ウクライナ ブチャで追悼式 ロシア軍侵攻で市民殺害から1年

ウクライナの首都キーウ近郊のブチャで4日、ロシア軍の侵攻で男性8人が殺害されてから1年になるのにあわせ、遺族や住民が参加し追悼式が行われました。

追悼式はロシア軍の撤退後、多くの市民の遺体が見つかり「死の通り」とも呼ばれるようになったブチャのヤブロンスカ通りにある建物の前で行われました。

地元当局によりますと、監視カメラの映像や目撃者の証言から、1年前の3月4日、ロシア軍が占拠していたこの建物の脇でロシア軍に連行された男性8人が銃で撃たれて殺害されたことが確認されているということです。
遺体が発見された場所の壁には犠牲者の生前の写真やウクライナの国旗が掲げられ、遺族たちが花を手向けたりろうそくに火をともしたりして命を奪われた人々を悼んでいました。

追悼式では、出席者全員で犠牲者に祈りをささげたあと、遺族がひとりひとりいまの胸のうちや亡くなった家族との思い出を、涙で声を詰まらせながら話していました。
37歳の兄が殺害されたナタリア・マトビチュクさん(25)は、NHKの取材に対し、「耐えがたい痛みをいまも心に抱えています。この痛みは人生が終わるまで続くでしょう。私たちは皆変わってしまいました。戦争が始まる前の私たちにはもう戻ることはできません」と話していました。

追悼式を主催したブチャの副市長は「きょうは私たちにとってとても重要な日です。犠牲になった彼らの名前を覚えておきたいし、罪を犯した人を罰することを望んでいます」と話していました。

ブチャでは、ロシア軍の撤退後、400人以上の市民の遺体が確認されていて、ウクライナの検察や国際刑事裁判所がロシア軍による戦争犯罪の疑いがあるとして捜査を進めています。