ウクライナ側 “冬の侵攻に耐え抜いた” 反転攻勢 強める姿勢

ロシア軍がウクライナ東部の掌握をねらい攻撃を強めているのに対し、ウクライナ側は冬の侵攻に耐え抜いたと強調し、3月に入り、領土奪還に向けた反転攻勢を強める姿勢を打ち出しています。

ウクライナのクレバ外相は1日、ツイッターに「3月1日、プーチンは新たな大敗を喫した。寒さや暗闇、ミサイル攻撃にもかかわらず、ウクライナは耐えて冬の恐怖を打ち破った。ウクライナを支持してくれたパートナーに感謝する」などと投稿し、冬の間、ロシア軍が各地で行った電力施設に対する攻撃に耐え抜いたことを強調するとともに、各国の支援に謝意を示しました。

またレズニコフ国防相も「ロシアは、われわれを凍らせ、暗闇に放り込もうとしたが、われわれは生き残った。きょうが春の始まりだ。ウクライナは勝つ」などと投稿し、反転攻勢を強める姿勢を打ち出しました。

ウクライナ国防省情報総局のスキビツキー副局長は、先月26日に掲載されたインタビューで、ウクライナ軍がこの春、大規模な反転攻勢に乗り出す計画があると述べました。

その上で「われわれの軍事的な戦略目標のひとつは南部戦線、つまりクリミアとロシア本土の間に、くさびを打ち込むことだ」と述べ、9年前の3月、ロシアに一方的に併合されたクリミアと、ロシア本土を分断する目標を明らかにしています。

一方、ロシア国防省の報道官は1日「ウクライナがクリミアの施設に無人機で大規模な攻撃を仕掛けてきたが、これを阻止した」と主張しました。

ロシア国防省は、前日の28日にもウクライナに近いロシア南部のクラスノダール地方などでウクライナの無人機による攻撃を阻止したと発表し、警戒を強めている可能性もあります。

ロシア軍は、ウクライナ東部のドンバス地域の掌握をねらい、攻撃を強めていますが、ウクライナ側はクリミアを含む領土の奪還に向けて、今月以降、大規模な反転攻勢を目指す構えです。

キーウ近郊 ブチャ市民 心の傷や恐怖抱えながら生活

NHKの取材班が1日、ロシア軍に一時占拠され多くの市民が犠牲になったキーウ近郊のブチャに入ったところ、現地では、破壊された住宅の再建が少しずつ進んでいました。

虐殺された市民の遺体が多数見つかり「死の通り」と呼ばれるようになったヤブロンスカ通りの周辺では、住民が散乱したがれきを片づけたり、業者が住宅の再建に向けた工事を進めたりしていました。

ヤブロンスカ通りの近くに住むオクサナ・ザモギリナ(56)さんは、住宅の窓ガラスや外壁が、ロシア軍のロケット弾による攻撃で破壊されました。その後、窓ガラスを張り替え、外壁を修復したものの、まだ室内にはがれきが散乱し、壁紙の修復など手つかずのままです。

ザモギリナさんは、ロシア軍が街を占拠していた光景を忘れられず、心の傷や恐怖を抱えながら生活しています。ザモギリナさんは「今でもブチャで起きた現実を信じられずにいます。ロシア軍が再び襲撃するかもしれないという恐怖や不安をずっと抱えながら生活しています」と話していました。