トルコ南部で6日に発生したマグニチュード7.8の地震やその後の大きな揺れで、トルコとシリアでこれまでに亡くなった人はトルコで3万5418人、シリア側では少なくとも5814人と、両国で合わせて4万1000人を超えています。
地震の発生から8日がたった14日も現地では救助活動が続いていて、ロイター通信によりますと、トルコ南部ハタイ県では地震から200時間以上が経過するなか、女性2人ががれきの中から救出されたということです。
一方、現地では長引く避難生活で体調を崩す人も出るなど、被災者の間で医療支援を求める声が高まっていて、14日からは日本の国際緊急援助隊の医療チームも現地での活動を始めました。
医療チームは医師や看護師などからなる合わせて41人で、トルコ南部ガジアンテプの郊外にある臨時の医療拠点で診療テントの設営に取りかかるとともに、現地の医師らと打ち合わせをした上で役割分担などについて話し合っていました。
医療チームの大場次郎診療調整部門長は、「被災者が必要としている医療のニーズを探りながら、日本が多くの災害を乗り越えてきた経験と技術を生かしたい」と話していました。

トルコ・シリア大地震 死者4万1000人超える【15日の動き】
トルコ南部のシリア国境近くで発生した大地震では、これまでに4万1000人以上の死亡が確認されています。
地震の発生から1週間以上がたち長引く避難生活で体調を崩す人も出る中、日本の国際緊急援助隊の医療チームが現地で活動を開始し、被災者の医療支援にあたることにしています。
トルコ・シリア大地震 現地に支援届けるには【寄付先一覧も】

トルコの地震による死者 1900年以降最多に
内閣府が公表している「令和4年版防災白書」によりますと、1900年以降、トルコで地震による死者・行方不明者が最も多かったのは、1939年にトルコ東部で起きた地震の3万2962人で、今回はそれを上回り、最も多くなりました。
シリア北部の情勢は
【内戦の経緯】
シリアでは2011年、「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が波及する形で反政府デモが各地に広がり、これをアサド政権が弾圧したことで激しい内戦に発展しました。
内戦は、アサド政権側と、反政府勢力が泥沼の戦いを続ける中、混乱に乗じて過激派組織IS=イスラミックステートが一時、勢力を拡大したほか、クルド人勢力が北部で支配地域を広げるなど複雑化しました。
【国の分断続く】
大規模な戦闘は収まっているものの、国が分断されるなか、散発的な衝突が続いていました。
今回の地震の被害が大きかった北部では現在、アサド政権、反政府勢力とそれを支援するトルコ、それにクルド人勢力の支配地域が入り乱れています。
【支援ルート開かれても…】
反政府勢力が支配する地域をめぐっては、アサド政権側から人や物の行き来が制限される中、国連などによる支援ルートは1つに限られていましたが、今回の地震を受け新たに2つ開かれました。
ただ、シリア情勢に詳しい専門家は、支配勢力が入り乱れるなか、新たに開かれたルートでも、スムーズに支援活動を行うことは容易ではないと指摘しています。
【内戦犠牲者数】
国連によりますと、シリアの内戦をめぐっては、これまでに30万を超える民間人が死亡しているほか、国民の2人に1人が家を追われています。
内戦によって疲弊した地域が今回の地震によってさらなる被害を受けた形です。
シリアでは2011年、「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が波及する形で反政府デモが各地に広がり、これをアサド政権が弾圧したことで激しい内戦に発展しました。
内戦は、アサド政権側と、反政府勢力が泥沼の戦いを続ける中、混乱に乗じて過激派組織IS=イスラミックステートが一時、勢力を拡大したほか、クルド人勢力が北部で支配地域を広げるなど複雑化しました。
【国の分断続く】
大規模な戦闘は収まっているものの、国が分断されるなか、散発的な衝突が続いていました。
今回の地震の被害が大きかった北部では現在、アサド政権、反政府勢力とそれを支援するトルコ、それにクルド人勢力の支配地域が入り乱れています。
【支援ルート開かれても…】
反政府勢力が支配する地域をめぐっては、アサド政権側から人や物の行き来が制限される中、国連などによる支援ルートは1つに限られていましたが、今回の地震を受け新たに2つ開かれました。
ただ、シリア情勢に詳しい専門家は、支配勢力が入り乱れるなか、新たに開かれたルートでも、スムーズに支援活動を行うことは容易ではないと指摘しています。
【内戦犠牲者数】
国連によりますと、シリアの内戦をめぐっては、これまでに30万を超える民間人が死亡しているほか、国民の2人に1人が家を追われています。
内戦によって疲弊した地域が今回の地震によってさらなる被害を受けた形です。
WHO “トルコ・シリア両国で約2600万人の人道支援必要”
トルコ南部のシリア国境近くで発生した大地震で、WHO=世界保健機関は両国でおよそ2600万人が人道支援を必要としていると述べ、国際社会に支援を訴えました。
トルコ南部のシリア国境近くで発生した大地震の被災地では、気温が氷点下となる中、家を失った人々が公園などの屋外に簡易なテントを作り身を寄せるなど、厳しい避難生活を余儀なくされています。
WHO=世界保健機関の担当者は14日、オンラインの会見を開き、ヨーロッパ地域事務局のクルーゲ事務局長は、被災地では寒さもあいまって、感染症や衛生上の懸念が高まり、「最も弱い人々がリスクにさらされている」と述べました。
そのうえで、被害が大きかったトルコ南部には内戦から逃れてきたシリア人も多く暮らしていて、クルーゲ事務局長は、「トルコには、多くのシリア難民が住んでおり、その多くが地震で再びすべてを失った。過去100年でヨーロッパ地域最悪の自然災害を目の当たりにしている」と述べ、国際社会に支援を訴えました。
トルコ南部のシリア国境近くで発生した大地震の被災地では、気温が氷点下となる中、家を失った人々が公園などの屋外に簡易なテントを作り身を寄せるなど、厳しい避難生活を余儀なくされています。
WHO=世界保健機関の担当者は14日、オンラインの会見を開き、ヨーロッパ地域事務局のクルーゲ事務局長は、被災地では寒さもあいまって、感染症や衛生上の懸念が高まり、「最も弱い人々がリスクにさらされている」と述べました。
そのうえで、被害が大きかったトルコ南部には内戦から逃れてきたシリア人も多く暮らしていて、クルーゲ事務局長は、「トルコには、多くのシリア難民が住んでおり、その多くが地震で再びすべてを失った。過去100年でヨーロッパ地域最悪の自然災害を目の当たりにしている」と述べ、国際社会に支援を訴えました。
トルコで活動する日本人建築士「起こるべくして起きた」

準大手ゼネコン「安藤ハザマ」のトルコ代表で、現地で防災の啓発活動を続ける一級建築士の森脇義則さんは、今回の地震による被害の拡大について「起こるべくして起こった」と指摘しています。
森脇さんによりますと、トルコでは日本と同等の耐震基準があるものの運用面で問題があるということです。
具体的には、安全基準を満たさなくても一定の金額を払うことで建物の使用が認められる「恩赦」と呼ばれる制度が存在することや、施工前後のチェックが甘かったり、設計や建築に関わる技術者の経験が浅くても資格を取得できたりするなど不備が多いと指摘しています。
森脇さんは東日本大震災のあと、トルコ各地で防災の啓発活動をボランティアで続けているということで、「多くの人が亡くなった1999年の地震を受けて基準などが見直されたものの、また同じような被害が出てしまった。『恩赦』という制度は、地震が起こったとき人を殺すことにつながるので、絶対にあってはいけないと訴えてきたが足りなかった」と話していました。
そのうえで、「今後、復興の過程においては、地盤が弱い場所には建物を建築しないなどの検討をするほか、そもそもの制度の不備を直していく必要がある」と訴えていました。
森脇さんによりますと、トルコでは日本と同等の耐震基準があるものの運用面で問題があるということです。
具体的には、安全基準を満たさなくても一定の金額を払うことで建物の使用が認められる「恩赦」と呼ばれる制度が存在することや、施工前後のチェックが甘かったり、設計や建築に関わる技術者の経験が浅くても資格を取得できたりするなど不備が多いと指摘しています。
森脇さんは東日本大震災のあと、トルコ各地で防災の啓発活動をボランティアで続けているということで、「多くの人が亡くなった1999年の地震を受けて基準などが見直されたものの、また同じような被害が出てしまった。『恩赦』という制度は、地震が起こったとき人を殺すことにつながるので、絶対にあってはいけないと訴えてきたが足りなかった」と話していました。
そのうえで、「今後、復興の過程においては、地盤が弱い場所には建物を建築しないなどの検討をするほか、そもそもの制度の不備を直していく必要がある」と訴えていました。
シリア 子どもの肺炎や下痢など感染症拡大が懸念

地震で大きな被害を受けたシリア北西部のうち、反政府勢力が支配する地域では、支援が十分に行き届かない中、子どもたちが肺炎や下痢の症状を訴えるなど感染症が広がることが懸念されていて、支援の拡大が喫緊の課題となっています。
シリア北部の都市アレッポから8年前に内戦を逃れてトルコへ移り住み、今回、地震で大きな被害を受けたトルコ南部のガジアンテプで暮らす医師のセイフディン・サルムさん(40)は、シリア国内に残る友人たちから送られてくる情報に心配を募らせています。
シリア北部の都市アレッポから8年前に内戦を逃れてトルコへ移り住み、今回、地震で大きな被害を受けたトルコ南部のガジアンテプで暮らす医師のセイフディン・サルムさん(40)は、シリア国内に残る友人たちから送られてくる情報に心配を募らせています。

セイフディンさんが14日、アレッポ近郊の病院に勤める友人の医師に電話で話を聞くと「多くの人が家を失い、食料や子ども用のミルクなど最低限必要なものが足りていない。冬で寒いうえ、医療サービスが十分でないため、感染症が広がることを危惧しており、子どもたちはすでに肺炎や下痢に苦しんでいる。医療スタッフや救助隊員も疲れきっているが、国連の支援はとても遅く、届いた物資も需要のわずかしか満たしていない」と、厳しい状況を説明していました。
話を聞いたセイフディンさんは取材に対し、「シリアの人々はこれまで飢えと貧困に苦しみ続け、そこに今度は地震が加わりました。国際社会による支援の拡大を願っています」と訴えていました。
話を聞いたセイフディンさんは取材に対し、「シリアの人々はこれまで飢えと貧困に苦しみ続け、そこに今度は地震が加わりました。国際社会による支援の拡大を願っています」と訴えていました。
シリア北西部への支援ルート 2か所増える
IOM=国際移住機関は14日、シリア北西部の被災地に向かう救援物資をのせたトラックが、新たに開いた支援ルートを使ってトルコとの国境を越え、シリア国内に入ったと発表しました。
内戦が続くシリアの北西部は、反政府勢力が支配する地域でこれまで支援ルートは1か所に限られていましたが、今回の地震の被害を受け、シリアのアサド大統領は3か月の間、支援ルートを2か所増やし、国連機関を通じた支援を受け入れると表明しました。
IOMの発表によりますと、14日、被災者のためのテントや、マットレス、毛布などを積んだトラック11台が、新たに開いた支援ルートを通ってトルコからシリア北西部に入ったということです。
支援ルートが増えたことについて、IOMは「地震で生き残った人たちが必要としている支援を届けるために不可欠だ」として歓迎していて、支援の拡大を急ぎたい考えです。
内戦が続くシリアの北西部は、反政府勢力が支配する地域でこれまで支援ルートは1か所に限られていましたが、今回の地震の被害を受け、シリアのアサド大統領は3か月の間、支援ルートを2か所増やし、国連機関を通じた支援を受け入れると表明しました。
IOMの発表によりますと、14日、被災者のためのテントや、マットレス、毛布などを積んだトラック11台が、新たに開いた支援ルートを通ってトルコからシリア北西部に入ったということです。
支援ルートが増えたことについて、IOMは「地震で生き残った人たちが必要としている支援を届けるために不可欠だ」として歓迎していて、支援の拡大を急ぎたい考えです。
国連 “シリアに3か月分の支援 約530億円拠出”

国連のグテーレス事務総長は14日、ニューヨークにある国連本部で会見を開き、今回の地震で大きな被害を受けたシリアに対し今後3か月分の支援として3億9700万ドル、日本円にしておよそ530億円を拠出すると発表しました。
さらに、反政府勢力が支配するシリア北西部への支援について、トルコ国境側から新たに開いた支援ルートで始まったことを明らかにしました。
グテーレス事務総長は「自然災害による人的被害をアクセスや資金などの人為的な障害によってさらに悪化させてはならない。援助はあらゆる方面からあらゆる方法でいかなる制限もなく届けられなければならない」と述べたうえで、国際社会にさらなる支援を求めました。
また、同じく大きな被害を受けたトルコに対する支援についても近く拠出額をまとめる考えを示しました。
さらに、反政府勢力が支配するシリア北西部への支援について、トルコ国境側から新たに開いた支援ルートで始まったことを明らかにしました。
グテーレス事務総長は「自然災害による人的被害をアクセスや資金などの人為的な障害によってさらに悪化させてはならない。援助はあらゆる方面からあらゆる方法でいかなる制限もなく届けられなければならない」と述べたうえで、国際社会にさらなる支援を求めました。
また、同じく大きな被害を受けたトルコに対する支援についても近く拠出額をまとめる考えを示しました。
倒壊現場で違法改築横行か 地元メディア

今回の大地震で多数の建物が倒壊した背景として、トルコの地元メディアは、建物の1階に入る店舗のスペースを広げるため、もともとあった柱を取り除くなどの違法な改築行為が関係しているのではないかと指摘しています。
このうち、トルコ南部アダナの14階建ての高層マンションが倒壊した現場では、1階に入っていた店舗が無断で柱を取り除き、マンションの住民とトラブルになっていたと複数の近隣住民が証言しました。
近所に住む60代の男性は、「数年前に家具店が店内のスペースを広げるために柱を取り除き、住民が訴訟を起こしていた。裁判所が退避命令を出すべきだったが、地震によって多くの命が奪われた」と話していました。
また、別の60代の男性は「マンション側が苦情を出していたのだから当局は何かしら行動を取らなければならない」として、事実関係の調査をするよう求めました。
トルコでは、柱を勝手に取り除く行為は違法ですが、地元メディアはこうした行為が横行しているものの、監視や取り締まりが十分ではなかったと伝えています。
近隣の住民によりますと、このマンションでは数十人規模の犠牲者が出たということで、14日にはすでにがれきが撤去され、現場はさら地となっていました。
このうち、トルコ南部アダナの14階建ての高層マンションが倒壊した現場では、1階に入っていた店舗が無断で柱を取り除き、マンションの住民とトラブルになっていたと複数の近隣住民が証言しました。
近所に住む60代の男性は、「数年前に家具店が店内のスペースを広げるために柱を取り除き、住民が訴訟を起こしていた。裁判所が退避命令を出すべきだったが、地震によって多くの命が奪われた」と話していました。
また、別の60代の男性は「マンション側が苦情を出していたのだから当局は何かしら行動を取らなければならない」として、事実関係の調査をするよう求めました。
トルコでは、柱を勝手に取り除く行為は違法ですが、地元メディアはこうした行為が横行しているものの、監視や取り締まりが十分ではなかったと伝えています。
近隣の住民によりますと、このマンションでは数十人規模の犠牲者が出たということで、14日にはすでにがれきが撤去され、現場はさら地となっていました。
エルドアン大統領 安全対策強化の考え示す

トルコのエルドアン大統領は14日に行った演説のなかで「今回の災害で倒壊した建物の98%が、1999年より前に建てられたものだった」と明らかにしました。
その上で「より厳しくしなければならないことを再認識した」と述べ、1万7000人以上が死亡した1999年の地震を受けて見直してきた建物の安全対策を強化する考えを示しました。
その上で「より厳しくしなければならないことを再認識した」と述べ、1万7000人以上が死亡した1999年の地震を受けて見直してきた建物の安全対策を強化する考えを示しました。
日本の医療チームが現地で活動開始

地震の発生から1週間以上たち、長引く避難生活で体調を崩す人も出るなど、被災者の間で医療支援を求める声が高まる中、日本の国際緊急援助隊の医療チームが現地で活動を始めました。
医師や看護師などからなる医療チームの41人は14日、地震で病院が壊れる被害などを受けたトルコ南部ガジアンテプの郊外で、地元の職業訓練校に設けられた臨時の医療拠点に入りました。
そして、敷地内に診療テントを設営する作業に取りかかり、医療機器を使うための発電機が正常に作動するかなどを確認していました。
このテントでは手術を行ったり、入院患者を受け入れたりすることができ、地震でけがをした人に加え、もともと持病があって地域の医療機関で治療を受けられなくなった患者にも対応したいとしています。
チームのメンバーらは、早速現地の医師らと打ち合わせをし、内科や外科、産婦人科など、さまざまな診療に対応できることを説明した上で、役割分担などについて話し合っていました。
医療チームの大場次郎診療調整部門長は「被災者が必要としている医療のニーズを探りながら、日本が多くの災害を乗り越えてきた経験と技術を生かしたい」と話していました。
医師や看護師などからなる医療チームの41人は14日、地震で病院が壊れる被害などを受けたトルコ南部ガジアンテプの郊外で、地元の職業訓練校に設けられた臨時の医療拠点に入りました。
そして、敷地内に診療テントを設営する作業に取りかかり、医療機器を使うための発電機が正常に作動するかなどを確認していました。
このテントでは手術を行ったり、入院患者を受け入れたりすることができ、地震でけがをした人に加え、もともと持病があって地域の医療機関で治療を受けられなくなった患者にも対応したいとしています。
チームのメンバーらは、早速現地の医師らと打ち合わせをし、内科や外科、産婦人科など、さまざまな診療に対応できることを説明した上で、役割分担などについて話し合っていました。
医療チームの大場次郎診療調整部門長は「被災者が必要としている医療のニーズを探りながら、日本が多くの災害を乗り越えてきた経験と技術を生かしたい」と話していました。