米国務長官 中央アジア5か国外相会合 ロシアとの関係にくさび

アメリカのブリンケン国務長官はカザフスタンを訪問し、中央アジア5か国の外相と会合を開きました。政治的にも経済的にもつながりが深いロシアと中央アジアの国々の関係にくさびを打ち、ロシアへの制裁の効果を高めるねらいもあるとみられます。

アメリカのブリンケン国務長官は28日、カザフスタンを訪問し、ウズベキスタンなど中央アジア5か国の外相と会合を開きました。

ブリンケン長官は会合のあとの記者会見で、「中央アジアの友好国に対し、さまざまな機会を提供できるようできるかぎりのことはする」と述べ、この地域の貿易相手国の多角化などを推進するための基金などに追加で2500万ドル、日本円にしておよそ34億円を提供すると明らかにしました。

中央アジアの5か国は旧ソビエトの構成国で、政治的にも経済的にもロシアとのつながりが深い一方、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと距離を置く姿勢もみせています。

ブリンケン長官の中央アジア訪問は就任後、初めてで、ロシアと中央アジアの国々の関係にくさびを打ち、ロシアへの制裁の効果を高めるねらいもあるとみられます。

一方、ブリンケン長官は、中国がロシアへの軍事支援を検討しているとして改めて懸念を示した上で「中国の企業や個人がわれわれの制裁に違反したり、ロシアの軍事侵攻を支援したりすれば、ためらうことなく標的にする」と述べ、強くけん制しました。

ロシア外相 アゼルバイジャン訪問 存在感示すねらいか

ロシアのラブロフ外相は旧ソビエトのアゼルバイジャンの首都バクーを訪問し、27日にアリエフ大統領と会談したのに続き、28日にはバイラモフ外相と会談を行いました。

アゼルバイジャンは隣国アルメニアとの間で、去年、武力衝突が起き死者が出ていて、一連の会談でラブロフ外相は、ロシアが仲介役となって両国の問題解決を進めたい意向を強調しました。

一方、この地域を巡っては、アメリカのブリンケン国務長官が18日にドイツでアゼルバイジャンのアリエフ大統領とアルメニアのパシニャン首相と会談するなど、仲介役としての外交的な働きかけを強めています。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、勢力圏だとしてきた旧ソビエト諸国の間でロシアの影響力の低下が指摘されていて、ロシアとしては旧ソビエトの構成国である両国に対し、存在感を示したいねらいもあるものとみられます。