ウクライナ侵攻1年 G7首脳会合 岸田首相 ロシアへ追加制裁表明

ロシアのウクライナ侵攻開始から1年となるのに合わせ、G7の首脳会合がオンラインで開かれました。岸田総理大臣は、ロシアに対する日本の追加の制裁として新たに120を超える個人や団体を資産凍結の対象にすることなどを表明しました。

首脳会合は、議長国・日本の呼びかけで、24日午後11時すぎからおよそ1時間半開かれ、ウクライナのゼレンスキー大統領も出席しました。

岸田総理大臣は、ロシアの侵攻は国際法違反で正当化できないとしたうえで、厳しい制裁やウクライナへの強力な支援などを通じて、侵攻をやめさせ、法の支配に基づく国際秩序を堅持していく決意を強調しました。

そのうえで、ロシアに対する日本の追加の制裁として、新たに120を超える個人や団体を資産凍結の対象にすることや、ドローンに関連する物品をはじめ輸出を禁止する物品を拡大することなどを表明しました。

また、ウクライナに55億ドルの追加支援を行うことも説明しました。

さらに、侵攻を一日も早くとめるには、第三者からロシアに対する軍事的な支援を防ぐ重要性も訴え関係国と緊密に連携していく考えを伝えました。

一方で、ロシアによる核の威嚇は、国際社会の平和と安全への深刻な脅威で断じて受け入れられないという立場を強調しました。

このほか、今後の国際世論の形成も念頭に「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国への関与や支援を呼びかけました。

そして各国首脳は、法の支配に基づく国際秩序を堅持するため、G7の連帯は決して揺らぐことはないという認識で一致しました。

首脳声明でウクライナ侵攻を非難 ロシアに部隊の撤退を要求

会合のあと、首脳声明が発表されました。

声明では、冒頭、ウクライナ侵攻を「違法、不当でいわれのない戦争」と非難し、ウクライナ全土からの即時、完全かつ、無条件の部隊の撤退をロシアに要求するとしています。

また、これまで77年間、核兵器が使われなかった重要性を明記し、ロシアが使用すれば厳しい結果につながると指摘しています。

そして、ロシアがアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行停止を決定したことに、深い遺憾の意を示しています。

さらに、ウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所をロシアが引き続き占拠・支配していることに最も重大な懸念を表明するとし、部隊の完全な撤退のみが解決策だと強調しています。

ウクライナへの支援については、軍事や防衛装備のニーズに沿う取り組みの調整に加え、人道面やエネルギー分野における追加支援の提供に関与していくとしています。

G7財務相・中央銀行総裁会議で、ウクライナへの経済的な支援が390億ドルに増額されたことを歓迎し、今後、IMF=国際通貨基金などとの協力のもとで支援を実施する必要性が記されています。

一方、ロシアに対する制裁強化へのG7各国の関与も明確にし、今後数日から数週間のうちに新たな措置を講じるとしています。

具体的には、軍事・製造部門を支える産業技術などへのロシアのアクセスを阻止するほか、ロシアのエネルギー収入と将来的な採掘能力を制限する適切な措置を講じるなどとしています。

また、既存の措置の実効性を高めるため軍事面での物的支援の提供を停止するよう第三国に要求するなどとしています。

そして、侵攻の長期化を背景にした世界的な物価高騰を念頭に、食料などの迅速な支援を提供し続けるG7の結束した意志を改めて表明しています。

最後に、法の支配に基づく国際秩序を堅持するためのG7の連帯は決して揺るがない立場を重ねて示しています。

政府関係者は「侵攻開始から1年のこのタイミングで、議長国日本が主導する形で首脳声明を出せたことは、G7の結束を内外に示す点でも大きな意義がある」としています。