WHO 葛西健事務局長を解任 不適切行為で

WHO=世界保健機関は東アジアなどを管轄する地域事務局でトップを務める葛西健事務局長について、不適切な行為があったとして解任したと発表しました。

解任が発表されたのは、日本を含む東アジアや太平洋地域を管轄するWHOの西太平洋地域事務局の葛西健事務局長です。

葛西氏は感染症対策が専門で2019年から地域事務局の事務局長をつとめ新型コロナウイルスの対策で指揮を執ってきましたが、人種差別的な発言をしたとする一部の職員からの批判を受けて、WHOは去年、葛西氏を休職扱いとした上で内部調査を進めていました。

WHOは8日に発表した声明で「調査の結果、不適切な行為があったことがわかった。結果を慎重に検討し、地域委員会や理事会での協議の結果、事務局長を解任した」としています。

地域事務局の関係者によりますと、事務局のあるフィリピンで先週、地域委員会が開かれ、調査の結果が報告されるとともに葛西氏の処遇が協議され、25の国と地域による採決の結果、賛成13、反対11、棄権1となり、解任が議決されたということです。

この結果を受けて、本部のジュネーブでの理事会で最終的な決定が行われたということです。

葛西氏はこれまで発表した声明で「特定の文化や国に対する人種差別を行ったという批判は否定する」としていました。

官房長官「差別容認しない政策支持」

松野官房長官は、午前の記者会見で「日本政府は人種差別やハラスメントを容認しないというWHO=世界保健機関の政策を支持する立場だ」と述べました。

そのうえで「本件は選挙で選ばれた地域事務局長に処分を行うものであり、調査や事実認定が公正、公平に行われ、地域委員会の加盟国がコミットしたうえで行われる必要があると一貫して主張してきた。これ以上の詳細は人事に関わる事柄の性質上、差し控えたい」と述べました。