米の長射程弾供与に ロシア前大統領 再び核戦力ちらつかせ威嚇

ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカが射程の長いロケット弾の供与を新たに発表したことを受けて、ウクライナの勝利を早めることになるという見方を示しました。一方、ロシアの前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は、再び核戦力をちらつかせて威嚇しました。

アメリカのバイデン政権は3日、ウクライナに対して、射程がおよそ150キロと、これまでより2倍近い射程になるとされるロケット弾の供与を含む、追加の軍事支援を行うと発表しました。

これを受けて、ウクライナのゼレンスキー大統領は3日「射程の長い兵器はウクライナ軍の機動力を向上させ、ロシアの残虐な侵略を早く終わらせるだろう」とSNSに投稿し、ウクライナの勝利を早めることになるという見方を示しました。

アメリカが新たに供与するロケット弾はGLSDBと呼ばれ、ロシアが9年前、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアなども射程に入るとみられています。

これについて、ロシアの前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は4日、ロシアの記者の質問に文書で回答した中で「われわれは核抑止力の原則に従い、脅威の性質に応じてあらゆる種類の兵器を使う用意がある。その対応は迅速で厳しいものになる」と主張し、再び核戦力をちらつかせて威嚇しました。

メドベージェフ氏は、これまでも強硬な発言を繰り返し、欧米によるウクライナへの軍事支援をけん制しています。

また、ロシア外務省は、EU=ヨーロッパ連合が、ウクライナへの支援を継続していく姿勢を改めて示したことについて、4日、報道官のコメントを発表し「欧米の努力はむだに終わる。ロシアの軍事作戦の目的は完全に達成される」として、軍事侵攻を続ける姿勢を重ねて強調しました。