【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(22日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 大規模集会で国民に結束呼びかけ

ロシアの首都モスクワ市内のスタジアムでプーチン政権の支持者による大規模な集会が開かれ、日本時間の今夜10時頃、プーチン大統領が演説を行いました。

プーチン大統領は「われわれにとって最も大切なのは家族と祖国を守ることだ。ロシアの歴史的な境界線でわれわれのために戦闘が行われている」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻に参加している兵士らをたたえ、国民に結束を呼びかけました。

集会では、ロシア各地から政権の支持者が国旗を掲げて集まっているほか、ウクライナでの戦闘に参加したとする兵士や東部や南部の親ロシア派の指導者も出席しています。

また、特別軍事作戦だとしてウクライナで行っている軍事侵攻に関連する映像なども上映され、連帯を呼びかけました。

ロシアメディアが20万人規模だとする集会の様子は、国営テレビなどが中継で伝え、プーチン政権としては、軍事侵攻に対する国民の支持は得られていると印象づけたいねらいもあるとみられます。

プーチン大統領 中国 王毅政治局委員と会談 首脳会談に意欲

ロシアのプーチン大統領は22日、ロシアを訪問中の中国で外交を統括する王毅政治局委員と会談しました。

会談の冒頭、プーチン大統領は「ロシアと中国の関係は計画通りに発展していて、新たな領域に到達している。2024年までに中国との貿易高は2000億ドルに達すると信じている」と述べ、両国間の連携が強化されていると強調しました。

そのうえで「習主席がロシアを訪問するのを待っている。われわれは以前からこの件で合意している」と述べ中国で来月に予定されている全人代=全国人民代表大会が終わった後にロシアで首脳会談を開催することに意欲を示しました。

また王氏は「現在の国際情勢は厳しく複雑だが、両国の関係は成熟し、強じんで安定している。両国のパートナーシップはいかなる第三者からも妨害や挑発を受けず、脅迫や圧力にさらされることはない」と強調しました。

ロシアとしては対立するアメリカをにらんで中国との関係強化を図りたい考えです。

イタリア メローニ首相がウクライナ訪問 軍事支援の継続示す

イタリアのメローニ首相は21日、ウクライナを訪問し、首都キーウでゼレンスキー大統領と会談したあと、記者会見を行い軍事支援を継続する考えを示しました。

イタリアのメローニ首相は、ウクライナを訪問しロシア軍の侵攻で多くの市民が殺害されたキーウ近郊のブチャなどを視察し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

ロシアによるウクライナへの侵攻のあと、イタリアの首相がウクライナを訪問するのは、去年6月、当時のドラギ首相に続いて、2回目です。
ゼレンスキー大統領との会談のあと記者会見したメローニ首相は「国家が攻撃された時に供与されるべきは防御的な兵器だ」と述べ、ロシアのミサイル攻撃に対応するための地対空ミサイルシステムのウクライナへの供与など、軍事支援を継続する考えを強調しました。

一方で「航空機の供与は議論のテーブルに載っていない」と述べ、戦闘機の供与には否定的な考えを示しました。

また、メローニ首相は「ウクライナの人たちの降伏によってもたらされる平和は真の平和ではない。ウクライナの降伏はロシアによるほかのヨーロッパの国々への侵略の始まりでしかない」と指摘しました。

今月20日のアメリカのバイデン大統領に続くメローニ首相の訪問で、G7=主要7か国の現職の首脳のうち、ロシアによる侵攻のあと、ウクライナを訪問していないのは、日本の岸田総理大臣だけとなりました。

中国王毅氏とプーチン大統領側近が会談 首脳会談に向け調整も

中国で外交を統括する王毅政治局委員はロシアの首都モスクワを訪れ、21日にパトルシェフ安全保障会議書記と会談しました。

会談の冒頭、パトルシェフ氏は「ロシアと中国の封じ込めを目指す欧米側に対し、国際舞台において両国の協力と関係をさらに深めることはとりわけ重要だ」と述べ、ウクライナ情勢や米中対立を念頭に中国との戦略的な関係強化の必要性を強調しました。

一方、王氏は「中国とロシアの関係は成熟した性質を持っている。強固なもので、変化する国際情勢の中でもあらゆる試練に耐えるだろう」と述べました。

こうした中、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは21日、関係者の話として、中国の習近平国家主席が数か月以内にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する計画を準備していると伝えました。

ロシアによるウクライナ侵攻の終結に向けて、中国が和平交渉を後押しするねらいもあると伝えています。

王氏とは22日、ラブロフ外相が会談する予定のほか、プーチン大統領が会談するとも伝えられ、中ロ両国の首脳会談に向けて調整を行う可能性もあります。

バイデン大統領 ポーランドで演説「ロシアの勝利 決してない」

軍事侵攻後、初めてウクライナを訪問したバイデン大統領は21日、隣国、ポーランドの首都ワルシャワで演説を行いました。

この中でバイデン大統領は「1年前、世界はキーウの陥落に備えていた。私はキーウから戻ってきたばかりだが、キーウは今も力強くあると伝えたい」と述べました。
その上で「侵攻によって試されたのはウクライナだけでなく、世界そのものだ。民主主義は弱くなるどころかより強くなった。専制主義こそが弱体化した」と訴えました。
そして「残忍さが自由の意志をすり減らすことはできない。ロシアがウクライナで勝利することは決してない」と述べるとともに「われわれのウクライナへの支持が揺らぐことはなく、NATO=北大西洋条約機構が分断されることもない」と述べてウクライナを支え続けていく決意を改めて強調しました。
また、バイデン大統領はロシア国民に呼びかける形で「多くのロシア人は隣国と平和に暮らしたいだけだ」と述べ、ウクライナで戦闘が続いているのはあくまで軍事侵攻に踏み切ったプーチン大統領の責任だと非難しました。

バイデン大統領 ポーランドのドゥダ大統領と会談

ポーランドの首都ワルシャワでの演説を前にアメリカのバイデン大統領は21日、ドゥダ大統領と会談しました。

この中でバイデン大統領はロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ポーランドがウクライナから避難してきた多くの市民を受け入れていることをたたえました。

そして前日にウクライナの首都キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談したことに触れ「ウクライナに対するわれわれの支援は揺るぎない」と強調し、結束を呼びかけました。

これに対してドゥダ大統領はバイデン大統領のキーウ訪問について「アメリカがヨーロッパや世界の平和と安定に責任をおっていることを示す力強いシグナルだ」と述べ、歓迎しました。

アメリカ・ホワイトハウスの発表によりますと両首脳はウクライナへの支援やNATO=北大西洋条約機構を強化するための取り組みについて改めて確認したということです。

米ブリンケン国務長官 核軍縮条約停止は「無責任」

ロシアのプーチン大統領がアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行を一時的に停止すると一方的に主張したことについて、アメリカのブリンケン国務長官は訪問先のギリシャで21日「非常に残念で、無責任だ」と述べて強く批判しました。そのうえで「ロシアが実際にどう行動するか注意深く見ていく。われわれはどのようなことが起きてもアメリカや同盟国の安全保障のために適切な態勢をとっていく」と述べました。

プーチン大統領 年次教書演説 核軍縮条約の停止を主張

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻を開始して以降初めて行った年次教書演説で、アメリカとの核軍縮条約の履行を一時的に停止すると一方的に主張しました。

また、ロシアの核戦力を誇示してウクライナへの軍事支援を強化するアメリカなどを強くけん制しました。
ロシアが一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部や南部の4つの州については「社会経済の発展に向け大規模なプログラムをすでに開始し、今後、発展させていく」と強調しました。

さらにロシアで子どもを持つ家庭に支払われる手当てについては「新しいロシアの領土に住む人々も対象となった」と一方的に主張し、ウクライナの4つの州に対するロシアの支配を既成事実化していく姿勢を改めて示しました。
一方、プーチン大統領は「私たちの義務は愛する人を失った家族を支援し子どもたちを育てることだ」と述べ、ウクライナの侵攻に関わって死亡したりけがをしたりした兵士やその家族を支援するための新たな基金を設立する考えを示しました。

プーチン大統領としては、予備役の動員をめぐってロシア社会で大きな混乱が広がったことなどからロシア兵やその家族を支援する姿勢を強調し、国民の理解を得るねらいもあるとみられます。

ウクライナ南部 へルソンで砲撃 市民6人が死亡

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は21日、ウクライナの東部や南部で戦闘を激化させていて、南部では市民の死傷者も出ました。

ロシア国防省は21日、ウクライナ東部のドネツク州やルハンシク州でウクライナ軍に打撃を与えたほか南部ヘルソン州でも、ウクライナ軍の自走式りゅう弾砲やレーダーなどを破壊したと発表しました。

一方、ウクライナ国防省も東部などで激しい戦闘が行われているとしたうえで、南部ヘルソン州の州都ヘルソンでは、ロシア軍が民間のインフラ施設などに対して、30発の砲撃を行ったと発表しました。

ウクライナ大統領府のイエルマク長官はSNSに投稿し、ヘルソンへの攻撃についてプーチン大統領が年次教書演説を行っているさなかに行われたとしたうえで「市民6人が死亡したほか、けが人もでている。住宅にも被害が出た」として民間人に死傷者が出たことを明らかにしました。

NATO事務総長「侵略者はロシア」ウクライナ支援強化の考え示す

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は21日、ウクライナのクレバ外相、EU=ヨーロッパ連合のボレル上級代表とベルギーにあるNATO本部で会談したあと記者会見しました。

この中で、ストルテンベルグ事務総長はロシアのプーチン大統領が年次教書演説で、軍事侵攻を改めて正当化したことを念頭に「だれもロシアを攻撃していない。他国を侵略しているのはロシアでウクライナは侵略の犠牲者だ。われわれはウクライナが自衛の権利を行使するのを支援しているのだ」と述べ、ウクライナへの支援を強化する考えを改めて示しました。

会談ではウクライナが大量の弾薬やさらなる兵器を必要とするなか、欧米の防衛産業の生産能力を強化する必要性や調達を迅速化する方策について協議したということです。

また、ストルテンベルグ事務総長はプーチン大統領がアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行を一時的に停止すると主張したことについて「遺憾に思う」と述べ、ロシア側に再考を促しました。

林外相 ウクライナ侵攻1年に合わせ開催の国連会合に出発へ

林外務大臣は、22日から4日間の日程で、国連本部のあるアメリカ・ニューヨークを訪問する予定で22日の夜、日本を出発します。

一連の日程のうち、日本時間の23日に始まる国連総会の緊急特別会合では、ウクライナが提出し日本などが共同提案国となっている平和を求める決議案について触れ、ロシア軍の即時撤退などを盛り込んだ内容に各国の賛成を呼びかけることにしています。

また、日本時間の25日に開かれる安全保障理事会の閣僚級討論では、安保理の機能不全も指摘される中、ロシアを強く非難し、法の支配に基づく国際秩序を維持・強化する重要性を訴える方針です。

林大臣としては、G7=主要7か国の議長国で、安保理の非常任理事国を務める日本の外務大臣として、ウクライナ情勢をめぐる対応で存在感を示し、5月の広島サミットにつなげたい考えです。