【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

中国 王毅政治局委員 モスクワに到着 ロシア有力紙伝える

ロシアの有力紙「コメルサント」は19日、中国で外交を統括する王毅政治局委員がロシアの首都モスクワに到着したと伝えました。

これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、「王毅氏とプーチン大統領との会談を排除しない。日程は追って伝える」と述べ、プーチン大統領が王毅氏と会談する可能性を指摘しました。

そのうえで、「ロシアと中国の関係は非常に多元的であり、議題は多岐にわたる」と述べました。プーチン政権としてはウクライナ情勢をめぐり、激しく対立するアメリカなど欧米に対抗するうえで、中国との戦略的な関係を深めたいねらいがあるとみられます。

バイデン大統領がウクライナ訪問 ロシア軍事侵攻後初めて

アメリカのホワイトハウスはバイデン大統領がウクライナの首都キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談したと発表しました。

去年2月に、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、バイデン大統領がウクライナを訪問するのはこれが初めてです。

バイデン大統領としては、ロシアによる軍事侵攻から今月24日で1年になるのを前に、ウクライナを訪問することで、結束を確認する狙いがあったとみられます。

バイデン大統領はゼレンスキー大統領との会談でウクライナに対する軍事支援の継続を改めて強調したとみられます。

ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は17日の記者会見で、バイデン大統領のウクライナ訪問について、「その予定はない」と述べていて、今回の訪問は事前の予告なしに行われた形です。

ゼレンスキー大統領「ロシアの損失で戦争終わる」

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、東部ドネツク州のブフレダル方面の戦況について非常に厳しいとしたうえで、軍の幹部からの報告として「侵略者を打ち破っていて、ロシアに明らかな損失を与えている」と述べました。

その上で、東部ドンバス地域について「ロシアがより多くの損失を出せば、ウクライナの勝利で早くこの戦争を終わらせることができる」と強調しました。

24日で侵攻1年 ウクライナ側は大規模なミサイル攻撃に警戒

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は18日、地元メディアに対して「ロシアは今月21日から24日にかけて同じようなミサイル攻撃を仕掛けてくるだろう」と述べました。

これは、ロシアのプーチン大統領が今月21日に年次教書演説を行うほか、24日にはプーチン政権がウクライナへの軍事侵攻を開始して1年になることから、ロシア軍がこれに合わせて再び大規模なミサイル攻撃を仕掛けてくるという見方を示したものです。

ウクライナでは、国家安全保障・国防会議のダニロフ書記も16日、ロシアが今月23日から24日にかけて大規模な攻撃を準備していると述べていて、警戒が高まっています。

プーチン大統領の年次教書演説「侵攻に多くの時間」と示唆

今月21日に行われるプーチン大統領の年次教書演説について、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、19日放送の国営テレビの番組で「国民の生活は今や、この軍事作戦を中心にまわっている。当然、大統領はこのことに多大な注意を払うはずだ」と述べ、演説ではウクライナへの侵攻をめぐって多くの時間が割かれることを示唆しました。

西部で原発停止を狙う攻撃か ロシア「軍事施設を攻撃」主張

ウクライナ国防省は18日、ロシア軍が原子力発電所のある西部フメリニツキー州で、民間のインフラ施設などをミサイルで攻撃したと発表しました。アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシア軍が原発の停止を狙った可能性もあるという見方を示しています。

これに対し、ロシア国防省は19日の発表で、州都フメリニツキーに近い軍の施設や弾薬庫を海上発射型の巡航ミサイルで攻撃したと主張しました。

市民 少なくとも7199人が死亡 3割近くは性別判別できず

国連人権高等弁務官事務所は、軍事侵攻が始まって今月12日までにウクライナでは少なくとも市民7199人が死亡したとしています。このうち438人は18歳未満の子どもだということです。
また、7199人のうち、3割近く(27%)にあたる1964人は遺体の損傷がひどく性別が判別できないとしています。

地域別では、いまも激しい戦闘が続く東部のドネツク州とルハンシク州であわせて4189人、首都キーウのほかハルキウやヘルソンなど20の州であわせて3010人の死亡が確認されているということです。

また、けがをした人は1万1756人に上るとしています。

激しい戦闘 正確な被害実態は把握できず

犠牲者のほとんどは砲撃やミサイル、それに空爆などの広い範囲に影響を及ぼす攻撃によるものだと指摘しています。

一方で国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が行われたり今も戦闘が継続していたりする地域、例えばドネツク州のマリウポリのほかルハンシク州のリシチャンシクやセベロドネツクなどでは正確な被害の実態は把握できていないとしていて、実際の死傷者は発表した人数を大きく上回るという見方を示しています。

各国からも同じような指摘が出ていて、アメリカ軍の制服組トップ、ミリー統合参謀本部議長は去年11月、ウクライナでの市民の死傷者は4万人に上るとみられると指摘しています。

軍の死者数(推定)ウクライナ軍1万人~ ロシア軍4万人~

兵士や戦闘員の死傷者はウクライナ側、ロシア側ともに多数に上っています。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は去年12月、政府の推定としてウクライナ軍の死者数は1万人から1万3000人で、けが人はさらに多いとしています。

一方、ロシア軍の死者数は、去年9月、ロシアのショイグ国防相が5937人と明らかにして以降、死者数全体に関する発表はなく、正確な実態は分かっていません。

ただ、ウクライナの戦況を分析しているイギリス国防省は今月17日、ロシア軍の兵士や民間軍事会社の戦闘員の死傷者数が合わせて17万5000人から20万人に上っているとみられるという見方を示しました。このうち死者数は4万人から6万人とみられるとしていて、去年9月以降、その数が大幅に増加していると指摘しています。