プーチン大統領 核戦力の増強を宣言 アメリカなどをけん制か

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で1年となるのを前に、ロシア側はウクライナ東部を中心に攻撃を強めています。プーチン大統領は、核戦力を増強していく考えを示し、ウクライナへの軍事支援を進めるアメリカなどをけん制するねらいがあるとみられます。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア側は、東部のドネツク州などで支配地域を拡大しようと攻撃を強め、ウクライナ側の徹底抗戦が続いています。

戦況を分析するイギリス国防省は23日、ウクライナ側がドネツク州の拠点とするバフムトで、この2日間、激しい戦闘が行われていると指摘しました。

また、州都ドネツクの南西に位置するブフレダルでも、ロシア側からの激しい砲撃を受けているとした上で「ロシア側は、さらに別の攻撃を準備している可能性がある」という見方を示しました。
ロシア大統領府は23日、「祖国防衛の日」と呼ばれる軍人をたたえるロシアの祝日にあわせて、プーチン大統領の動画のメッセージを公開しました。
このなかで、プーチン大統領は「特別軍事作戦に参加している軍関係者や動員兵などを心から祝福したい。彼らはウクライナに根づいたネオナチと戦い、われわれの歴史的な領土で人々を守る英雄だ」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻に参加する兵士らをたたえ、国民に結束を呼びかけました。

また、プーチン大統領は「国家の安全と主権を守るカギは近代的で効率的な陸軍や海軍だ」と述べ、軍備の近代化や増強を進める考えを強調しました。
そのうえで「ことし、大陸間弾道ミサイル『サルマト』の実戦配備を行う。また極超音速ミサイル『キンジャール』の大量製造を継続していく。そして、海上発射型の極超音速ミサイル『ツィルコン』の大量供給を始める」と述べ、ロシア軍が保有する陸や海そして空軍の核戦力を増強していくと宣言しました。

プーチン大統領は21日に行った年次教書演説でも、ロシア軍の核戦力を誇示するとともにアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行停止を表明したばかりで、ウクライナへの軍事支援を強めるアメリカなどをけん制するねらいとみられます。

ウクライナ ゼレンスキー大統領「勝利が必ず訪れると確信」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、22日に公開した動画で軍の士官学校の卒業生を激励し「ウクライナで今このとき、軍事教育を受けることは特別な使命だ。軍の将校になり、みずからの人生をもってウクライナに勝利をもたらそうとする者たちが尽きないことをうれしく思う」と述べました。

そのうえで「こうした者たちに勝利が必ず訪れると確信している」と述べ、ロシアの軍事侵攻に屈しない姿勢を改めて強調しました。

フランシスコ教皇 “停戦と和平交渉の開始”呼びかけ

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから1年となるのを前にローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は22日一般謁見の中で「不条理で残酷な戦争の開始から24日で1年となる。悲しい記念日だ」と述べました。

その上で「私たちはこの戦争を止めるためにできることをすべて行ったかと、みずからに問おう」と述べ、一刻も早い停戦と和平交渉の開始を実現するよう呼びかけました。