ウクライナ東部で戦闘激化 米バイデン大統領 戦闘機供与を否定

ウクライナ東部では、侵攻を続けるロシア軍がウクライナ側の拠点の掌握をねらって攻撃を強化し、戦闘が激しくなっています。こうした中、アメリカのバイデン大統領は、ウクライナ側が求めているアメリカ製の戦闘機の供与について「ノーだ」と答えました。

ウクライナ東部ドネツク州では、ウクライナ側の拠点の一つバフムトに加え、州都の南西に位置するウフレダル周辺でも激しい戦闘が続き、ゼレンスキー大統領は30日、ロシアが攻撃を強めているという認識を示しました。

これについて、イギリス国防省は31日、「バフムトからウクライナ軍の兵力を分散させるねらいがあるとみられる」という見方を示しました。

そのうえで、ロシア軍が局地的に掌握する可能性はあるとしながらも、「ロシアが作戦上、重要な突破口を開くのに十分な兵力を維持しているとは考えにくい」と分析しています。

反転攻勢を強めたいウクライナが、戦車だけでなく戦闘機の供与も求める中、ポーランドのモラウィエツキ首相は30日、記者会見で戦闘機の供与について聞かれ、NATO=北大西洋条約機構の加盟国と協調して行うことが重要だとの考えを示しました。

これについて、ウクライナ大統領府のイエルマク長官はSNSで「F16戦闘機の提供に向けた働きかけを続けている。ポーランドからはNATOと連携して供与する用意があるという前向きな信号が出ている」と期待を示しました。

一方、アメリカのバイデン大統領は30日、記者団から、ウクライナにF16戦闘機を供与するつもりがあるか聞かれ、「ノーだ」と答えました。

アメリカとしては、ロシアをさらに刺激して、戦闘がエスカレートするのを避けたい考えがあるとみられます。