“一枚岩”に込めた思い 高校野球 選手宣誓 高松商 横井主将

センバツ高校野球の開会式で、選手宣誓をおこなった高松商業のキャプテン、横井亮太選手。こだわったのは、チームのスローガンでもある「一枚岩」ということば。そこに込められた思いとは…。
(センバツ取材班 山内司)

3回目の入場行進で初 “場内1周”

横井選手は今回のセンバツで3回目の甲子園です。

新型コロナウイルスの影響を受ける中での大会が続き、開会式の入場行進は、1年生の夏が外野から内野に向かってのみ歩き、2年生の夏は、直前でキャプテンのみが行進する形式に変更となり、参加することもできませんでした。
そして今回、3回目の出場で初めて場内を1周。

多くの観客が手を振ったり、声援を送ったりする姿を目の当たりにし、気持ちを新たにしました。
(横井亮太 主将)
「初めて甲子園のグラウンドを1周することができて感動しましたし、たくさんの方々が応援してくれていると実感できたので、それに自分たちは応えないといけないなというふうに改めて自覚を持ちました」

仲間への感謝を胸に

さらに担うことになっていたのは選手宣誓という大役。

前日のリハーサルでは緊張のあまり、途中でコメントを忘れてしまいました。
宿舎に戻ったあと、部員たちに旗に見立てたバットを持って、周りを囲んでもらうなど協力してもらい、本番さながらの練習を繰り返しました。

さらに、心強いメッセージも届きました。
送ってきたのは、前のキャプテンで、プロ野球の巨人に入団した浅野翔吾選手でした。

甲子園でともに戦った憧れの先輩は、センバツが開幕する日に2軍の公式戦での先発出場が決まっていたということで「お互いに頑張ろう」と励ましてくれました。
そして、当日の朝まで何度も練習を重ねました。

“一枚岩”に込めた思い

迎えた選手宣誓。
「仲間を信じ、一枚岩となって全身全霊でプレーし、勇気や感動を届ける…」

この日の「一枚岩」は、今、社会で起きている出来事も踏まえ、特別な思いを込めていました。
(横井亮太 主将)
「制限のある生活は元に戻りつつあるものの、ウクライナでの戦争など、暗いニュースがまだまだ多い。そうした中で、自分たち高校球児が一枚岩になって熱いプレーを繰り広げ、センバツを盛り上げることで、より多くの勇気や感動を届けたい。選手宣誓が終わったので、次は野球に切り替えて、いろいろな方を勇気づけたいです」

高松商業は大会7日目に愛知の東邦高校と対戦します。

一枚岩で戦う姿を、憧れの舞台でしっかりと示す覚悟で準備を進めています。

【選手宣誓 全文】

宣誓。たった1球の白球を私たち高校球児が追いかけ始めてから、憧れのこの舞台に立つまでにたくさんの支えや応援がありました。制約がかかる中で、多くの方々が努力をして、私たちが全力で野球をできる環境を作ってくださいました。
そして、この春、甲子園に声を出しての応援が戻ってきます。野球ができること、それを応援してもらえることは当たり前ではなく、大変ありがたいことだと感じています。さまざまな制限があった生活も徐々に終わりを迎えつつあります。

一方で、戦争、紛争、そして災害。私たちが野球に打ち込んでこられたように、すべての若者が、希望を持ち、夢を追いかけられる平和な世の中となるよう、願わずにはいられません。

そして、私たち高校球児は仲間を信じ、一枚岩となって全身全霊でプレーし、勇気や感動を届けることで、支えてくださるすべての方に恩返しをしたいと思います。この聖地、甲子園で全高校球児が1球に魂を込め、正々堂々戦い抜くことを誓います。