衆院予算委中央公聴会 安全保障や賃上げなど専門家が意見

衆議院予算委員会は、新年度予算案について、専門家から意見を聞く中央公聴会を開き、午前中は各党が推薦した4人の専門家が、安全保障や賃上げなどについて意見を述べました。

拓殖大 川上教授 安全保障関連3文書について

このうち、自民党が推薦した拓殖大学の教授で、安全保障政策が専門の川上高司氏は、政府が閣議決定した安全保障関連の3文書について、「国益に基づいた日本独自の戦略で、非常によくできていると思うが、本当に日本の戦略に基づいて実行できるかということが非常に問題だ。アメリカの国防戦略があって、その次に日本の3文書があるということではいけない」と述べました。

連合 清水事務局長 ことしの春闘について

国民民主党が推薦した連合の事務局長、清水秀行氏はことしの春闘について、「賃上げの流れを労働組合がない企業も含めて、多くの中小企業に波及させることが肝要であり、政労使によるメッセージの発信も検討すべきだ。中小企業の賃上げの実現は、労務費を含む価格転嫁ができるかにかかっている。政府には、価格転嫁の実効性を高める取り組みの早急な実施を求めたい」と述べました。

福岡県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長 地域経済支援について

公明党が推薦した福岡県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長の井上善博氏は、地域経済の支援策について、「去年10月から政府の水際対策の緩和や、全国旅行支援の開始もあり、インバウンドについてはまだまだ回復途上にあるものの、国内需要は回復してきている。しかし、地域によっては濃淡があり、当面の資金繰りに苦労している旅館も多いのが事実で、地域を守るためにも政府には細かい金融措置を講じていただきたい」と述べました。

沖縄国際大 前泊教授 沖縄が抱える課題について

共産党が推薦した沖縄国際大学の教授で、沖縄の経済や安全保障が専門の前泊博盛氏は、沖縄県が抱える問題について、「沖縄県では国会だけに任せていただけでは沖縄は戦場にされかねないということで、自治体外交の取り組みも含めて展開せざるをえないという議論も始まっている。沖縄が犠牲になる時は、日本全体が犠牲になる時だ。沖縄の危機について、傍観者でなく当事者として注目してほしい」と述べました。