ウクライナ軍総司令官 防空システム強化の必要性 米側に訴える

ロシア軍がウクライナ全土へのミサイル攻撃を続ける中、ウクライナ軍のザルジニー総司令官はアメリカ側と電話会談を行い、防空システムを強化する必要性を訴えました。

これはザルジニー総司令官が12日までにSNSで明らかにし、アメリカ軍の制服組トップ、ミリー統合参謀本部議長に対し弾薬や装備品の支援を求め、さらに防空システムの能力を強化する必要性を訴えたということです。

ロシア軍は今月9日、極超音速ミサイルだと誇示する「キンジャール」を含む複数の種類のミサイルを使用して大規模なミサイル攻撃を行っていて、こうした攻撃に対応するためアメリカ軍に改めて軍事支援を求めたとみられます。また、ロシア軍が全域の掌握をねらう東部ドネツク州の激戦地バフムトでは街の東側をロシア側が掌握したとみられています。

これに対し、ウクライナ軍の司令官は「まもなく始まる反転攻勢まで時間を稼ぐ必要がある」と部隊を鼓舞し、ウクライナ側は街の西側で防衛線を築き、侵攻を食い止める姿勢を示しています。

一方、イギリス国防省は12日、ロシア側の兵士の死者について、首都モスクワや第2の都市サンクトペテルブルクなど裕福な都市部の出身者と比べ、ロシアの地方、特にロシア東部の出身者が人口の割合にして30倍以上の死亡率になる可能性があると指摘し、厳しい経済状況にある地方出身者が戦地に送り込まれていると分析しています。

ロシア国防省が裕福で影響力が強いロシア人家庭は除外しながら兵員不足に対応しようとしていると分析していて、政権側が社会の不安や反発が起きないよう神経をとがらせているものとみられます。