北朝鮮「新型ICBM 火星17型の発射訓練を16日に行った」発表

北朝鮮は、新型のICBM=大陸間弾道ミサイルの「火星17型」の発射訓練が16日に行われたと発表し、映像を公開しました。

北朝鮮は、首都ピョンヤン近郊のスナン(順安)にある国際空港で、新型のICBM「火星17型」の発射訓練が16日に行われ、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が娘とともに立ち会ったと17日に発表し、国営テレビを通じて発射の映像を公開しました。

映像では、「火星17型」が片側11輪の移動式発射台で滑走路に運ばれて垂直に立ち上げられ、カウントダウンに続いて4つのノズルからオレンジ色の炎を吹き出しながら上昇していく様子が、さまざまな角度から捉えられています。

ミサイルは上空で分離したあと宇宙空間に達し、搭載されたカメラで撮影したとする地球の写真も放送されました。

最高高度は6045キロで、1時間9分かけて飛行し、1000キロ先の日本海の公海上の目標水域に着弾したとしています。

北朝鮮が「火星17型」を発射したのは去年11月以来で、このときは「最終発射実験」に成功したとしていましたが、「火星17型」の発射訓練の実施を明らかにしたのは今回が初めてで、実戦配備の段階に入っていると誇示するねらいがありそうです。
キム総書記は「わが国を露骨に敵視して大規模軍事演習を繰り広げているアメリカと南にその無謀さを引き続き認識させるだろう」と述べ、今月13日から合同軍事演習を行っている米韓両国に対しさらなる対抗措置も示唆して強くけん制しました。

火星17型とは

北朝鮮の新型のICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星17型」は、液体燃料式で4つのノズルがあり、片側11輪の移動式発射台に搭載されていて、北朝鮮が保有する最大の弾道ミサイルとみられています。

2020年10月に朝鮮労働党の創立75年に合わせた軍事パレードで初めて公開され、防衛省は射程が1万5000キロを超え、アメリカ全土を射程に収める可能性があると分析しています。

北朝鮮は去年3月、首都ピョンヤン近郊の国際空港があるスナンから日本海に向けて通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で「火星17型」の初めての発射実験を行い「最高高度が6248.5キロに達し、予定された水域に正確に着弾した」と主張しました。

去年11月には、同じスナンから日本海に向けて「ロフテッド軌道」で「火星17型」の「最終発射実験」が行われ、キム・ジョンウン総書記が初めて娘を伴って発射に立ち会い「最高高度が6040.9キロに達して1時間8分55秒飛行し、世界最強の戦略兵器としての威力ある性能が検証された」と発表しました。

さらに、ことし2月の軍の創設75年を記念した軍事パレードでは「火星17型」を10基余り登場させ、アメリカ本土に対する核攻撃能力を誇示するねらいがあるとみられていました。

北朝鮮 米韓合同軍事演習の即時中止を要求

北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、今月13日から行われているアメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習を非難する論評を17日放送し「敵対勢力はわが国の自主権と安全・利益を乱暴に侵害する行為にしがみついており、その重大性と危険性はこれ以上受け入れられない状況に至っている」として、演習の即時中止を要求しました。

そのうえで「敵対勢力の軍事的脅威を徹底的に制圧し、朝鮮半島の平和と安全を守るための断固かつ決定的な措置を取らざるを得なくなった」と威嚇しています。

さらに論評は「われわれの核武力は、決して宣伝のために存在しているのではない。危険な衝突が起きれば、先制的に使用できる」として、核の先制使用の可能性に改めて言及して米韓両国を強くけん制しました。