っていたものとみられますが、反転攻勢を強めているウクライナ軍はこの都市を守っています。

ロシアは占領できる可能性が非常に低いと判断し、代わりにメリトポリを州都にすると宣言したのではないかとイギリス国防省は分析しています。

ウクライナ プーチン大統領の訪問を批判

ロシアのプーチン大統領が、一方的に併合した南部クリミアや東部ドネツク州の要衝を相次いで訪問したことに対し、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は「犯罪者は必ず犯行現場に戻るということだ」とツイッターに投稿し、プーチン大統領にICC=国際刑事裁判所から戦争犯罪の疑いで逮捕状が出されたことを念頭に批判しました。